奇談 あ ナ タ を 観 て ヰ る 。
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あ ナ タ を 観 て ヰ る 。
奇談 あ ナ タ を 観 て ヰ る 。
はじめに
この話は災厄的効力を失わせるため(それでも完全に防げる確証はありません。ご了承ください。)に、一部「嘘」を混ぜることにより対処しております。しかし、それでも視線を感じる、誰も居ないのに誰かに触られた、体が一瞬動かなかった、気配を感じる、聞こえないはずの音が聞こえるなど、周囲や精神、肉体に異常が起きていると判断できる際は直ぐに読むのを辞めて冷静に対応し、ご自身の生命の第一を考えてください。そして、いかなる損害、不利益に関してこちらは一切の責任を持たず、賠償等も致しません。
上記の警告に同意して頂ける方のみこの先へお進み下さい。
[本文]
僕は今引っ越したばっかりでボロアパートに住んでいる。名前は畑井 健汰。
荷物もまとめ終わっておらず、ダンボールに囲まれて寝ているんだが、なぜか視線を感じるんだ。いや、ゴキブリとかじゃなく、明らかに人の様な視線を感じたんだ。もちろん確証なんて無い。だけど、不気味な視線を感じて、直感的に人だと感じた、そして最悪な事にその勘は当たっていた。
視線の主は向かいの一軒家に住んで居るであろう人のものだと判明した。
よほど度胸があるのか目が合っても一切逸らす気配は無い。それより、肝心の顔だが…顔…顔……やはり思い出せない。そう、そんな体験をしようものなら相手の顔など嫌でも覚えるはずだ。しかし、こちらが根負けして部屋に帰るとなぜか不快に思えてならなかった顔を忘れてしまう。
そんな生活が続いて、ダンボールがあと1箱になったくらいの事。もう視線にも不気味ではあるが慣れてしまって、いつも何をしているのか気になってついつい覚えれもしない顔を見てしまう様になっていた。その頃からだ、物忘れが激しく、ふとさっきまでの記憶が無くなるの事が増えたのは。それは疲れてるんだろうなと割り切り、リラックス出来るようにアロマオイルなんかを買ってみたり、ハーブティーを買ってみたりしたが、や̀は̀り̀効果は無かった。むしろ、部屋の香りがより一層不快感と寒気を醸し出した。
一週間後、最近は一昨日まで記憶が飛ぶ日も出てきたので、日記を書くことにした。
[初日]
今日から日記を書く、そうすれば飛んだ記憶もある程度は取り戻せるはずだ。
[2日目]
今日は朝ごはんに米と味噌汁を食べ、講義を受け、帰ってからの楽しみである晩御飯はオムライスにした。お向かいさんは今日もこちらを見ていた。
[3日目]
おかしい、今日の献立はなんだっけかな。
とりあえず明日は、あれ、あれ、そう、散歩にでも行こうかと思う。お向かいさんは今日も居た。
[END]
今日は散歩の日だ、外は気分がいい。
………
?なんで僕は外にいるんだ?いや、そもそもここはどこだ?僕は家に…家?僕の家はどこなんだ?そう言えば僕はなんて名前だ?そんな事を考えていたら前から人が来た。「あ、どうもこんにちは。散歩ですか?健康的ですねー!私は買い物帰りなんですけど、どうせなら今から紅茶を淹れる所だったのでお兄さんもご一緒にどうです?」前から来た女性は親切でオープンだった。僕は即決で答えた。「そちらが良いなら是非お願いします!」そうすると彼女は自分の家まで案内してくれた。
失礼だがもう顔を忘れてしまった。まぁ、また見ればいいだろう。気づけば椅子に座り、テーブルには紅茶が注がれていた。「砂糖とミルクはどうします?」彼女の質問に僕は砂糖を1つだけ貰うことを伝えて、その後はどうだったか……………?ここはどこだ?僕はなぜここに居る?この人は誰だ?親はどこだ?親?僕の親は誰だ?なぜ分からない?寝てしまっていたのか?じゃあ誘拐?でも、だとすればこの紅茶は?僕はなんでここに居るんだ?「どうしたの?大丈夫?ユウマくん?」「えっと、ごめんなさい記憶がなくて、ここは?それとあなたは?僕、自分の名前も思い出せなくて…僕ユウマって言うんですね?」この人に自分の状況を伝えた。すると彼女は「あぁ…ユウマくん、えっとね、私はユウマくんと結婚してたんだよ。実感わかないかもだけどね…それとここは2人の家だよ。思い出せない?君はユウマ、私はカリン。2人はこないだ結婚したばかりだよ?頭を打ったとはいえほんとに忘れちゃったの…?」あぁ…そうだったかもしれない、彼女の話を聞くとそんな気もしなくはない。いや、そうなんだろう僕はこの人を愛して、この人は…カリンは僕を愛してくれていたし、今も愛してくれてるに違いない。尽くさないと…多分僕が記憶を失って悲しんでいるに違いない。僕のために尽くしてくれた彼女のために僕も出来ることは何でもしよう。君のためなら例えこの身さえも捧げよう。「思い出したよ、ありがとう!僕は君を愛しているし、君も僕を愛してくれている。細かい記憶はまだ無いけどそのうち思い出すさ。僕は君のためになんだってしたい。なんなりと言ってくれ!」するとカリンは僕に抱きついてこう言う。「思い出してくれてありがとう…そう言ってくれるなら遠慮なく言うね。ユウマの腕が欲しい。食べたいくらいに愛してるの…」僕は喜んでカリンに腕を上げた。彼女は僕の腕を包丁で切り落とすと美味しそうに食べた。この笑顔が見れるならつかの間の痛みも、片腕の不便さも関係はない。「ありがとう、とても美味しいよ!この片手の分私が世話してあげるからね。ユウマは寝てるだけでいいよ。何でもしてあげる。私が居ないとダメだもの。」
次の日、カリンがまたこう言う。「ねぇ、もう片方の腕もちょうだい?私の愛、分かってくれるよね?こんなにもお世話してあげてるし、いいでしょ?」もちろん、僕は快諾した。こんなにも身の回りの世話をしてもらって、愛してもらって、腕をあげない理由なんて無い。彼女が笑ってくれるんだから!
翌日、カリンは僕の足を求めてきた。僕は当然喜んで与えた。足を切る痛みなんてカリンへの愛に比べれば痛くなんてない。
今日はもう片方の足も食べたいらしい。好きなだけ食べてもらった。やはり彼女の笑顔は美しい。可愛くて、愛くるしくて、愛おしくて仕方ない。大好きだ。愛している。
翌日、僕は僕の残りもあげることにした。
そうして私は1人になった。
あのバカは美味しいし素直で従順で手のかからない食材だった。食べきってしまうのが惜しい。しかし、人は失った体を戻すことは出来ないのだから、食べ始めたら食べきらなくてはいけない。
せめて骨を飾っておこう。
「こ レ で ゐ つ モ あ ナ タ を 観 て ヰ らレる。」
奇談 あ ナ タ を 観 て ヰ る 。 ︽ teller∦ɹǝllǝʇ ︾ @azipon
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