秋兎の誕生日会

のんびりとした休日

昨日のこととすでに居ない冬花で

何となく既に察しているが

神川喫茶店に向かった

どうしようか…何か照れ臭いなと考えて店には入ると

待ち構えていた神川さん達は話し掛けてきた



「「「秋兎くん誕生日おめでとう!!」」」


嬉しい声と同時にクラッカーが鳴り響く

頭から思いっきり被った紙吹雪をしばらく

そのままにしておきながら



「ありがとう」


と、照れ臭いのを必死にこらえながら

笑って言った



「秋兎くんが3人からぶっかけられたわ!」


「間違ってないけどやめてくれる!?」


「じゃあ…部屋行こうか?」


「凛さん少しムーディーにリビングに誘うのやめてくれませんか!?」



「に、兄ちゃん…うふ~ん」


何か冬花が屈んで変なポーズをしている


「どうした冬花?トイレか?」


「死ね!」


見事な右ストレート…いや!

俺は膝をついた


「剛体術だと…!?」


「なんか打てた」


「天才じゃったか…」


漫画知識もバカに出来ないなと

思いながら立ち上がりリビングに向かうと

すでにご馳走が用意されていて…


「おぉ…スゴいですね」


「頑張ったわ!」


「まぁねぇ~」


凛さんが、ぼる塾みたいになった横で

冬花が少し申し訳なさそうにしている


「…冬花、大丈夫だ。」


「察した顔で優しくしないで!?」


大丈夫だ冬花…


「トマトのヘタを取るところから兄ちゃんが教えてやるからな?」



「それは出来るよ!?」


舐めすぎていたか…ごめん!

俺は通されるがままに席に付き


「さて…改めて誕生日おめでとう秋兎くん!」


「ありがとうございます」


「今回は手巻き寿司をやろうと思って準備をしてみた…楽しんでくれたまえ!」



凛さんの一声のあとに皆で手を合わせて


「「「「いただきます!」」」」


と言って皆で海苔を手に持った

内心ワクワクして仕方ない俺に

神川さんは話し掛けてきた



「ねぇ秋兎くん」


「何だよ舞?」


「見て見て?」


すごく無邪気に君が言うもんだから

俺は笑って君を見つめた


「えろひ?」


自信作なのだろう手巻き寿司を

わざわざ横顔をこちらに向けて口一杯に頬張っていた。

見るんじゃなかった


「お行儀が悪いぞ舞?」


「えっひでひょ?」


「ちゃんと飲み込んでから話しなさい!」


まったく…お行儀が悪い


「ちっ…ふん!」


すこしムスッとした舞は

勢いよく噛みちぎり飲み込み


「パイプカット!」


「やめい!?」


何か股間がヒュンッ!ってしたわ!


「まったく…食べ物で遊ぶんじゃない…」


そう言って凛さんは

小さめの手巻き寿司を作り食べていた



「ちっちゃくないですか?」


「大人になるとね、好きなだけ食べれなくなるんだよ?」


「切ないですね…」


「だから、食べられる時に食べておきなさい…」


「はい!」


「食べ物も女も」


「最後のはいらなくないですか!?」


「え?いらないの?」


舞が瞬間移動したのかって速度で俺のとなりにきた


「あ…いや…まぁ…い、いります。」


「良かったわ…下ごしらえが無駄になるところだった」


「下ごしらえってなに!?」


「兄ちゃん…」


「やめろ冬花…その目は俺に効く。」


そんな可哀想なものを見る目で見ないでくれ…


「まったく…兄ちゃんは…んっく…」


「無理して頬張らずにちっちゃく噛みきって食べなさい!」


「え?手巻き寿司って方角向いて噛みきらないんじゃ…」


「それは恵方巻きだ!」


あと、それは節分だ!


「何だ違うのか…」


「秋兎くん止めないでよ!せっかくエロかったのに!」


舞はもぅ!って感じてこちらを見ている

正直かわいいなと思いながら

作った手巻き寿司を頬張った



「えっっろ…」


俺の横でヨダレを滴しながらこちらを

見ている彼女をガン無視しながらおいしい

手巻き寿司を俺は食べた。

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