②
「いつも空を見てるよね。何かあるの?」
大嫌いな彼女にそんな事を尋ねられた。
またつい癖で、窓の外を眺めていたからだろうか。
どうやらそれが気に留めたらしい。
「……嫌、別に。何もないけど」
ぶっきらぼうにそう答える。
「そうなんだ……ごめん。少し興味があって。私もよく空を見ることがあるから」
謝りながらそんなことを言われた。
特別、空を見ることに理由なんてものはなかった。
ただ単に、休み時間や授業中。退屈な時間にそうしていたら、それが日課になっていた。それだけ。
そんなことを説明するのも億劫だった。
「あっ、そう」
適当な相槌。
こうすればその後、話かけられることはない。
また陰であいつは最低だと、噂されるだけ。
「う、うん」
ほら。こうやって曖昧な笑顔で誤魔化して、それで終わり。
今までずっとそうやって、周りとの関係を切り捨ててきたのだから。
これ以上、何を求められるというのか。
「……」
静かになった彼女は、隣の席で窓の外を眺めていた。
「今日は天気が悪かったけどさ」
たまたま目が合ったからか、そう笑いかけられる。
「明日は晴れるといいね」
返事は出来なかったが、確かに思う。
あぁ、ダメだ。もっと嫌いにならないといけない。
もう関わってしまわないように。
臆病な自分に苛立ちながら、同じように窓の外へ現実逃避する。
朝から降り続いた雨は、いつの間にか止んでいた。
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