第14話 それにしてもなぜ・・・

 それにしてもなぜ、あの二人はたびたび、私と米河君のところばかりに出張ってくるのだろうか?


 バーボンのグラスを置いて、大槻氏は改めて考え込んだ。


 そういえば、彼の学生時代、わしがあの二人に園長室で会ってしばらくして、あの二人は彼のもとに出張ったことがあったらしいな。

 その後もたびたび、彼のところには出向いていると聞いている。

 今もちょくちょく、あの母子は彼のもとに出向いているようだな・・・。

 米河君も私も、あの母子からしてみれば、どうしても出向かねばならない事情があるのだろう・・・。


・・・・・・


 大槻和男氏はその年の春、30年以上務めたよつ葉園の園長を退任し、理事長専任となった。それと同時に、現妻の経営する会社の取締役も務めることとなった。

 かの幽霊母子は、このところ大槻氏の元には出向いていないという。

 もっとも、その分、米河氏のところに出向くことが多くなっている。

 とはいうものの、年に数度程度のものだとのこと。


 次話より、最近の米河氏と幽霊母子とのやり取りを御紹介してまいります。

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