【シーン9:破顔】➀

シーン9:破顔 シーンPC:PC① 美堺 菜麻 全員登場


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登場侵蝕率上昇判定


美堺 菜麻:1d10 侵食

<BCDice:美堺 菜麻>:DoubleCross : (1D10) → 6


美堺侵食率:95


宵野間 灯:1d10

<BCDice:宵野間 灯>:DoubleCross : (1D10) → 4


宵野間侵蝕率:104


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GM:調査本部室に急報が入る。連絡をしたのは対魔忍だ。


対魔忍:『美堺リーダー!ジャーム……ブロークンスマイルの目撃情報です!』


対魔忍:『距離的にも……ここからあまり遠くありません!急げば捕捉も可能です!』


美堺 菜麻:「いよいよ現れたって感じですね。彼女が本物かそう名乗っているだけの誰かか、確かめてボッコボコにしくさらせてやりましょう」


二郷 友典:「よっし来たァ!秋穂の仇をとってやる!」


印南 標:「全員出動……で構いませんよね?美堺さん」


宵野間 灯:「……ついに!」


美堺 菜麻:「全員でかかりましょう。でないと勝てるかどうかわかりませんから」


対魔忍:「承知しました!では急ぎましょう!」


宵野間 灯:(コクリ)


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※GMはパソコンの前でほくそ笑んだ。

 PLにはこの時、「誰かを連れて行かない、待機させる選択肢もある」と提示していた。印南の全員出動で構わないか?はそこに由来する。

 その結果、全員出動が選ばれたのだが……これが展開に繋がるとGMは確信していたのだ。

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美堺 菜麻:「……アノ」


宵野間 灯:「はい」


美堺 菜麻:「また助けて下さいね、私達のこと」


美堺 菜麻:「道具として、仲間として」


宵野間 灯:「善処します」




宵野間 灯:「……も、もちろん、その……仲間として」


美堺 菜麻:「……ッッッヒヒッ」


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※宵野間の僅かながら見せる変化に喜ぶGMとPL。

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GM:では、キミ達は迅速に準備をして出撃した!


田岡 夕比:「……」



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GM:ひとけのない場所に、そいつはいた。



GM:ブロークンスマイル。

 両眼から薄らと焔を揺らしながら、そのジャームはキミ達の接近に気付いたのか、振り返る。



GM:薄暗く、あまり広さのない高速道路下の地下道。

 ニタリと壊れた笑顔が、闇の中に浮いているようだった。



ブロークンスマイル:「……」


印南 標:「……!」


美堺 菜麻:「貴女がブロークンスマイルですね」

 印南の前に立って彼女が取り乱さないようにする。


ブロークンスマイル:「……フッ、ふふっ」


ブロークンスマイル:「ふふふふふふふふふふふふふ」


ブロークンスマイル:おもむろに手をかざす。


クリーピング・ラット:「ギャッギャ!」

※盤上に大量に配置される4足歩行ジャームのコマ。


GM:ブロークンスマイルの号令であろうか。

 様々な場所から次々と四足歩行のジャームが湧きだしてくる!


GM:その数は尋常ではない!床、壁、天井!君達の視界を覆い尽くさんほどに、怪物達がひしめいている!


ブロークンスマイル:「ふふっ、ふふふふふふふふふふふふ¿」


ブロークンスマイル:「ははははははははッ!」


GM:哄笑が響くが、ジャームの群れによってブロークンスマイルの姿自体は見えなくなっていくだろう。


二郷 友典:「あいつ!この雑魚を囮にして逃げる気か!?」


対魔忍:「いや……そもそもこの状況が罠……誘い出された可能性も!」


美堺 菜麻:「どちらにせよここで見失ったらまた被害が出てしまいます!!」


美堺 菜麻:襲い掛かるネズミを掴んで勢い任せに吾妻へと投げる。


美堺 菜麻:「このクソ鬱陶しいクソネズミ片付けた人から追って下さい!!」


宵野間 灯:「だったら私が……!」


宵野間 灯:影に形を持たせ、大きな振動を起こさせる。スピーカーのように音を増幅させ、クリーピング・ラットたちを壁へと叩きつけた!


クリーピング・ラット:「ギャーーーーーーーーーーーッ!!!」


GM:ジャーム達が一斉に弾き飛ばされ、壁に押しつぶされる!


