誤解

「お前にだけ冷たい理由を俺が彼女に聞いてみてやろうか?」

シンヤがそんなことを朝の登下校中に言うので

俺は「いいよ」と相槌を打った。

「そこまで気にならないし」

どうせ、次の席替えまでのあとちょっとの辛抱だしな。

「でもさ、お前、橘のことかわいいと思ってんだろ。

だったら、理由を聞き出してお前に悪いところが

あったら、あらためればいいだけの話だろ」

「聞いてやるよ、待ってろ」

「え、いいって」


俺の言葉を聞かず、シンヤは臆することなく彼女のもとへ

走っていった。前方50メートルほどのところに

橘ヒナタは歩いており、

シンヤの声掛けで彼女は足を止めたんだ。

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