ちがうアリ地獄
いろんな意味でドキドキした先程。
俺は先程の舞の声を聞き抵抗する気を失い
仕方なく震えている斉藤さんに付いていき
女子部屋へ立ち入った。
扉を開けると何故か女子達に囲まれた舞が
こちらを手招きしていた。
あぁ…地獄に落ちるのかな?と思った俺に
神川さんは話し掛けてきた。
「ねぇ秋兎くん」
「何だよ舞?」
「あ、愛してるわ」
………【深刻なエラーが発生しました。】
「あ、秋兎くん?」
「は!…すまん、処理落ちしてた」
「あなた、ロボットだったの?」
「いや、違うが余りに驚いてな…」
「…そうよね」
「「………」」
俺達が黙りコクっていると
女子達が立ち上がり
「「「そこは、『俺もだよ』でしょうが!?」」」
と、シンクロ率100%で言い放った!
「え!?な、なにごと!?」
「「「だから、そこは俺もだよだよ、秋くん!」」」
「君らすごいな!?」
バキのマウス並の息の合い方じゃないか…
「俺もだよ?」
「「「判断が遅い!」」」
「どうしろと!?」
「「「舞ちゃん、もう一回!」」」
次は舞の方を向き押し倒しそうな勢いで囲んでいた。
すげぇ…舞が押されている
「分かったわよ…秋兎くん」
「何だよ舞?」
「すごく愛してるわ」
「俺もだよ」
「「「よし!」」」
「何が!?」
いったいゼンタイ俺が来るまでに何があったのだろうか?
「ふぅ…秋くんの愛、確かめられたわね?同胞達?」
同胞…達?
「「「何でも無いよ秋くん!」」」
さっき一人でしゃべってたじゃん!
何で急にまた戻るの!?
「ご、ごめんなさいね秋兎くん」
「大丈夫だが…これはいったい…」
「…彼女達、私達の愛を確かめたかったらしいわ」
「な、何だそりゃ?」
愛を確かめるって何だよ…
「おい、君ら…」
俺は舞の側に近付き肩を抱いた。
「今更確かめなくても俺は神川 舞を愛してるぞ?」
自分でもくさいと思ったが…何かイラッとしたのだから仕方がない。
俺がそう言い放つと彼女らは膝を付き
「「「なら、良かった!!」」」
何故か大歓喜で抱き合っている
何これ怖い…この子らこんなんだっけか!?
「…何をしたらここまで好かれるのよ」
何か舞が呟いた気がしたがよく聞こえなかった。
「「「特に何もされてませんよ?」」」
そして、それに返事をするように彼女らは
声を揃えて言った。
「ん?大変です!偵察班から入電!ティーチャーが来てます!」
偵察班って何だよ
ティーチャーって何だよ…先生でいいだろ!
…ん?先生?
「俺、大ピンチじゃね!?」
「はい!い、今出たら間違いなく見つかります!」
「どどどーしよ!?」
流石にヤバイ!
この子らなら庇ってくれるだろうがそうゆう問題ではない!
噂は尾ひれを付けて世界にバタフライするものなのだ!
明日から間違いなく変なアダ名やら、からかいを受ける!
「お、おちち、落ち着きなさい!?…来なさい私の布団の…中!中に!」
「なぜ、中を強調した!?」
俺達があたふたしていると部屋をノックする音が響き
扉が開く
俺は腕を引っ張られ布団の中に引き吊り込まれた
あと、力強く抱き締められた
く、苦しいぞ…舞!
「はーい、巡回よ~…あら皆寝てるの?」
「あ、えっと…疲れたから皆で仮眠を取ってます!」
「あら、それはごめんなさいね?」
そう言い先生は出て行った。
良かった…ありがとう舞……ん?舞だよな
さっきの声…俺が引き吊り込まれた布団微動だに
しなかったけど…
俺がそんなことを考えていると
布団がバサリと捲られ
「お、おはよう?」
「おはよう…秋兎くん?…いい夢見れた?」
すっっごく笑顔な神川さんはニコニコしながら
話し掛けてきた。
「あはは…は…は」
俺はゆっくり顔を離し抱き締めている
正体の顔を見た
「お、おはよう…斉藤…さん」
「はわわわわ…」
「斉藤…さっさと離れろ…ぶち◯して、ぶち◯すわよ?」
再びとんでもないドス声と共に殺気を放った舞であった。
ちなみに斉藤さんの
美しい土下座と速度は再び記録更新された。
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