第139話 ポイントカード実装への話し合いと新商品の話し合い。
「――と言う事で、俺からの王太子領での報告は以上です」
「売り上げも上々、ただ、寒くなると洗濯がし辛くなると」
「食器洗いもですね。温水が出るのは貴族の屋敷くらいですから」
「早めに汚れを落とせるような洗剤が欲しいと言うのは分かります」
「「「「で、リディアさんが机に無言で置いたのは?」」」」」
本日の報告会にて、王太子領およびダンノージュ侯爵領の洗物問題が浮上していましたわ。
「こんなこともあろうかと!! 油汚れもシッカリスッキリ落ちる食器用洗剤に、洗濯の時間が大幅減少出来る汚れ落ちバッチリの洗濯用洗剤ですわ! 箱庭で使っているものですわよ!」
「「「「相変わらず準備が良い」」」」
「最近思いましたの。焼肉店と牛丼屋に夢中で、本業のアイテム作成をしていなかったと。少々反省致しましたわ」
そう、牛丼屋や焼肉屋に奔走しすぎて本来の仕事を忘れるなんて本末転倒!
食べ物屋も立派な商売ですけれど、わたくしはアイテムを作ってこそですわ!
「そう改めて考え直し、洗剤をまずは作りましたの。そこで、皆さんにお聞きしたいんですけれど、買った分だけポイント、つまりレベルの上がるカードがもしあって、カードレベルが上がり切ったらレアなアイテムと交換できるシステムってどうです? 冒険者も毎回ポーション等買うでしょう? 購買意欲上がりませんかしら?」
「そりゃぁ、買えば買う程カードレベルが上がって、尚且つ上がり切ったら欲しい物と交換できるなら嬉しいと思うぞ」
「うん、僕が冒険者として活躍していた頃に欲しかったほどだ」
「俺もだぜ」
「そこで、ポイントカードなるものを作ってみましたの。庶民でもポイント溜まったらアイテムと交換できるって良くないですか?」
「「「ほう?」」」
そう言って机の上に作ったポイントカードと判子を置くと、一人ずつ手に取って判子もじっくりと見ていましたわ。
「仕組みとしては、受け取ったらまず名前を書きますわ。それが本人確認の為の重要な部分になりますから、そこだけは絶対にお願いしますわね。
それで、商品をある一定の値段まで買うとポイントが1個つきますの。このカードの1枚目溜まって使えば、少し安めのアイテムと交換。2枚目が溜まれば少し良いアイテム。全部溜まれば、冒険者ならばアイテムボックスと交換できるみたいな感じにしたらどうかしら。ただし、一度でも使うとアイテムボックスは手に入らないですわ」
「面白そうだな。ポイント貯めに頑張って色々買いたくなる」
「でもある一定の値段を買わないと1ポイントずつ増えない」
「ポイントを貯める為にも冒険者は稼ぎにダンジョンへ行ってモンスターを倒す」
「冒険者がダンジョンに行ってモンスターを倒せば、自然とスタンピードを抑えられる」
「戻ってきた冒険者は依頼達成と報酬が貰え」
「アイテムを買いに道具店サルビアで商品を買いポイントを貯める」
「ですわ!」
「えげつないけど、よく考え着いたね」
えげつないかしら?
