第二十四話 戦争と平和

 爆発は両方のシールドを破壊した。一瞬で空が暗くなり、さらに眩しい光が放たれた。星全体が闇に染まったが、その後まるで眩しい宮殿に足を踏み入れたように強く輝き、衝撃から解放された恐ろしい魔力だった。

 爆発の余波が少しずつ落ち着いた途端、まだこの場の全員が防御の姿勢を取っている間にザンカフロスがまず虹の神の前に殺到した。顔が見えない悪魔、飛んでいるうちにその重装甲の奥からザンカフロスの囁きが微かに聞こえる。

「紫竜の炎紋…」

 ザンカフロスは手を伸ばし、すると手のひらから紫の炎が広がり、全身を覆った。

 アルボルシューは素顔のまま右手で戟を投げ出した。赤い戟に纏う七色の炎は触れた空中に漂う塵や破壊の霧をすべて溶かす熱波を作り出した。戟は燃える車輪のようにザンカフロスに向かってぐるぐると回転して飛ぶ。

 ザンカフロスの横にある紫色の炎が逆世の呪文文字に凝縮し、そしていままで兜がなかったが、鎧の上に真っ黒な部分が突出した。呪文の文字が炎に化してその真っ黒な部分に纏って徐々に紫黒のドラゴンの頭模様の兜を形成した。そのドラゴンの目から強い紫色の魔力の波紋を放っている。そんな兜よりも大きく、誇張といえるほどの大きさの肩鎧は黒い破壊の力を噴水のように周囲に噴射し汚濁を散らす。逆にやや薄く見える上半身の鎧はドラゴンの鱗のようでまるで革を丸ごと剥がしたようだ。ドラゴンの骨のようなものが破壊の霧や紫色の炎の中で微かに見える。

 ザンカフロスはいくつかの激しい紫色の炎を玉のように凝縮させ飛ばして飛んでくる戟を打ち返した。相手の能力をさらに一歩試すためにアルボルシューは飛んで帰った戟を捕まえて膨大な魔力を注入した。真っ赤な戟に突然マグマのような魔力の糸が現れ、その戟を振るだけで戟から発せられた眩しい赤い光は敵の目を燃やしそうだ。

 そしてザンカフロスが本番の決戦に初手を打った後、他の虹の神々はすでに襲い掛かって来た悪魔たちと激しい戦いを始めた。アルボルシューの一連の動きを警戒しながら見守るザンカフロスは体内の破壊の力をさらに増幅して準備をしている。


 木神・アルサイドは、反対側に周囲の戦況や目の前の木神に無関心な表情をするクロルを睨みつける。すでに木神・アルサイドの攻撃によりクロルの体に無数の木の棘が切り刻まれているが、クロルは痛さも知らずにそれらの棘を体内から取り出してからすぐにクロルの体は肉と白い血で満たされ、無傷に戻った。

 一方、水神・パールニは水元素の攻撃だけでドムを打ち負かし、ドムが負けるのは恐らく時間の問題だろう。確かに破壊の力に最も有効な元素は幻と極めて純粋な光の力だが、汚濁を清める水元素はドムの炎と土の攻撃を完全に撲滅する。水神・パールニは水元素本来の強さを発揮する唯一の者。

 土神・スーズリオとマルフォンは星の大地を支配し、爆発させ、固める。戦場の地形を変えながら一連の爆発を引き起こした。戦いは不可分で長期戦になりそうだ。

 しかし、風神・ポエトルは破壊の力によって増幅されたケーズの剣心の能力に非常に悩まされ、風の呪文を使ってケーズの魔力が尽きるまで防衛を固めるようだ。

「ずっと待っていたのに、少し様子が変わっただけか?」

 ザンカフロスは再び飛んでくる戟を打ち返したあとアルボルシューにクックックと嘲笑したが、アルボルシューの表情は全く変わらなかった。彼の長くて濃い赤髪が彼の左目と肩を覆い、真っ赤な鎧に周囲の空間を捻じ曲げるほどの炎が燃えている。だがそれほどの強者は二回もまともな攻撃をしなかったため、自分のことを舐めているか、そもそもその強さはただ虚勢を張っているだけか、破壊の力や魔力が紫の炎と共に燃やしているザンカフロスはこのつまらない戟の打ち返しゲームを飽きた。

