過保護お姉さんの戦い ~vs.佳澄篇 11~

 どう答えればいいのかも分からないまま、刻々と時だけが流れていく。

 実際、ヒロ姉が口にした宇津科さんに関する評価は「かわいい子ね」の一言だけだ。それが言葉どおりの意味ではなかったとしても、ただ一つの現実であることに変わりはない。

 問題は、現実と宇津科さんが求めている「事実」は違う、ということ。

 けれど、「事実」であること、イコール「宇津科さんに伝えるべきこと」であるかも、また別の問題だと思える。

 そんなことがクルクルと頭の中を回っているうちに、宇津科さんからの次のメッセージが表示された。


  私、赤城さんに嫌われて

  るよね?        20:11


 それを見たとき、なぜだかボクはちょっとホッとした。きっとそれは、宇津科さんの今度のメッセージが明らかな誤解だったからだ。

 誤解であるならば、解けばいい。

 ただひたすらに。

 迷うことなく。


      20:12 いや、それは絶対にない


  なんで自信たっぷりだし 20:14


 なんでもなにも、事情を裏のウラまで知り尽くしているものですから。


      20:15 あれは嫌ってるんじゃな

          くて、警戒というか、牽

          制してるだけかと……


  牽制とな? 20:15


      20:16 うん


  「うん」ではないわ

  なにゆえわらわが牽制さ

  れねばならぬ?     20:16


 こわ……。

 なんか、いつの間にか宇津科さんが大奥キャラになってる。

 ガクブルしているうちに、追い討ちのように次のメッセージがピロリンと届いた。

 

  明日 20:18


 あ、明日? 明日、何かされるのかな。


  そ 20:19


 あ。これ、また一文字づつ区切られて来るパターンのやつかな。


  の 20:19


 やっぱりそうだあ。

 死刑までのカウントダウンみたいで、なんかいやぁ!


  へ 20:19


  ん 20:20


  く 20:20


  わ 20:20


  し 20:21


  く 20:21


 いやあぁぁぁぁ!!! 怖い! ほんと怖ーーーい!!!

 ……明日、学校休んでいいですか?

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