イマドキJK(隠れ厨二病)が異世界召還されたので魔法が使えるかと思ったらどうやら違うみたいなのでのんびり旅をしてみます

東寒南

第1話 木、道、草…マルキューがない!

 木にもたれ掛かっていたワタシ。

目をこするとぼんやりした景色がはっきり見えてきたんだけど…、

 「ここ、どこ? マルキューは!? みんなは!?」

周りを見てもビルは無いし、ダチが一人も見当たらない。

「これは…俗にいう異世界転生!?」

ワタシは肩を震わせながら、

「…やったー!! 異世界転生キター!!」

空に向かってガッツポーズを取った!


 あ、自己紹介していなかったね。

ワタシ、名前は浜本司はまもとつかさ

東京生まれのギャルバリバリのJK。

 放課後はマルキューとか裏原とか回るのがいつものコース。

でも、本当はブクロとか中野とかに隠れて通う隠れ厨二病のヲタ女子なんだよねえ。

 もちろんそれはギャルのダチには内緒。

今はヲタ活にだいぶかんよう(漢字が分からない)になったって言うけれど、一般ウケじゃないのが好きなんで、言うと引かれそうだから黙っているんだ。

 てか、

「異世界転生なのに普通誰かいない!? ボッチでほっとかれるとかってアリ!?」

 周りには人っ子一人いないんだけど!

普通さあ、

「お迎えに上がりました聖女様」

とか、

「お前が救世主か?」

とかってイケメン(限定)騎士とかこない!?

何でひとりぼっちなのよー!

 「ま、いっか!」

深く考えないのがワタシのポリシー。

ここにいてもなんにもならないし、

とりま移動すっか!

 「えっと、どっちに~、こっち!」

適当に行き先を決めていざ出発!

多分電気も無いだろうけどなんとかなるさ!


 ガサッ。

司がもたれ掛かっていた木の反対側の草むらから、黒い大きめのローブを着てとんがり帽子と長い杖を持った人物がその様子を見ていた。

 「…行ったかな?」

オドオドした様子で周りを見てから道路に出てきた。

 「あの娘がお師匠様がんだ…」

司の行った方向を見て、

「『一緒に行って旅のサポートをしろ』って、お師匠様も無茶苦茶言うなあ」

ブツブツ言いながら帽子を被る。

ハアーっとため息をついて、

「ボクには女の子と一緒に旅なんて無理だよ~」

よく見ると、まだあどけなさの残る男の子だ。

 「運良く誰かいい人があの娘と一緒にお師匠様の所に連れていってくれないかなあ」

他力本願はやめておいた方が良いぞ、少年!

「…誰かに何か言われたような」

…ナレーションだ、気にするな!

「ナレーション…って神様? ん~、とりあえず接触しないように近くで見守ろう」

 司の後をつける事にした少年。

 とりあえず「ストーカー」扱いにならない事を祈ろう。


 「たーびーは道ーずれー」

 暇だからテキトーに歌を歌いながら道を進むワタシ。

 ふと思ったのは、

「召還されたんだから魔法はあるって事だよね? ひょっとしたらワタシも魔法を使えるかもしれないって事!?」

 そう思ったワタシは、そこら辺にあった木の枝を手に持って、

「火よ、着けー!」

って、テキトーに言ってみた。

だけど、全然火が着く様子は無かった。

 「まっ、今日は疲れているからかもしれないし、早く寝よっと」

日が落ちてきたし、そのまま道端に寝っ転がって寝ることにした。

 「…寝たの!? こんな道端で!? 危機感無いなあ」

先ほどの少年が近づいて魔除けの結界を司に張っておいた。


 さて、この二人の珍道中、どうなることやら。



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