第2話 珍獣? 魔獣? モフモフサラサラ!

 目を覚ますとなんだかモフモフした暖かい感触…?

「何? これ?」

 毛布とも布団とも違う感触。例えるなら羊の毛のように柔らかいかな。

 起き上がって見てみると、羊の毛が生えているけど羊じゃない生き物がワタシの周りに何匹か集まっていた。

「…なんじゃこりゃー!?」

 ビックリして立ち上がると、生き物もビックリしたのかこっちをじっと見てくる。

 「おや、起きたか?」

麦わら帽子のおじいさんが杖を突きながら歩いてきた。

「放牧しに連れて歩いていたら、こいつらが一斉に走っていったんで、何か死人でもいるのかと思ったよ。ワハハ」

 いやワハハじゃないよおじいさん。

「ん? 言葉通じる?」

「なに言ってるんだお前さん…変な服着とるが旅の者か?」

 変な服って…確かにおじいさんの格好はハイジのおんじが着ているような服装だからワタシの制服は変わっている風に見えるのかな?

 「あー、えっと…まあそんなものかな?」

あいまいに答えた。色々盛って言いすぎると、かえって不自然になるからね。

「そうかそうか。じゃあうちに来てご飯でも食べるかい?」

「えっ? いいの!?」

そう言いながら立ち上がるワタシ。昨日からなにも食べてないからペコペコペコリーナだったよ!

 

 おじいさんの家へ来たワタシ。

「おじゃましまーす」

 うわー、なんというか…RPGでよくある田舎の家? 何か分からない野菜が外の壁に干してあったり、暖炉があったり、あと食事用かな? 椅子とテーブルがある。椅子の数が少ないから住んでいる人はあまりいないのかな?

 「おーい、客人を連れてきたぞ。食事の用意を頼む」

「はいはーい。美味しいシチューがちょうど出来たので持っていきますね」

 奥の台所らしい場所から女性の声が聞こえる。おじいさんの奥さんかな?

「どうも始めま…し…」

ご飯ごちそうになるのに挨拶しないと、と声の主を見ると…二本足で歩くアフガンハウンドの…獣人なの!? 半分魔族とか!?

 「獣人見るのは初めてかい?」

「あらやだアタシが美人だからみとれちゃった?」

…冗談も言えるんだ。

「えーと、はい。初めてです」

柄にもなく丁寧な言葉が出ちゃった。

あー、でも毛並み(?)がキレイな人だなあ。人間だったらさぞ美人…いやポイントそこじゃなくって!

「ま、ご飯をどうぞ召し上がれ」

 おじいさんと獣人とワタシでご飯。シチューと丸いパンと何かのゆで野菜。

「おいしーい!」

ホントに全部おいしかった! 出された物をペロリと全部食べちゃった!

 「喜んでもらえて良かったよ。ところで」

ニコニコとしていたおじいさんが真顔で聞いてきた。

「どこか行くあてはあるのかい?」

 やっぱり聞かれたー!

「いや…えっと…」

全然この世界の事を知らないからどこに行けばいいのかも分からない。ど、どうしよう!?

「じいちゃん、王都までならアタシがこの娘に付いていってあげるけど」

獣人さんが提案してくれた。

「マジで!?」

「ソニア、いいのかい?」

「どうやらあてもないみたいだし、困った時はお互い様だしね。あの薬もまだ残っているし、道歩く時はフード被れば大丈夫でしょ」

獣人さん、ソニアって名前なんだ。良い名前だなあ。

「そうか。まあ今は毛刈りの繁忙期はんぼうきじゃないからワシだけでも世話は大丈夫だろう。ただ、人攫ひとさらいだけは注意するんだよ」

「わかってるよ。自分を守る位は出来るからね」

 そう言うとソニアは奥の部屋で何かを持ってきた。

「胸当てだよ。革製だけど丈夫だからね」

そう言ってワタシにくれた。こんなの装備そうびするなんて、なんかホントにRPGみたい!

 「そういや弓と矢があったのう。それも持っていくと良い」

「おじいさんありがとー!」

ワタシは嬉しくてムギューっておじいさんに抱きついちゃった。

 成り行きまかせで王都に行くことになっちゃったけど、ま、いいか!


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