Sランクパーティを追放された荷物持ちは、大聖女とイチャラブしながら成り上がる。ヘイト管理の重要性にようやく気付きましたか?~今さら戻ってこいと言われても、もう手遅れです~
『真紅の華』の華麗なる冒険活劇 Ⅳ ジュリアン視点
『真紅の華』の華麗なる冒険活劇 Ⅳ ジュリアン視点
「ううぅ、どうして? どうしてこんなことに!?」
ジュリアンこと、あたしはハイオークの群れに追いかけられながら地面を這いつくばっていた。
『真紅の華』……女性だけの冒険者パーティとしては唯一のSランクパーティだった。あたしの美貌とカリスマ性に多くのファンもいた。
そんなあたしが……、なぜ今こんな状況にっ……!
泥まみれになりながら、必死に地面を這っていた。足は折れてしまっており、立ち上がることは出来ない。
ドスンッ! ドスンッ!
ハイオークたちの足音が後ろから響いてくる。ゆっくりとだ。
奴らはあたしをなぶり殺しにする気だ。あたしが必死に逃げているのを眺めて楽しんでいるのだ。
奴らのうちの一体が、気まぐれにでもあたしの足を踏みつければ、あたしはたちまち悲鳴をあげるだろう。
しかし、奴らは何もしてこない。ただただ眺めているだけだ。人間が足の取れた虫を観察するように、興味本位であたしのもがき苦しむ様を見ているのだろう。
「ううぅ、お前らなんか……足さえ折れてなければ瞬殺なのよ……なんでこんな目に……」
あたしは昨晩のことを思い出した。
あのラルクという下級冒険者のことを……ヤツは強かった。
あたしたち『真紅の華』五人を相手に、ヤツは仲間と二人で立ち向かってきた。
結果、あたしたちは負けたのだ。
認めたくない……。認めたくなかった。
ラルクは下級冒険者なのよ。それなのに……、いっしょにいた女も初めて見るようなヤツだったのに、なぜあんな強さをしていたの。
あたしはギルドに属している女性冒険者のことはよく知っていた。同じ女性だから嫌でも目につくのだ。
ラルクといっしょにあたしたちを倒した女は初めて見る顔だった。
あんな強い女性冒険者がいたなんて、今まで気づかなかった。
あたしの仲間を三人もいっぺんに相手にして、大した傷一つなく倒していた。
あんな強い女がいたなんて……、恐らくあたしより強い。
コツンッ!
「イッッタ!」
頭に何かが当たった。
「な、なに?」
振り返ると、ハイオークたちがあたしに向かって小石を投げていた。
「うううぅぅ、ぐぐぐうううぅぅ……」
悔しさで涙が溢れてくる。
あたしはハイオークたちにもてあそばれている。
奴らにとって、あたしはただのおもちゃでしかなかった。
こんな場面、ギルドの冒険者たちが見たらどう思うだろうか。あたしは涙と汗と泥まみれになりながら必死に地面を進んだ。
その時、ハイオークの一体があたしに近づいてきた。
「ひっ、やめろぉっ!」
あたしはそいつに足を乱暴に掴まれて、逆さまに持ち上げられた。
あたしは両手を必死に振り回し抵抗をするが、もう腕にはまったく力が入らない。
ハイオークは、そんなあたしを見ながらニヤニヤと笑っている。
「くっ、殺せ!」
ハイオークに逆さまにされ、足を持たれているあたし。そんなあたしの目線の先には、大きく肥大したハイオークのソレがあった。
「ひっ! な、なに!?」
こいつらは、あたしを犯そうとしている……。Sランク冒険者のあたしを……。こんなものでムリヤリされたら、壊れてしまう。それどころか死ぬだろう。
「や、やめて……やめてょ……」
あたしは力なくつぶやいた。
そんなあたしの言葉など意に介さず、ハイオークはあたしの体を地面に置き、とうとう覆いかぶさってこようとした。
ガサガサッ!
その時、茂みから何者かが現れた。
あたしは、目を疑った。
そこには、白銀の鎧を身につけた剣士……などではなく別のハイオークが立っていた。
「っが……なんでぇ……」
助けを期待したあたしののぞみはかき消された。
「ごるるるぅっ!」
そのハイオークは、鎧のようなものを身につけていた。他のハイオークたちと比べて、群れの中での
「ごるぅ! ごるる!!」
現れたハイオークが一言発すると、あたしを掴んでいたハイオークは手を放した。
ドスンッと、あたしは地面に頭から落下した。
「いったあぁ……」
他のハイオークたちは、今現れたハイオークの言うことをきちんときくようだ。
おそらく群れのボスなのかもしれない。
ハイオークのボスは、他のハイオークに何事かを話している。
あたしのほうを指さして、何かを指示しているように見える。
すると、二体のハイオークがあたしの体を持ち上げて、運び出した。
乱暴な手付きであたしの体を運んでいくハイオークたち。
「いやああぁ」
そして、ハイオークたちに抱えられたあたしはそのまま森の奥へ連れ去られていった……。
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あとがき
読んでいただきありがとうございました。
7月4日に新作投稿しました。こちらもお時間ありましたら、御覧ください。
↓タイトル
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