第28話・決戦準備
――と言うわけで反省会。
「本当に撃つなんて酷いですよ、三奈坂さん」
「ま、いいじゃん。 ログアウトしたらあっという間に元通りなんだし、傷自体も軽症」
まあ、私が撃たれた方だったら今頃三倍返しにしてるけどね。
「じゃあ、代わりにあんたのお願い一つだけ聞いてあげるってあれ有効にしてあげる。
それで許してくれない?」
何をお願いするつもりだったのか気になったので、半分冗談で言ってみる。
「じゃあ、き、キスしてください!」
「――やっぱり今のなし!」
即行でお願いをはねつける。 もし負けていたらキスさせられていたわけか、危なかった。
「じゃあ、僕を三奈坂さんを守る騎士としてこれからも、そばに置いてください!」
戦力差を考えると、守るのは私のような気がするんだけど……なんか釈然としない。
「うーん、それは一応考えておくわよ」
そうはいっても、理想は葵なんだよね。 今更という気もするが坂崎をキャバリア-にするかどうかは即決できない。 坂崎の事なんて全然知らないし……
「で、大体あんたの実力は分かったんだけど、突撃銃に銃剣つけても効果薄くない?」
ただでさえ馬鹿でかい重火器に、銃剣をつけたところで小回り欠けているし。
「でも、アサルトライフルは両手じゃないと使えませんし……」
つまり、せっかくのレーザーブレードも銃剣以上の役割を持たないわけか。
もったいない。 そもそも二人そろってメインウェポンが銃器っていうのはなんかバランス悪そうで嫌。
「じゃあ、レーザーブレードだけで戦えば? アサルトライフルやめて二刀流にしてみるとか?」
「えっー! 嫌ですよ。 殴り合いとか苦手ですし、アンチマテリアルライフル(スナイパーライフル)かっこいいじゃないですか?」
「でも、対物アンチ狙撃マテリアル銃ライフルとして使った場合、射撃音で気づかれちゃうんじゃない。
暗殺用途意外では無意味っぽいし、ヴァルキリー相手に遠距離射撃じゃ全く当たらないわよ。 撃った瞬間に回避行動をとられたら終わりじゃない」
「サイレンサーつければいいんですよ! 他にも暗視スコープとかサーモスコープもつけれるんですよ。 それに対物狙撃銃の弾速は音速を超えるっていいますし、弾丸の威力だけででおそらく戦車の装甲はおろか、ヴァルキリーだって仕留められるはず?」
すごいでしょうって顔しながら言ってくる。 暗視スコープはともかくサーモスコープなんてなんに使うんだろう? 迷彩対策? 弱点探し? ゾンビ対策?
「まあ、あんたが納得してるんなら別にいいけど。 ねえ、レーザーブレードってどんな特性があるの、やっぱり普通の刃物よりすごいの? やっぱりオーバーテクノロジーだし」
「さあ、僕には何とも、シルフさんに聞いてみたらどうですか? でもレーザーですよ、原理は分かりませんけど。 すごくかっこいいし、すごいに決まっています」
「で、その辺どうなのよ、シルフ」
『ふむ、レーザーブレードには質量がない、軽いので取り回し抜群だ。
反面、重さがないので威力がいまいちだ。 切れ味も普通の刃物と大差ない。
所詮は空想上の武器、特別な切れ味を持たせるような設定がないのだろう』
「なんだ、意外に普通……期待して損した、高周波ブレードとかダイヤモンドカッターみたいなのを期待したのに」
『後、アンデットにクリティカルヒットらしいな、どういう原理だか不明だが』
アンデットってどこのファンタジー世界に登場する怪物ですか? いまいち実用性が分からない。
「で、キャバリアーってヴァルキリーを守る騎士って設定らしいけど、ヴァルキリーより弱いんじゃ前衛は無理なんじゃないの?」
『あくまでそれは設定に過ぎない。 エインフェリアといっても死んでいるわけではないだろう。 戦力差を考えればキャバリアーはサポートとして使うのが妥当だ』
後衛が前提のクラスをなんのためにって護衛騎士って設定にしたんだか。
どう見ても守られる方だと思うよね。 この辺り開発者に問い詰めたいわ。
「でサポートって具体的にどんなことができるの? 戦った感じ、劣化ヴァルキリーとしか思えないんだけど」
『まずは一つ、私相手に行っていたように脳内回線で会話可能だ。
あとは一時的にヴァルキリー視界の共有が可能だ。 後はキャバリアーの武器をヴァルキリーが召還できる』
えっ、試しにレーザブレードを召還してみる。 眩い光とともに光線レーザー剣ブレードが現れる。
「わっ、ホントに召還できた。 確かに軽いわね、これ。 レーザーだから長さも調整可能みたいだし……結構使えるかも」
アサルトライフルも召還してみたが取り回しが悪すぎる。これは前衛向きじゃない。普段は坂崎のメインウェポンにしておこう。 まあ、機会があったら使ってみようかな?
それで最後の視角共有、坂崎の見ている風景が見える感じ。 しかしこの間は満足に体を動かすことができなくなる。 見えるのはどちらか一つの視覚のみ、デュアルモニターのようには行かない。 余裕があるとき限定の能力って感じね。
以上の能力を分析するに、確かにキャバリアーの能力はサポート向きだ。
坂崎がメイン武装にスナイパーライフルなんてものを選んだのも、あながち間違いじゃない……のかも知れない?
ある程度キャバリアーの実用性について試したところで時間を確かめると、もうそろそろ刻限である。 というわけでログアウト。
そういえば学校裏SNSの話をしている途中だったっけ。
「で、見せたいものってこれだけなの?」
私はデスクトップパソコンに張り付いたまま、そのログを終わりまで読んでみる。
やはり最近、葵と瀬川会長は頻繁に会っているらしい。
親友として複雑な心境、葵そんなこと全然話てしてくれなかったし。
「あっ、三奈坂さんのアカウントIDも作っておきました。 書き込んでみませんか?」
「誰が、そんなプレイバシーだだ漏れSNSの話に書き込むか! まあ、リードオンリー前提でアカウントだけはもらっておくわ」
そう言って坂崎からIDとパスワードの書かれたメモを受け取る。
私の答えが不満だったのか坂崎がうつむく。
「とりあえず今夜の十二時、変身して校門前に集合! 目的はイグニス襲撃。
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