孤立少年と青空彼女。

首領・アリマジュタローネ

【春】



 出逢いのきっかけは席替えだった。




 たまたま彼女と席が隣同士になった。




 そんなどこにでもあるような、ありふれた話。




「あ、隣だ? よろしくね!」




 そんな風に声をかけてくれたのは、彼女がはじめてだった。




 大概の場合、自分と席が隣になった人は、きまって嫌な表情を浮かべる。




 何か嫌なのか、何となく察しはついていた。




 だが、彼女だけは違った。




 目を見ても逸らさないで笑いかけてくれるし、あっちから挨拶もしてくれる。




 最初は罰ゲームか何かだと思っていたが、そうではないらしい。




 普段の振る舞いを見る限りでは、これが自然なのだろう。




 困っている人を見ればすぐに助けにいくような、そんなお人好し。




 誰にでも優しくて、何となく人に優しい。俺にだけ優しい、そんな特別な感情はないのだと。




 当然、彼女は皆から人気者。クラスの男子も好意を抱いてる人も多かったに違いない。




 だから、彼女を嫌いになることにした。




 なんの期待もしたくないから、意識するだけ無駄だから。




 窓の外の青い大空に向かって考える。




 いつからだろう、こんなに人を嫌いになったのは。




 そして、いつからだろう。




 こんなにも、自分を嫌いになったのは。



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