過保護お姉さんの戦い ~vs.佳澄篇 14~
「それで、いったいどんな流れで私とあんたが怪しいってことになったわけ?」
ボクの隣を並んで歩きながら、宇津科さんがそう切り出した。
空き教室からずっと話の切りがつかず、期せずして一緒に下校とあいなった道すがらだった。
宇津科さんは電車通学なのか、最寄りの駅へ向かう道を歩いて行く。ボクは自転車通学なので、中学時代からの相棒であるサビが浮きかけたチャリを押しながらテクテクとそれに従った。
逃亡の恐れなしと判断されての仮釈放中の身である。もう、ここまできたら隠してもしかたがない。
そう観念して、すべてを話した。
毒食わば皿まで。
尾を踏まば頭まで。
死なばもろとも。
……あれ? 最後のはちょっと違う? いや、違わないのか。
入学初日のクラスメイトたちとの連絡先交換をヒロ姉に話したことや、今からボクの結婚相手のことを心配する、ヒロ姉のちょっと常識外れなくらいの過保護っぷりのこと。
銃でも突きつけられてんのか? ってくらいにペラペラと白状した。
それを聞いている宇津科さんのほうは、目を見張ったり、眉をしかめたり、吹き出したりと、動画撮影して早送りしたらさぞ面白かろうというくらいの百面相ぶりだった。
ボクの話がひと段落したところで、宇津科さんがふわぁっ、と可愛らしいため息をつく。
「いやあ。ヤバいって、それ」
「だよね。本当、ヒロ姉の過保護っぷりがヤバい……」
ボクのほうも、思わずため息を一つ。
「そうじゃなくて……。いや、それもヤバいんだけど、あんたのほうがヤバい、って話」
「ボ、ボク?」
え、ボクがヤバいの!? いやいや、ボクはヤバくないでしょ。ちょっとシスコン……、いや、
……あれ、それってけっこうヤバい?
「そ、あんた。今の話の感じじゃ、あんた一生彼女とかムリだって……」
宇津科さん、真顔だ……。
「そ、そうですよねー。ボクみたいなヤツの彼女になってくれる人とか、いるワケないですよねー」
ちょっと泣きそうになった。ていうか、目尻からちょっぴり涙がこぼれてた。
自明の理とはいえ、人の口からあらためて言われると、ことさらにこたえる。
「だからそうじゃないって。あんな
…………。
ヒロ姉を
それと同じくらい、ボクの男子としての魅力をディスらない女の子がいることに驚いた。
逆に言えばそれは、
次の瞬間、そんなボクのスーパーポジティブシンキングを、二人の背後から突然聞こえた声が粉々に打ち砕いた。
「……
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