初めて

のんびりとした休み時間……では無い。

GWのある日

今日も今日とて暇していた俺を

となりの席の神川が呼び出したのだ

待ち合わせは学校近くの喫茶店だ。

待ち合わせより10分早く着くともうそこには

神川がいた。

そして隣に座った俺に

今日も今日とて話しかけてきた。





「ねぇ…秋兎くん?」


「何だよ神川?」


「コーヒーカップって素敵よね」


「よく分からん」


「中に熱いのを注がれたり白いすこしとろみのあるものを入れられたりかき混ぜられたりして素敵よね?」



「お前の頭の中が俺は心配だよ!」


「覗いてみる?今開けるわ」


「開ける!?」


「包丁で……」


「グロイわ!」


「40%はイヤらしさで構成されてるわよ」


「あれ?思ったより少ない」


「60%はあなた絡みのこと。」


「っ……」


「今回は怒りだけど」


「怒り!?……お、怒ってるのか?」


「えぇ…とても。ぷんすかよ」


「一気に怒ってる感は消えたぞ!?」


「何で、遊びに誘ってくれないの?」


「えっ?」


「ゴールデンウィークなのに…初めてのね。」


「すまん……」


「ずっと待ってたのよ」


「ごめん」


「全裸待機で」


「すま……全裸!?」


「裸に食いつかないで」


「すみません…」


「裸にはしゃぶりついて!」


「……お前怒ってるの?」


「実を言うとあまり」


「なんだそりゃ」


「でも、待っては居たわ」


「っ……ごめんなさい」


「良いわよ…分かってた。童貞だものね」


「関係ないだろ!?」


「あら?関係ない?」


「そりゃ…厳密なあれなら関係はあるかも知れんが……」



「私のトンネル開通工事の予定完了日は18年なのよ?」



「意味深な言い方だな!?」


「だから…焦らなくていいから頑張ってね。」


「あ、あぁ…」


「でも、もっと私と一緒にいて?」


「分かった。」


「毎晩ベッドの上では会ってたけど」


「電話でな!」


毎晩寝る前に電話をお互いに掛けたしな。


「でも、それだけじゃ寂しいのよ……毎日は無理でも会いたい。」



「……分かった。」


「ワガママかしら?」


「普通だろ?俺も会いたいし」


「あらそう。」


神川はそう言うと嬉しそうに笑い

こちらを見て



「そう言えば俺も早めに着いた筈なのに随分早かったな?待たせて悪かった。」



「それなら気にしないで?」


「ん?」


「ここ、私の家だから」


「ん!?」


「喫茶店してるのよ。って訳で初デートで彼女の家に来た勇者秋兎くん。パパに挨拶してね?」



背中に謎の冷や汗を感じた。

マスターの目線とともに

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