印南 標:「これなら……!」


対魔忍:「いや!」


GM:殆どのジャームが一掃された。

 しかし、ジャーム達はさらに新しく湧き出してくる。

 あり得ない悪夢のように。まるで、現実ではないかのように。


二郷 友典:「なら、枯れるまでぶっ殺すだけだろうがァッ!!」


印南 標:「それしか、ないようですね!」


宵野間 灯:「ッ!」


宵野間 灯:「もう一度、やります……ッ!」


GM:二郷、印南もエフェクトを使用する。

 二郷の焔が、獣へと変じた印南の爪が、次々と敵を排除していく!


対魔忍:「イヤァーーーッ!!」


対魔忍:「グワァーーーーーーッ!!」


GM:爆発!



美堺 菜麻:近くにいるネズミをぶん殴って吹っ飛ばし宵野間に襲い掛かろうとしている数体共々薙ぎ倒す。


美堺 菜麻:手を動かしながら吾妻ブロークンスマイルの行方とチームが揃っているか確認する。


GM:チームは健在だ。ジャームの個々の戦闘力自体は大したことが無く、キミ達の敵ではない。


GM:ただひたすらに敵が多いが、どうにかなっている状態である。


GM:ブロークンスマイルは逃げる様子は見せていなかった。

 ただ、邪悪な笑みを浮かべながら、そこに─────────






GM:いない。




GM:気付くとブロークンスマイルが視界の内から消えていた。


 しかし、逃げたわけではなく……




ブロークンスマイル:「(ニィ)」



GM:1d2

<BCDice:GM>:DiceBot : (1D2) → 1

※おもむろにダイスを振るGM。



GM:美堺は遅れて気付くだろう。無数のジャームに紛れたブロークンスマイルが、キミの死角へと潜り、キミを射程圏へと捉えたことを。


GM:ブロークンスマイルがEロイス《虚実崩壊》を使用。



GM:ブロークンスマイルの鋭い一撃が美堺へと迫る。


GM:しかし、それが抉ったのは────



田岡 夕比:「────────ッ」




GM:美堺を庇った、田岡であった。


ブロークンスマイル:「ニィ……」



美堺 菜麻:「……えっ?」



田岡 夕比:「あーーーー……」



田岡 夕比:「クソッ……」


GM:田岡を貫くと、ブロークンスマイルは一転、距離をとる。


GM:そして笑いながら、逃走の姿勢を見せた。




美堺 菜麻:「えっ、なんっ、なんでっ」


美堺 菜麻:「田岡ちゃんっ!!」




GM:四足歩行のジャーム自体は、キミ達の奮戦で勢いを弱めている。


GM:美堺と宵野間……あと1人くらいは抜け出して追うことができるだろう。


GM:しかし、残されたメンバーはこのジャーム達の残りを相手にしなければならない。


GM:負けることは無いだろうが、数が多い。時間はかかるし、負傷した田岡を庇うのは困難だろう。


GM:範囲攻撃のできる宵野間、戦闘力に優れた美堺が残れば田岡を守り切る事もできるだろうが……ブロークンスマイルには逃げられてしまうだろう。



GM:ブロークンスマイルが笑みを浮かべ、炎の瞳で美堺を睨む。


ブロークンスマイル:「選べ UGN お前達が守るモノと 失うモノを」




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※美堺というPCだけでなく、ニヤというPLも強く動揺していた。仕方がないことだろう。ニヤにとって田岡はそれなりに思い入れのあるキャラクターであり、また、ニヤの認識としては、彼女がここでこういった行動に出るキャラクターだとは認め難かったであろうからだ。多分。


 ついでに説明すると、Eロイス《虚実崩壊》とは、これを使用したジャームの妄想が実体化するというものである。このシナリオではPC(今回の場合ダイスで1……つまりPC1となった美堺)が抵抗の余地なく不意を突かれ、NPCがそれを庇うという展開を強引にでも成立させるために使用した。もっとも……このロイスの使用自体が、幾らかのヒントでもあるのだが。

 《虚実崩壊》はジャームを死亡させるか、GMが設定した条件を達成することで解除できる。今回は成立させたかった状況がシンプルだけに、解除条件もそれに繋がった単純なものだ。

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GM:Eロイス《虚実崩壊》の解除条件


GM:《美堺菜麻がこの状況において、『選択』をすること》




宵野間 灯:「はぁ……はぁ……」


宵野間 灯:息を切らしながら膝をつく。


宵野間 灯:「やらなきゃ……私がやらなきゃ……ッ!」


宵野間 灯:わかっている。この戦場は自分が一番上手く戦える。

 閉鎖的で音が反響がしやすい空間、大量の敵を一網打尽にできる攻撃。


 なのに、なのに──!


