第6話
「今日は恥ずかしいところを見せてしまったね」
帰り道、孝弘は少しだけ照れながら声をかける。
「いえ、そんなことはありません」
彼はもう前を歩こうとしない。アオイの横に並び、歩調を合わせ、駅までの道を歩いていた。
アオイは、ふと、彼の横顔に視線を送る。
「……どうかしたかい?」
「いえ……今日は、いい天気ですね。明日も晴れるそうですよ」
「それも気象データを?」
「はい」
「ははは。アオイがそう言うのなら、テレビの天気予報よりよっぽど正確だろうね」
「…………」
アオイは迷っていた。
この言葉を口にしていいのだろうかと。それは本来、彼女が取るべき行動ではない。優先行動でもなければ、意味のある行動でもない。
それでも彼女にはそうすべきだと思った。……或いは、そうしたいと思ったのかもしれない。
「……孝弘さん、一つ、よろしいですか?」
「うん、どうしたの?」
「――……手を、繋いでもいいですか」
アンドロイドの、あなたへ @jambll
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