第10話 アクシデント
「カーテンは……」
「花柄でかわいらしいですね。白い壁によく合って、部屋の雰囲気が明るくなるし、麻保さんのイメージにぴったりです。だけどちょっと汚れてるから、取り外して洗いましょうか?」
「はい、賛成で~す!」
そういえばこのカーテン洗ったのいつだったっけ、というぐらい洗った覚えがなかった。またしても恥ずかしくなった。
「高いところなので僕が取りますから」
「あ……じゃ、ベッドの上のカーテンは私が取ります」
やはりベッドの上に乗られるのは気が引ける。
「では、手分けしてやりましょう」
わあ、なんか楽しくなってきたわ。こういうの。一緒にやりましょうだなんて、わくわくする。急に海斗さんと親しくなったような気がしていいわあ!
海斗はカーテン越し外を向いた。
床まである窓にかけられたカーテンのフックを背伸びしながら外していくと、庭が見えてきた。
おお、綺麗な庭! 花が咲いていて美しい。
端のほうからフックを一つ一つ外し横へ移動する。
麻保はベッドの上に乗り小窓のカーテンを端のほうから外す。ベッドの上に立つと、足元がぐらぐらして安定が悪い。両手を挙げているからなおさらだ。
爪先立ちすると、余計不安定……。おっと、気をつけなきゃ……。グイっと指先だけで立とうとしたその時。足元がぐらついた、と思ったらベッドの端から滑り落ちそうになった!
「危ないっ!」
声を聞き、慌てて海斗が駆け寄る。バランスを崩した麻保はベッドからぐらりと体を揺らし、手でバランスを取ろうとバタバタするが態勢はますます悪くなるっ。そして、海斗のほうへ急接近。
「おっと、気を付けて!」
海斗がカーテンから手を放し、駆け寄り体を立て直そうとし、両手を彼女の体の下に差し出すが……すでに遅かったっ。
麻保の体は斜め四十五度のに傾き、海斗はせめてフローリングの床にべたりと落ちないように祈りながら、ぐっと麻保の体の前に両手を広げ抱えるような姿勢になった。
だけど、もう無理だ! 麻保の顔が目前に迫り、体が宙を舞う。
「きゃっ、きゃああ~~~~っ、うわっ!」
部屋に響き渡る麻保の悲鳴。だが、広い屋敷でドアを締め切った状態では誰にもその声は聞こえないっ。
「うわおっ!」
せめて、地面に激突することは避けなければなるまい!
と麻保の体を、体全体で受け止める海斗。長身の海斗の体に倒れ掛かる、というか上に覆いかぶさるように麻保は倒れた。
二人同時に悲鳴を上げた。
「うわっあ~~~!」
「ぎゃゃあ~~~~~っ!」
重いっ、重いよっ、体が動かないっ。そりゃそうだよ、俺の体の上に乗っかってるんだから。
「う~~~ん、ちょっと……おお、重いっ!」
「あわわわわわわわ……、そんな~~~っ」
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