キノコ男、フルスロットル! ~敏腕営業マンが異世界転生したら、ポンコツ乙女たちと平和な世界征服を目指すことになった~
第170話 キノコ(特盛)、雷鳴(大盛)、タケノコ(大盛)、象(変態)VS強欲(小盛)、豚(特盛)、巨人(変態)
第170話 キノコ(特盛)、雷鳴(大盛)、タケノコ(大盛)、象(変態)VS強欲(小盛)、豚(特盛)、巨人(変態)
強欲の女神ベルさん。
放出中の真っ黒な魔力の砲撃を停止して、ゆっくりとエルミナさんの方を見る。
「あんたが国家元首だって? エルミナってのはもしかして、あんたなの?」
「ぴゃぁぁ!! ち、違いますよぉ? わ、わたしぃー。あのぉー。そうだ! 雷鳴の女神です! トールメイって言います! よろしくおねがいしまぁーす!! ふぎゃぁ!?」
細い雷が天から降って来た。
エルミナさんの足元に。
「な、なな、何するんですかぁ!? お姉ちゃん! ひどいですよぉ!!」
「酷いのは貴様だろうが!! 私の名を語るな!! 語るなら、せめて私の名誉を守れ!! そのような頭悪い喋り方をしておらんだろうが!! 私は!!」
「こ、こちらがエルミナさんです! 可愛くてスタイル抜群で、みんなから愛される性格が特に素晴らしいと評判の!! みんな大好き、エルミナさんでべぇ」
「ヤメろ!! ええい、我が妹ながらなんと往生際の悪い!! 貴様も女神ならば、誇りを持って立ち向かわぬか!!」
ついに普通に頭を叩かれたエルミナさん。
涙目でなおも抗議を続ける。予定だったのだが、黒い波動が飛んで来た。
「ぴぃやぁぁぁ!! なんですかぁ!?」
「がっかりだよ。あたしさ、エルミナって子はきっと、女神たちに唆された可哀そうな町娘だと思ってたのにさ」
「そ、そうです! わたし、町娘です!!」
「町娘がそんなデカい乳してるわけないだろうがぁぁぁぁぁ!! ぶっ飛ばすぞ!! フゴリーヌ規模の特盛じゃんかぁ!! くっそぉぉぉぉ!! ぜってぇ許さないかんなぁ!!」
エルミナさんは座して死を待つ構えのマザーにすがりついた。
「マザー! まざぁぁぁ!! かつてないほどの八つ当たりをされてます、わたしぃ!! たしゅけてくださぁい!!」
「エルミナ。私、さすがに覚悟を決めました。この子たちは私が犯した過ちで苦しんだ娘たち。決めたのです。この子たちになら、私は何をされても仕方がないと」
ここで綺麗になったマザー。
ついに罪を認める。
「許してくださいとは申しません。気のすむようにしてください。ペレ」
「だぁぁぁぁれがペレじゃぁぁぁぁ!! ベルだ! あたしは!! くそババア!!」
マザーの命運が尽きようとしている。
◆◇◆◇◆◇◆◇
少し離れたところでマザーを見つめるのは豚の女神様。
フゴリーヌさんはベルさんと少し態度が違う。
「マザー。久しぶりに見たなー。全然変わってないんだからさー。わたしたち、もしかして間違ってたのかな? 今の女神たちも悪い子じゃないっぽいしさ。エルミナ連邦の人たちも、悪人には見えなかったんだよねー。さっきのカチッとした人とか。あのまま、全員でわたしとベルに襲い掛かればきっと勝てたのに。そうはしなかったよね。うん。決めた。ベル! 聞いてー!! わたしたちさ!!」
恐らくこの世界で最も綺麗な心をしているのは、こちらの豚さん。
まったく豚の要素のない乙女。フゴリーヌである。
が、運命は再び彼女を狂わせる。
「マザー! 私がお守りしましょう!! 必殺のタケノコ!! これで貧乳の女神様を押さえます!! 私、素晴らしい判断ですね!! とあー!!」
先にディスられたベルさんがキレる。
既にキレているのに。
「てめぇ! あたしを貧しいとか言うんじゃねぇ!! お前らがぁ!! 豊か過ぎるんだよぉ!!」
出力アップの強欲さん。
「わわわ!! タケノコさんだぁー!! 初めて見るヤツだぁー!! 絶対おいしーよー!!」
理性が消し飛んだ豚さん。
当代の女神プリモさん、二枚抜きをキメる。
こうなると、とにかく一度2人を冷静にさせるしか対話の道は生まれない。
だが、エノキ社員はジオ総督の救援に向かってしまい、さらに悪い事にこの場ではコミュ症を押して調停役になろうとしていたソフィアさんも「ジオ殿が! 仕方がない! お楽しみは取っておく!!」と言って戦線離脱。
この場に残ったのはオール女神。
全員がある程度「女神の抹消」と言うセンシティブな問題に触れている現状、フラットな立場の者がいないのは痛恨の極み。
あと残っているのはこちらのメンバーだけである。
「あああー!! ここが桃源郷……!! 極楽浄土はあったのだ……!! 我らガネーシャ、ついに秘奥の扉を開けたのだ!! どこを向いても麗しの女神様ばかり……!! 甘美だ……!! 力がみなぎって来る……!! 空気が美味い……!!」
