第12話 NATOの東方拡大
東欧諸国が新たな安全保障を求めて相次いでNATOへの加盟を希望した。まずポーランド・ハンガリー・チェコの三国であった。エリツインは難色を示したが、アメリカの援助を必要としていた段階では強く言えなかった。また、NATO側もロシアに配慮した慎重な姿勢を示した。東方拡大を強引に進めたのが93年大統領になったクリントンであった。1999年に3カ国(ポーランド、チェコ、ハンガリー)が正式加盟、2004年に7カ国、今現在加盟国30か国である。
プーチンの時代になって、ロシアも国力をつけて来て、NATO拡大には強く反対してきたが、残るは旧ソ連構成国3国(ウクライナ、ベラルシー、モルドバ)だけである。ウクライナもモルドバもNATO加入を希望している。ベラルシーもルカシェンコ長期独裁に反対した激しい民主化運動があったばかり、プーチンは相当危機感を募らせて、今回のウクライナ侵攻になったと思われる。
地図を見てみれば、フィンランド、バルト3国を除ければ、ベラルシーとウクライナと長い国境を接している。空爆やミサイルと云っても最後は首都攻略の地上戦である。それは、今回の首都キーウイを攻めきれなかったことでも分かる。高い山脈や複雑な地形の自然障壁を持たない、只々広い原っぱの国ロシアは、古くはナポレオン戦争、そしてロシア革命の時の干渉戦争、ナチスの侵攻、幾多に攻め込まれ、辛うじて首都を守ってこられた。ロシアが緩衝地帯を必要とするのは地政学的には分かる。しかし一つの独立国はソ連やロシアの緩衝国として存在しなければならない理由もない。
ロシア国民はNATOイコールアメリと思っている。NATO加盟国にはアメリカのミサイル基地が出来る。ロシア側に立てば、アメリカに追い込まれているように感じるだろう。事実、アメリカは断じれば相手国を追い込むところがある。プッシュが云った、ならず者国家、イラン、フセインのイラク、カダフィーのリビア、このうち二つは倒されている。それらの国のその後は混乱の極みである。プーチンにすれば、国民の支持は圧倒的、20年でロシアは秩序ある豊かさを感じる国になったではないか?アメリカに脅迫される謂われはない。悪いのは全てアメリカではないか!となる。プーチンはしきりにリビアにおけるカダフィーの死を語る。
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