第3話 旅は道連れ 変態注意!
「じゃあ、行ってきます!」
ワタシは獣人のソニアと一緒に王都に行くことになった。
「気をつけて行くんだぞー」
家の前でおじいさんが手を振って見送ってくれた。
「へー、ツカサって名前なんだ。良い名前だね。これからよろしくね」
旅立つ前にお互いに自己紹介。その後ワタシは貴重品をカバンにしまった。強盗とかに目を付けられないようにするためなんだって。
「じゃあ、まずは隣の町で買い出しをするかねえ」
深くフードを被って剣をたずさえたソニアにこう言われた。
「買い出し? お金は? ワタシ持ってないんだけど」
ソニアは手持ちのカバンからジャラッと袋を取り出して見せてくれた。
「じいさんからお小遣いと、今まで働いて貯めていた分の給金を持ってきたのさ。アンタ、よくそんな軽装の上に文無しで旅が出来たね」
ワタシは笑ってごまかした。
「いやまあ…」
「ま、何かあってもアタシがこの剣で守ってあげるからね」
ポンポンと腰に着けた剣を叩きながらソニアが言ってくれた。
か、カッコいー!!
ワタシが男だったらホレてしまうよ絶対!
「ありがとー!」
弓を持ちながらニコッとソニアに言ったんだ。
「ところで、弓矢は使えるのかい?」
「だいじょぶだいじょぶ。小さい頃から弓道って弓を使う競技をやらされていたから」
「きゅう…どう?」
「あー、まあ使い方も腕前もだいじょぶだから!」
そう言いながら肩に弓を掛けて歩き始めた。
「なんだか人が増えているよう…しかも女性みたいだし…声が余計かけずらくなったよう…」
木の影から昨日と同じように
「お師匠様に聞いていたけど、あの人の助けを借りた方がいいのかなあ…でも…」
モジモジして全然動こうとしない。
「とにかく! 早く事情を説明してお師匠様の所へ連れていかないと!」
追いかけようと後ろから付いていく事にした。
「ねえ、なんかさっきから後ろを付いてくる奴がいるんだけど…」
「んー、なんだろうねえ」
「心当たりは?」
「ないないないない」
手を横に降って否定するワタシ。こっちの世界に来てまだ2日しかたっていないもん。知り合いはおじいさんとソニアしかいないし…、
思い当たるとすれば、
「召還した人…?」
でも、そうだとしたら召還した後すぐに声をかけてくるはずだよねえ。
少し考えていると、
「まあ変な奴だったらアタシが追い払ってあげるよ」
ソニアが頼もしい事を言ってくれた。
「うん! その時はよろしく!」
てくてくてくてく
てくてくてくてく
同じスピードでついてくる。それもそれでなんか嫌だなあ。
ワタシはわざと立ち止まって振り返ると、とんがり帽子と魔法使いが着るようなロープを着ている男の子が立っていた。
いきなり立ち止まったからビックリしたみたい。
「ねえ、話があるならついてくるだけじゃなくて話しかけたら?」
「いや、あの、えっと…」
話をするのが苦手なのかかなりキョドっているんだけど。
「アンタ、うちらに用があるのかい?」
ソニアがドスを効かせた話し方で聞いてみる。
「はっはい! えっと…うわっ!」
言いながら近づいてきたんだけど、道につまずいて転んじゃった。
「イタタタ…」
そう言いながら起き上がると…、
ファサ…
魔法使いの帽子の先がワタシのスカートに引っ掛かってめくれた…。
「…キャアアアアー!!」
「ご、こめんなさい!」
「何してるんだいこの変態!」
慌ててワタシがスカートを押さえると、ソニアが魔法使いを素手でぶっ飛ばした!
「ごめんなさ~い!」
そう言いながら遠くに飛んでいっちゃった。
「ふう…とんでもない目に遭ったねえ。大丈夫かい?」
「あ、うん…大丈夫…だけどあの人大丈夫かなあ」
「さあ? ツカサをこんな目にあわせたんだから自業自得だろ?」
ソニア、腕を組んで怒っているみたい。でも、
「…意外と可愛い下着…いやそういう話じゃなくて…」
何かブツブツ言っているんだけど…。
「気を取り直して隣町へ行こうか!」
その日の夕方までに町へたどり着いたんだけど、なんかバタバタした一日だったなあ。
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