象さん、全力でこの場をエンジョイする。
族長のルドラは体を膨らませていく。
誤解のないように注記しておくと、膨らんでいるのは肉体であり、体積的な意味であり、決して象の象がナニしている訳ではない。
ガネーシャに生殖機能はないのだ。
「腹壊してたら乗り遅れた!! みんながいねぇ!! だが! なんか怒ってるベル様と! 本能剥き出しでタケノコにむしゃぶりついてるフゴリーヌ様!! 遅れてきたらご褒美タイムだった!! おらぁ! どいてろ、エロ象が!! オレ様! サイクロプスの特攻隊長! べべベラがその特等席はもらうぜ!!」
欲に忠実でちょいちょい前屈みになる一つ目の巨人。
サイクロプスのべべベラが、ゲロウナギに当たっていた胃腸が落ち着いたので戦場に到着。
特攻隊長が特攻し遅れた結果、天国に特攻する事になった件。
「なんだそなたは。その目。聞いたことがある。サイクロプスか。下がっているが良い。我は今、忙しい。見るのではなかった。興が醒める」
「オレを見て一気にテンション下げてんじゃねぇ!! お前を殺して!! フゴリーヌ様になでなでされて!! ベル様には肩に乗ってもらうんだよぉ!!」
象さんは亜人相手だと興奮しない。
が、「亜人が口にするイメージから発展した想像」には興奮するらしかった。
「なんだ、それは。……凄まじく性欲を駆り立てられるのだが!! 良い事を聞いた!! そちらの女神様は……そのようなサービスを提供してくださるのか!!」
「黙ってろ! クソエロ象!! そのサービス受けるのはオレだぁ!!」
「……ぬるいな。そなた、さては女神様を知ってから日が浅いと見える」
「1週間だぞ! 充分長いだろ!! げぇあ……!?」
ルドラの鼻先から2本の黄色い閃光が伸びたかと思えば、一瞬でべべベラを貫いた。
「だからぬるいと言ったのだ。我は既に半年近い時を女神様たちへの欲情と共に過ごしておる。ならば、我の生涯で溜めて来た魔力も覚醒する。今のは『
実は周りで静かに正座して女神様たちの戦いを凝視していた象たち。
族長が良いことを言うものだから、興奮する。
「パァァァァオォォォォォォン!!」
各々が鼻を天に突き立て、汁を噴き出す。
なお、これは水です。ご注意ください。ただの水です。
変態たちの戦いは、より崇高な変態の象たちが勝利した。
◆◇◆◇◆◇◆◇
右手からはベルの強欲魔法。
左手からは興奮したフゴリーヌの突進。
その真ん中にいるエルミナさん。
「ひぎゃあぁぁ!! 無理ですぅ!! これはマジでヤバいですぅ!! 死んじゃいますよぉ!! お姉ちゃんで防戦一方とか!! こんなのムリゲーですよぉ!! わたし、キノコ飛び出させるくらいしか攻撃魔法使えないのに!! マザー! 何とかしてくださぁい!!」
マザーは「分かりました」と頷いて、地面に膝をつき、そのまま額を押し付けた。
ジャパンが誇る最敬礼。土下座であった。
「ペレ……ベルさん。フゴリーヌさん。私の頭を踏みつけて、私の体を痛めつけてください。どうぞ、娘たちで争わないで……。これはエゴです。過去を悔いても、過ぎた時は取り戻せない。こうすることであなたたちの怒りが私に向くのであれば……是非もな……。なんてこと!! いけない……!! みな、身を守りなさい!!」
天空から、ウネウネと降りて来た着物の帯のようなものがベルに向かって一気に伸びる。
マザーが転移魔法を使い、ベルの目の前に出現した。
「ババア!! どけよ! お、おい? 何してんだ? それもパフォーマンスかよ? ……ババア?」
「お逃げなさい……。これは、あなたたちに向けられた……」
マザーの腹部が帯で貫かれていた。
腹部から鮮血が流れ出すと、すぐに口からも大量に吐血をするマザー。
この凶悪で「命を弄ぶことで愉悦を得る」攻撃をする者は、グラストルバニアに1人しかいない。
彼女がついに、戦場にやって来たのだ。
「ぴゃあぁぁぁ!! マザー!! ズルいですよ!! そうやって、致命傷を負って戦線離脱してから、戦後にひょっこり出て来るポジション!! もぉぉ! 逃がしませんからねぇ!! たぁぁぁぁ!! 『リザレクション・ライト』!!」
エルミナさん、急な覚醒を見せる。
どうやら、マザーにいち抜けされるといよいよ自分の命が危ないと判断した結果、生存本能から潜在能力が解放された模様。
「ぐ、うう……。ベル。恨みを捨てろとは言いません。せめて、私を憎んで長生きを……えっ。なんか私、すごい勢いで回復していますね?」
マザーはこの程度では許されないらしい。
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