第十二話 救済と窮地
【守護結界】カルロ・ジックは謹みの心構えを持ち、パーリセウスの背中に付いて歩く、この夢境のような美しき神々の庭で。時に風景に魅了されてしまい、その歩調を緩めて風景を眺めるが、また気を取り直し、歩調を速めて創世帝の後ろに付いていかねば。
無数の花は美しさを競うことがなく、すべてが吹かれる穏やかな風で静かに咲き、枯れることは決してない。この花の海を通過した後、金色の光がきらめく小さな小道がある、その小道を沿って遠くを見ると、壮大でも豪華でもない宮殿が見えるが、この夢のような結界ならではの特別な輝きだ、正しく神聖なり。
誰かが宮殿で悲しい音楽を演奏しているか、遠くからぼんやりと聞こえる。カルロ・ジックは曲を聞いた後真剣になる一方、パーリセウスは音楽の浮き沈みに些細な悲しみを顔に出した。
宮殿の門の前でパーリセウスは止まり、王者のオーラを混じる魔力を出した、カルロ・ジックは階段の前に着いた直後に跪いた。パーリセウスは十二つの階段を登っている途中に、鎧がぶつかって出したさわやかな音は鈴のようだ、演奏中の音楽は徐々に止まり、中に何人かの足音が響いた。
カルロ・ジックは頭を上げ、その目に敬意を満たしている。ドアがゆっくりと開けられた、突然赤い人物が彼の目に突き刺さった。それは美しい目を持つ男性である、ロングヘアの故パっと見ると男性か女性かわからない、焔が如く赤い髪に赤い瞳を持っている者だが、一見性格は冷静で真面目、色のイメージとは全く違う。彼の全身は燃えているような鎧を着ている、さらにその鎧に白い羽織が肩や手を遮る。彼の背中に黒、黄色、褐色、白、緑、青のさまざまな色の鎧や羽織を着ている六人の男性がいる。彼らはパーリセウスを見た瞬間片足で同時に跪いた。
パーリセウスは彼らを見て先頭の赤き者に質問をした。
「守護神はどこにいらっしゃる?」
「大帝、守護神は後ろの庭園、理想郷で休息しております。」
パーリセウスはうなずいた。
「守護神の休息に邪魔をしてはいけない、少し離れた場所で話そう。」
パーリセウスの話を聞いた後、7人がすぐに立ち上がって宮殿から出た、最後に、青の鎧を着ている者がそっと宮殿の門を閉じた。
カルロ・ジックはまだ階段の下で跪いているままだった。
「虹の神に拝謁致します、私は光帝を務めており、カルロ・ジックと申します。」
赤き者は手を振り、起きてという合図をした同時に優しい声で話した。
「面を上げてよい、起きなさい。」
それから彼はパーリセウスの方に向いてパーリセウスの話を聞く姿勢を整える、パーリセウスは深刻な表情で話す。
「逆世は再び侵略してきた!」
創世帝の言葉を聞いた後、虹の神全員ぎょっと驚いて立ちすくむ。赤き者は手を上げて他の神々を落ち着かせる手合図をした。
「大帝、この度悪魔の数は如何ほどでしょう。」
パーリセウスに質問をしたあと赤き者は非常に真剣な顔で話の続きを聞く姿勢を保つ。
パーリセウスは一度頷いてカルロ・ジックのほうに頭を向けた。
「彼に聞くがよい、カルロ・ジックはちょうど炎の領域から来て私に報告したばかりだ。」
カルロ・ジックは上半身をやや傾いて報告する。
「はい、悪魔は四人でございます。」
赤き者は眉をひそめた。
「きちんと確認したか?もうこれ以上侵略してこないか?」
カルロ・ジックはしっかりとうなずいた。
「はい、ここに参る前に宇宙の裂け目を閉じました、今のドムは闇の領域に向かい、再度悪魔を召喚するほどの時間がないと思われます。」
すべての神の表情は驚きの表情から深刻になった。 そして彼らの口調からも、彼らは非常に不安であることがわかる。
黒き者は一方前に進んでパーリセウスに進言した。
「大帝、すぐに時間を止めるために呪文を唱えてください」
しかし隣にいる黄色の鎧を着る者は首を横に振った。
「それは闇の領域に到着してからだ、いま創世の瞳も余分の力を使えない今では無理だ。向こうの時間を遅らせる時間の壁を設定したいが範囲が広すぎる。」
白き者はカルロ・ジックに尋ねた。
「闇の領域には今何人の軍団を持っている?」
「はい、伝令兵の伝言によると風帝、闇帝。氷帝三人と三つの軍団の精兵が現地にいます。」
赤き者を除いてすべてが安堵のため息をついた、褐色の鎧を着る者は隣の白き者に話した。
「現地にそれほどの軍隊がいればひとまず安心できる、あとは増援を送ろう」
赤き者は後ろの話を聞いてうなずいた。
「悪魔は四人しかいないが、彼らの強みはどの程度だ?彼らと戦ったことがあるか?」
