文化祭【それぞれの怖いもの】

いよいよ始まった文化祭当日

緊張とわくわくを感じながら

秋兎(貞子のすがた)になった俺は

持ち場であるお墓にスタンバった。

ちなみに舞は呼び子だったらしい…うん

確かにあの格好はそっちだよな!

と、納得しているとお客さんが来たので

俺は話し掛けてみた。




「呪い殺してやるぅ~…!」


「……びっくりしたぞ秋兎くん。」


すごく真顔な凛さんがそこに立っていた。


「アアアアアア…」


「それは別の怨霊だ秋兎くん」


「…早く行かないと秘蔵のお宝を喫茶店の入り口に丁寧に並べますよ?」



「こわっ!?」


凛さんはめちゃくちゃ恐怖した顔で進んでいった。



まったく…ってか一人で来たのかな凛さん…

あとで、構ってあげよう。


「お、次が来たな…隠れよ」


……ん?


「うぅ…神崎先輩…意外と怖いんですけど…」


「そ、そうだね!」


珍しい組み合わせだ…ってか神崎、今年は来れたんだな良かった。


「…お墓だ」


「お墓ですね…」


「ゾンビかな?」


「和風のお墓なので…もっとベタなお化けじゃないかと」


「確かに…」


ごめん、貞子なんだわ


「…ベタなってことは…髪の長い女性とか?」


ごめん、髪の長い男性なんだ


「貞子みたいなですか?」


「いやいや、貞子なら井戸でしょ?」


「それもそうですね!」


貞子なんだわ…くそ!出るタイミングを逃したから

出にくい!


「…とゆうか出てこないね?」


「もしかして、ただの道にあるオブジェ的なやつなんでしょうか?」



「やけに綺麗に作ってあるから何か出ると思ったんだけどな…」



「正直、兄ちゃんが出てくるかと思ってました。」


「わかる。この仕事の仕方は秋兎くんっぽいよね?」


「そうなんですよ…この角の削り方は間違いなく兄ちゃんだと思ったんですが…」



「確かに…丁寧だけど迷いがない感じが…」



「そうなんですよ!」


何この人達…こわい!?


「…やっぱり出てきませんね?」


「だね…行こうか?」


…ラストチャンスは進む瞬間!後ろを向くタイミング!


俺はしっかり観察をして後ろを向いた瞬間

静かに出て行き背後に立った…くらえ!



「「やっぱり居た兄ちゃん(秋兎くん)」」


二人は同タイミングでこちらを笑顔で振り返った。



「お前ら怖!?」

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