過保護お姉さんの戦い ~vs.佳澄篇 9~
何してる? 19:45
トークルームを開いたら、たったこれだけポツリと表示されていた。初めてのやり取りだというのに、挨拶すらなしか。
人の憩いの時間を邪魔しておいて、ふてぶてしいにもほどがある。
19:49 めし食ってマッタリ
ムッとしながら、ありきたりな返信をそっけなく返す。するとほとんど間をおかずに返事がきた。
いや、オマエじゃなく…… 19:50
え、ボクじゃない? ボクにメッセージ送ってきておいてボクじゃないってどういうことなん?
コイツの言わんとすることがまったく分からない。ていうか、分からないほうが幸せかも知れない。
この奇妙な状況に首をひねっていると、たて続けにピコンとメッセージが表示される。
今朝のお姉さんはよ? 19:51
ああ。そっちか……。
さては今朝の騒ぎ、そ知らぬふりして聞き耳を立ててやがったなコイツ。
それにしても連絡先交換の時の態度とか、このメッセージのモノイイとか、いちいち上からな感じがしてイラッとくるんですけど?
そもそもキサマごとき、ヒロ姉に興味を抱くことすら許されぬ……。
19:54 今、風呂に入ってる
腹いせ
妄想にでも
なにをボサッとしてる!
画像はどうした!?
間に合わなくなったらど
うするつもりだ! 19:54
見事なほど注文どおりな反応だった。意外性のない釣りってつまらないなあ。
……いや、ちょっと待て。何に何を間に合わせるつもりなんだ、コイツ。
それにしても、世界の至宝とも言うべきヒロ姉の裸体を
このボクですら六歳の時以来見てないんだぞ……。
しばし考えを巡らせたのち、とりあえずは父親の実家である畜産農家で飼われているハルコ(雌牛)の水浴び画像を投稿しておいた。
……あれ? 意外とお似合いかもな、この二人。じゃなくて、一人と一頭。
さて、これ以上グズグズしててハルコを紹介してくれとせがまれても困るし、画像の投稿と同時にトークルームから撤退する。
梶田からのエスケープに成功してホッと一息ついていると、別のトークルームに未読通知があることに気がついた。
誰だー。またヒロ姉情報目当てのヤローか、とか内心イラッとしながらトークルームのタイトルを確認する。
“宇津科さん”
……う、宇津科さん!?
ガバッと跳ね起きて、思わずベッドの上に正座した。
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