第4話 変身薬って…めっちゃ魔法みたい!

 町へ着いた時にはもう夕方。

このまま歩き続けるわけにもいかないから、今日は宿屋を見つけて一泊。

 「はい。二名様ですね、一部屋空いてます」

「では、それでお願いします」

何から何までソニアが手配してくれた。

ホント感謝しかないよ!

 「部屋が空いていて良かったねえ。ご飯は部屋に持ってきてもらって食べようか?」

多分他の人と食べていると誰かに絡まれたりするからかな?

「うん、いいよ」

 そこで宿屋の人に聞いてみると、

「手が空かないので持っていく事は出来ませんが、お客様が運ぶのなら大丈夫です」

そうかー。でも無理言っちゃいけないもんね。

「分かりました。では時間になったら取りに来ます」

とだけ伝えた。

 その時、

「おう姉ちゃん、こっちで俺らの相手してくれねえか?」

その辺のテーブルでお酒を飲んでいた男の人達がワタシ達に絡んできた!

「ちょっ、っ!」

「あいにく、相手にしている暇はないんでね」

「なんだと?」

 連れの男の人も来て、

「いいじゃねえか。そのフード取ってこっち向けよ!」

そう言いながらソニアのフードを無理矢理取ると…、

「えっ…」

「いやあのその」

突然キョドり始めた。

 フードを取られたソニアは…。

人間の姿になっていたの! しかも美人!

「もう用は無いね。じゃ!」

そう言って部屋へ戻ったんだ。


 「えっ!? 変身できるの!?」

「ああ、これかい? 魔法使い調合の変身薬をここに入る前に飲んだのさ」

そう言いながら自分の髪の毛をいじるソニア。

「いやー、めっちゃ美人!」

「やだねえ、照れちゃうじゃないか」

そう言いながらはにかむソニア。なんかまんざらでもないみたい。

 「薬の残りも少ないから滅多に使わないんだけどね。こういう町とかに入るとあの姿では目立つからねえ」

「へー、そうなんだ」

とは言ったものの、この人間形態でも充分目立つような気がするんだけど。

 「そういえば魔法とかで変身って出来ないの? 薬だけじゃ大変そうだけど」

「魔法はねえ…魔法使いの認定試験を受けて合格しないと使っちゃいけないんだよ」

あ、じゃあ簡単には使えないんだ。

 「年一回そういう試験があって、適性検査と魔力測定で判断されてから弟子入りして一人前に認められれば名乗れるんだよ」

そんなに狭き門だったとは!

「アタシは魔力が無かったから剣術の腕を磨いたのさ。それで変身する時は薬を調合してもらってるんだ」

「それってお金かかるんじゃない?」

「まあ普段顔見知りばっかりだから、町で野良仕事する分にはいらないからねえ」

それでも一応麦わら帽子は被るんだって。

 「それに、この旅のついでに薬を魔法使いからまた買ってこようと思っていたしね」

「魔法使いの住んでいる所って、王都から遠いの?」

もし遠いなら、ソニアの用事を優先してもいいんだけど。

「いや、ダラダラした生活が好きな人なんだけど、都会の近くだと便利が良いからって理由で、王都から半日位かかる場所に住んでるんだよ。だから王都に行ってからでも大丈夫だよ」

 とりあえずワタシの用事を優先してくれるみたい。

 「王都に着いたらある人に手紙を渡してってじいさんに頼まれてるから、どちらにしても行かないとね」

そう言いながらソニアはフゥーっとため息をついた。

 「…ひょっとして、その手紙を渡す相手に会いたくないとか?」

「うーん、まあ色々めんどくさい奴だからねえ。さて、ご飯の時間だ。取りに行こうか」

 ワタシ達は下の食堂でご飯を受け取ると、部屋へ戻ってご飯を食べたんだ。

まだあの人達がいたけれど、その時は全然絡まれなかったよ。

 それどころかソニアをうっとりとした目で見ていたから、あれは…惚れたな!

まあそれはともかく美味しいご飯を食べてその夜はぐっすり休んだんだ。

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