 彼は再び襲い掛かった炎に纏う戟の攻撃を避けた後、急いで進み、兜の中の緑の目や緑の口が歪む笑顔をしていて極めて不気味だ。


 間もなく自分に接近するザンカフロスを見て、アルボルシューはただ低い声で呪文を詠唱した。

「炎爆。」

 一瞬にして、白い光が覆い、強烈な赤い光がケール星の上空を照らした。太陽のように燃え盛る火の玉がアルボルシューの体から広がり、襲い掛かったザンカフロスを彼が打ち返した戟のように飛ばした。同時に爆発のような音だけでも堅固な要塞を粉砕するほどの威力だった。煙が消える頃には、ザンカフロスの鎧はほぼ砕け、彼自身も重傷を負い、しばらく再起不能な状態になった。

 だが、アルボルシューの背中まで急に現れた光神・サイドハクは低い声でアルボルシューに言いかけた。

「邪神・オーズマ、彼の封印術が失敗して一部の力を封印したのみ、すでに彼は心を失った…」

 アルボルシューは話を聞いたあと、戟を見下ろしたまま言い返した。

「私がオーズマに対処するので、あなたはアルペルトを助けてあげて。」


【風の領域】鬱蒼とした森の中、心を清めるほど穏やかな青い湖に突風が吹き、新鮮な湿気をもたらした。背の高い木々の下で、無数の明るい花に囲まれている。

 静かに通り過ぎると、この恍惚の境地のすべては本物か偽物か幻のようだ。ここは夢の世界、もしくは妖精の国、あなたは心の中で推測しながら森の奥に向かって進む。

 深呼吸をすると、地上の争いから遠く離れたこの純粋領域の空気に酔わせる。夢!まるですべてが夢であるかのように、静かな森の海で、この世界のすべては夢に過ぎないと悟る。

 この果てしない森の中で、そのまま進むあなた…目はほぼ単調な緑でいっぱいだが、決して煩わしいことはなく。なぜなら心に影響を与えるのは魔法や物質ではなく、人の芸術のような概念がない自然に対して親近感のある境地。この場所だけが、終わりのない【魔法】の呪いを取り除き、人々に短期的かつ永遠の平和と静けさをもたらす。

 遠くの森の奥で、突然眩しい白い光があなたの目を突き刺した。その痛みは針のようだった。だが、そこで止まるつもりがなく、目を半分閉じたまま先に進んでその源を探る。光の方向を見ようとすると、まだ眩しくて、眩しくて、結局彼女の顔が見えない。

 白い光があなたをしっかりと包み込むまで気づかなかった、まるであなたを安心させていた両側の樹木が最初から存在していないようだ。すでに周りのまばゆいばかりのレンガとタイルに囲まれている。

 久しぶりに目が光に慣れてくると、ため息をつくしかない街だと気づいた。銀でできた街!街全体が強くて白い光で輝いている!最高の富と栄光の象徴!ここに来た人々はこの雄大な銀色の街に感銘を受けた。

 あなたが興奮して驚いた同時に、あなたはここで暮らしている人達、風の領域のエルフに気づいた。彼らの顔はあなたが思うほど熱狂的で幸せそうな様子には見えなかった。町に笑い声が時々現れたが、より多くのエルフは、彼らの顔に無関心な表情をしている。だが、それは別に今塵世で起こった戦争と関係のないようだ。

 にぎやかで比較的活気のある市内中心部では、二、三人ペアで通り過ぎる風の兵士が周りを見回している。無関心な大人のエルフと時折叫ぶ市場の売り手は歩いたり取引したりする。ここで留学し豊富な元素の知識を学ぶ別領域の者たちも少なからずいる。若いエルフのカップルが噴水か広場でいちゃつきしている風景と子供エルフが元気に走っている姿だけが、この奇妙な街に少し活気を与えた。

 この時、この銀色の街を最初に発見したときの興奮や驚きと同じ気分ではなくなり、あなたの表情も周りの大人エルフと同じように冷たくなった。同時に心の奥が不安の種が撒かれた。あなたは先ほどの天国のように心が落ち着く林海が恋しくなった。

 突然、真っ白な氷の結晶が弧を描いて銀の街の上空に現れ、鈴のように音がするとともに、氷の魔法陣が空中に形成されている。

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