「私はそのうちの一人とほぼ互角です、もう一人は恐らく私よりは強いですが。残りの悪魔一人の魔力が感知できなかったため実力がわかりません、もう一人の魔力は私よりも弱いですが、不気味なオーラを出していましたため簡易に判断できません。」
赤き者はカルロ・ジックの報告に満足した表情を出し、跪いてパーリセウスに進言をする。
「大帝、念のために、龍の両翼を増援させてください。私たち虹の神も直ちに出発し予備軍として参るのはどうでしょう。」
パーリセウスの口元が綻んだ。
「それはまさに私が計画したことだ。」
【闇の領域】グラシューとケーズは邪炎が雨のように降り注ぐ空を回避して飛び回る。邪炎が地面に落ちた後、すぐに地面に黒い霧が吹き荒れた。ケーズは闇の領域の大地が悪魔によって穢されることに激憤し、左手で幽霊竜の背中をしっかりと掴んだ。右手に剣を持ち、ドムたちに向けて指をさした。
「我が星の大地を汚し、我が領域の勇士たちを殺した。その罪、絶対にその命で償わせるぞ!」
グラシューは両手で氷骨剣をしっかりと握りしめ、剣から青い光が爆発し、邪炎に打たれて半分砕けた剣を元の形に復元した。そして彼も剣を振り上げ、ドムたちに向かって叫んだ。
「塵世の生き物が逆世の悪魔を召喚しやがって、ドム、お前を万死にしてやる!」
ノールグラスは二人の間に飛び込んできた。ドムたちを見つめながら話した。
「私についてきて、呪文を使って私の攻撃魔法を強化してくれ。」
話し終えた後、ノールグラスは手で闇帝と氷帝の魔力を集め、頭上に挙げたまま勇敢な兵士たちに包囲されたドムに向かって飛び込んだ。
ドムは巨大な斧を水平に持ち、すでに自分に斬られた死体でも見るような目で、必死に抵抗している軍団兵を一瞥した。彼の体からより強力な魔力を解放し、巨大な斧を通して邪炎に変えた。近距離でドムを攻撃する兵士たちはあっという間に燃えてしまい、上空から落ちてきた。
その後、ドムはノールグラスの方向を向いた。すでに強力な魔法の源を感知したようだ。そして彼は邪悪な笑顔を浮かべ、周囲に邪炎を放つのをやめて巨大な斧を振りながらノールグラスに向かって突進していった。
ノールグラスは腕を空中で振り、凝結した氷が三日月の形をしてドムを襲った。ドムは一撃で氷を壊してノールグラスに向かって加速したが、ノールグラスの目的はまさにそこだった。ノールグラスは両手を合わせて、斬られた氷の破片から青い光を放ち、ドムの体に貫通して角氷に固まった。
この状況を見て、マルフォンは口を開けて数回笑った後、左手を振った。すると角氷が一瞬で爆発し、ドムもこの一撃で負傷したが、彼の体から発せられた黒い破壊の霧が彼の体を修復した。
ノールグラスの目にある青い光は青い炎に変化した。その後、ノールグラスは両腕を伸ばしてドムの周囲に青い火でできた数個の呪文文字を作り出した。文字は徐々に形成されて回転していると、巨大な氷骨剣が形成されて空から落ちて「カラ」という大きな音がした。剣の体が地面に落ち、大きな穴が開いたが、ほんの数秒で、激しい邪炎によって形成された「炎爆」の魔法が氷の剣を吹き飛ばし、剣は砕け散った。
「これは今の体で使える最強の攻撃だが、ドムのやつ、私と戦っていた時代と比べて回復力がさらに数倍強化されている。もはやここまで不死身に近い。」
ノールグラスの目は元の状態に戻り、目の中の光も少し暗くなってきた。
セミトスは上空にて彼の血のような両目を開き、クロルに冷たく言った。
「この茶番劇に俺はもう疲れた、そろそろまとめて始末しよう。」
ザンカフロスはセミトスの話を聞いてマルフォンの隣に飛んだ。
「あまりにもドムという輩は長い時間をかけて下の者と戦っていたので、あなたと私の間でどっちが彼らに対処するかを決める時が来ましたね。」
マルフォンは彼の体を少し動かして返した。
「ザンカフロス、今回はお前の番だ、俺はまだ結構この茶番劇を楽しんでいたけどそろそろ終わりにしないと援軍が着きそうだ。」
セミトスは再び発言した。
「俺が欲しいのは素早い戦いだ!下の氷帝と闇帝の強さは過小評価されるべきではない。お前とマルフォンの強さは攻撃一発で死に達することができないだろ。だからこそ俺が、逆世と塵世の差を示そう。」
ザンカフロスはゆっくりと上空に漂い、マルフォンとクロルもセミトスから離れた。下にいる氷帝達はセミトスが降り立ったのを見て恐ろしさで居てもたってもいられない。ドムは斧に寄りかかってセミトスが撃つのを待って笑っている。
セミトスはそのまま恐怖で動けない氷帝たちの目の前にゆっくりと降り立った。
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