第6話

俺、佐藤リュータ。昨日の神様のくっそ長くて意味不明な話を聞いた新高校生だ。隣の席にいい感じの女子を用意したっていうけど……。あ、いた。なんか神様の髪を黒髪にしたような人だな。とてもきれいな人だ。俺はドキドキしながら隣に座った。

「あなたが隣?わたしの名前は竹中涼子よ」

そう言って彼女は微笑んだ。すごくかわいくてドキドキする。

「俺は佐藤リュータ。よろしくね」

と挨拶をした。ホームルームを終えて彼女と会話する。

「ねえ、あなたの好きな人は誰?」

いきなり聞かれた。俺は答えられなかった。

「ふーん、いないんだ。じゃあ私が立候補しようかな」

彼女は笑顔で言った。

「え!立候補って……」

俺はびっくりして聞き返した。すると彼女は少し顔を赤らめてこう言った。

「私、あなたが好きになったみたい」

そして彼女からキスされた。ドキドキした。そのまま2人で一緒に帰った。

「今日は楽しかったわ」

と言って彼女が手を振った。俺はドキドキしたまま家に帰った。これが神様のご利益……?

次の日も学校に行った。すると隣の席にはまたあの子がいた。しかも昨日より美人になっている気がする。俺はドキドキした。

「おはよう」

と声をかけると向こうからもあいさつしてくれた。

「おはよー」

そう言いながら彼女は笑っていた。その笑顔を見た瞬間、俺の心の中に温かい気持ちが流れてきた。まるで心の中が満たされていくような感覚だった。こんな経験は初めてだ。どうやらこの子は俺のことを好きになってくれたらしい。

「ねえ、俺のこと好きなの?」

思わず聞いてしまった。しかし彼女は首をかしげただけだった。まあそんなわけないよね。でも俺はなんだか彼女のことを信じたくなってきた。これはご利益を得ているに違いない。そう思うとうれしくなった。彼女に告白されて、俺もその子のことが好きになり、幸せな気分になれた。こんなことは今までなかった。きっとご利益のおかげだろう。

それから毎日が幸せだった。デートしたり勉強を教えあったりしているうちに仲が深くなっていった。ある日、彼女と自分の部屋で過ごすことになった。

「ねえ、私達もう恋人同士になったし、そろそろいいんじゃない?」

と彼女が言った。俺はドキドキしていた。ついにその時が来たのか……。緊張しながら彼女を抱きしめると、彼女は目を閉じて俺を受け入れてくれた。そのあと俺たちは一つになった。それは初めての体験だったがとても幸せな時間だった。彼女と過ごす日々はとても楽しく、幸せだった。そんなある日、彼女は言った。

「リュータ君に隠し事をしていることがあって……」

「なにそれ?」

と俺は聞くと彼女は答えづらそうな表情を浮かべていた。しばらくして彼女は意を決したように話し始めた。

「実はね、私はあなたの知っている人ではないんだよ」

衝撃的な言葉を聞いた。俺は驚きすぎて固まってしまった。どういうことだ!?彼女は続ける。

「本当の名前は国中涼子というの。あなたとは親戚関係だけどほとんど面識はなかったと思うわ」

……なに言っているのかわかんねえよ!親戚?全く覚えていない。それに彼女はいったい何者なんだ?俺は混乱していたがなんとか口を開いた。

「ちょっと待ってくれよ。君は本当に俺の親戚なのか?全然記憶がないんだけど」

俺は動揺しながらも質問した。

「あなたが小さい頃、私が引っ越した後の出来事だからね。わからないのも無理はないわ」

そう言うと彼女は悲しげな顔を見せた。そしてさらに続けた。

「私はあなたに会えてよかったと思っているわ。だってあなたのおかげで今の自分がいるもの」

「え?なんで?」

意味がわからず聞き返すと彼女は答えた。

「だってあなたのおかげで大切な人に巡り合えたんだもん。この出会いに感謝してるわ」

そう言って彼女は微笑みかけた。俺は胸が熱くなり、涙が出てきた。

「ありがとう……」

俺は泣きながらお礼を言うことしかできなかった。しばらく泣いていたら彼女が俺を優しく抱き寄せてくれた。彼女のぬくもりを感じながら、俺達はいつまでも抱き合っていた。

「ずっと一緒にいてね」

「うん!」

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