宵野間 灯:「はぁ……はぁ……どう、してッ!」


宵野間 灯:「レネゲイドが……!」


GM:侵蝕率が既に100を越えている宵野間である。制御が難しくなっているのだろう。


対魔忍:「クッ……!これは……」


対魔忍:「イヤァーーーーーーーッ!!!」


対魔忍:投擲!!


GM:対魔忍の投げた何かがブロークンスマイルに直撃!接着!



GM:それが発信機であることを、美堺は把握できるだろう!


GM:つまり、ここで今ブロークンスマイルを見逃したとしても、その足取りを追うことは可能ということだ!



印南 標:「……ッ!美堺さん!」


印南 標:「ブロークンスマイルがレネゲイド活性剤を持っているのだとしたら、猶予はありません!悪用される前に潰せる最後のチャンス……ですよこれは!」



田岡 夕比:「……」


田岡 夕比:「美堺……」



美堺 菜麻:「っ!」


 対魔忍の機転を確認する。


 印南の声に耳を傾ける。


 わかってる。どっちも。


 わかってるから冷静に。


 冷静にならないと。




美堺 菜麻:「……リザレクト」


 そうだ。



美堺 菜麻:「田岡ちゃんリザレクト」



田岡 夕比:「……」


美堺 菜麻:そうしたら助かる。助かるんだから。





田岡 夕比:「いやー……」


田岡 夕比:「申し訳ないんだけど、さ」



田岡 夕比:「捨てられなかったんだよね……」


田岡 夕比:「なっちゃんも、Pも、アイツも、こいつも……」


田岡 夕比:「これまで抱えてきちゃった大切なものかけがえのないタイタス



田岡 夕比:「だからまぁー……ここでリザレクトしたら……戻れない、かな」




田岡 夕比:「それは……UGNエージェントとして、嫌、かな」



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※実は。このセッション中、田岡以外のNPCはエフェクトの使用らしき描写をしてきたのだが、田岡は一切それがない。彼女の侵蝕率は非常に高い。

 彼女は持っているロイス欄の殆どがタイタスで埋まっており、それらを昇華できないキャラクターなのである。ロイスがないということはバックトラックができない、ということ。リザレクトでも侵蝕率は増加するので、それは彼女にとって詰みを意味する。

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美堺 菜麻:「…………」




美堺 菜麻:「…………」




美堺 菜麻:「…………バッカじゃないんですかアナタッ!!」


美堺 菜麻:「人には散々ほざいといて何ですかそのお人好しっぷりっ!!」


美堺 菜麻:「自分の命にまで無責任でどうするんですかっ!!」



美堺 菜麻:どうする、どうする。



田岡 夕比:「はは……ごめぇん」



二郷 友典:「何言ってんだ!UGN本部まで戻れば、幾らでも医療班が何とかしてくれんだろ!」


二郷 友典:「こんなんなんでもねぇ!選ぶまでもねぇだろ!!」


印南 標:「何言ってるんですか!美堺さん……!どちらを選ぶべきかなんて、決まってる!貴方はもう、吾妻 秋穂を切り捨てた!その理由を持っているはずだ!」


宵野間 灯:「くッ……!」


宵野間 灯:清算しなきゃ。今までの分、今まで落っことしてきた分を、ここで頑張らなきゃなのに……!



美堺 菜麻:「……喋ってないで」



宵野間 灯:「どうして、私の身体……!」


美堺 菜麻:「二郷ちゃんはアノのカバーッ!! 印南ちゃんは敵の数は減らすっ!!」


宵野間 灯:去っていくブロークンスマイルを荒い息のまま睨みつけた。


美堺 菜麻:「仲間なんでしょ!? 強いんでしょ!?」


美堺 菜麻:「だったら手を動かせっ!!」



美堺 菜麻:選択も決定も全部私がやる。


美堺 菜麻:チームの頭である私が全部やる。


美堺 菜麻:どうする、どうする。



美堺 菜麻:――選べ UGN お前達が守るモノと 失うモノを


美堺 菜麻:私は、次、どっちを選べばいい……?




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※敵が押し付けてきた選択を前に、動揺するPL。混迷の状況。

 GMはニヤニヤしながらPL1に告げた。


「今日はここまでにするので、1週間考えてきてください」

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