虐待

「猫だって」

「え、猫?」

「お前が、昔、河原に真っ黒な猫を捨てたのを見たんだって」

「え、俺、そんなことしてないけど」

「橘によれば、お前が捨てたことになってんぞ

それで、生き物を大事にしない人はだいっ嫌いだからって」

「えー」

誤解だった。黒猫というのはおそらくクロスケのことだと思う。

家で飼えなくて、仕方なく河原で飼っていた。

でもクロスケはある日、突然いなくなった。

俺が餌をやろうといつものように河原の茂みの陰に行ったら

そこにいなくて近くを探してもいなくて。俺が餌をあげに行くと

必ずにゃーとどこからともなく現れて俺の足にまとわりついたのに!

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