元の世界だと割と当たり前だったけれど。
「だが、レアなアイテムで還元は出来る。良い案だと思うぞ」
「最初に言った通り、名前を書くことが重要なんですけれど、魔法契約書と同じ作りにしてますから、本人にしか使えないように名前の記載をすると、違う方が使おうとするとインクはつきませんの。不正は防止しますわ」
「「「「「なるほど」」」」
「庶民用の場合、お子様がお使いとかもあるから名前の記載は無しですわ。奥様方は毎日の食材を購入したりしてますわよね? まぁ、サルビアで購入できる物でしたら何にでもポイントは押せるんですけれど、庶民や主婦の方には、ポイントが溜まれば、食事処で食べる料金がタダになるとか、割引で欲しい物が買えるとかにしたらどうかしら?」
「焼肉食べ放題がタダか」
「ええ、そうなりますわ。庶民の方々にも是非来て頂きたいですもの」
「俺は良い案だと思うけどね。実際オーナーであるカイルとかはどうなんだよ」
「俺もアリだと思う。丁度1週間後くらいに月が替わるから導入しやすい。それまでにポスターを作って店に貼っておけば分かりやすいだろう」
「じゃあ、リディアちゃんのこのポイントカードについては導入すると言う事で」
「あと、皆さんに見て頂きたいものがありますの」
そう言うと、今回ロストテクノロジーで作った水筒を出すと、皆さん首を傾げていましたわ。
「ダンノージュ侯爵領のナインと言うSランク冒険者の方が、壊れにくい長持ちする水筒が欲しいと言う事でしたので、試しにロストテクノロジーで作ってみたんですの」
「これ、水筒か? そこそこ大きいな」
「ええ、多少の衝撃では壊れませんし、保温保冷がついていて、中身は24時間でしたら持ちますわ」
「魔法のような水筒だな……」
「ただ、一般的な水筒とはだいぶ見た目が違うでしょう? だから値段も売れ行きも不透明で……」
「見せて貰っても?」
「ええ、皆さんで見て貰いたいですわ」
こうして、魔法瓶で出来た水筒を皆さんに見て貰う事になったんですけれど、皆さん感心しきってばかりで話が出てきませんわ。
けれど――。
「これは、良いかもしれないな。値段は高くなるが欲しい冒険者は多いと思うぞ」
「値段としては御いくらくらいになるかしら?」
「そうだな、水は生命線だから欲しい奴は買うだろうが、金貨1枚ってところか」
「そんなに!?」
「俺だったら金貨1枚までなら頑張って出すね」
「まぁ!!」
「リディアさん、これはロストテクノロジーで作ったと仰いましたね? でしたら妥当な値段は金貨1枚です」
「そう、なのですね。でも水はとても貴重ですわ。もう少し値段を抑えられないかしら」
「それでも金貨1枚、それ以下は認められない」
「ダンジョンの中の水は飲めないんだ」
「だから、欲しい奴は是が非でも買うだろう」
「チームで出し合って買ったりも出来るな」
「ってことで、金貨1枚での販売だな。欲しい奴はポイント貯めるしかないだろう」
「なるほど、ポイントカード2枚目まで貯めれば貰えるアイテムにするんですのね」
「ああ、全部がアイテムボックスなら、2枚目は水筒で良いだろう。これもポスターを作って店に貼って広告として流そう」
こうして許可がおりましたわ。
水筒は限定で、1日合計で100個。
ダンノージュ侯爵領で50個、王太子領で50個ポイント制度が導入されると同時に売ってみることになりましたわ。
限定にする事で、ポイントを貯めればタダで手に入ると言う事も伝えておけば、それなりに効果はあるのだとか。
それに、最初はポスター広告という形で広まるのを待つそうですわ。
「ポイントカードは、冒険者なら銀貨10枚に付き1ポイント。庶民なら銀貨1枚からが良いだろう」
「そうですわね、お野菜とかは安いですし」
「庶民用ならポイントカード1枚目で銀貨1枚分の料金がタダ。二枚目で銀貨1枚分のどこの店でも使える商品券に、全部貯めると、焼肉食べ放題がタダにすればいい」
「そうですわね。あと、3カ月に一回の運試しとして、ちょっとしたお祭りも考えてますの」
「「「「3カ月に一回の運試し?」」」」
「ええ、その運試しの時は大きめのスタンプカードを用意して、全て押されたらガラガラと呼ばれる色が入っている物を回して貰うんですの。こう言うものですわ」
そう言うと速攻でガラガラを作ると、皆さんレバーを回してらっしゃいますわ。
「そこで1等2等3等と色で区分けして、アイテムを差し上げますの。消費者へのお礼と還元ですわね」
「確かに3カ月に一回なら」
「一番多いのは参加賞にして、欲しいアイテム……それこそ安めのアイテムを並べて本人に選ばせて交換しますの。5等なら洗剤系、4等なら時期に寄りますけれど、服関係、3等は付与アクセサリーのどれか。2等は焼肉食べ放題がタダ。1等はアイテムボックス。特賞も考えましたけれど、これは皆さんの許可が必要となりそうで」
「特賞はなんにするつもりだったんだ?」
「箱庭での温泉体験ですわ、制限時間は2時間」
「アリだと思うね」
「それは私もアリだと思います」
「ふむ……一つしか特賞が出ないっていうのなら良いぞ。ただし人は付けさせてもらうけどな」
「ええ、構いませんわ」
「これは、またサルビアの名が貴族たちの中で大きくなるな」
「良いじゃねーか。商売ガッツリ出来る貴族ってのは少ない」
「それに、ダンノージュ侯爵家には、リディア嬢がいるからね」
「色々規格外なんだよな」
――と、少々カイルが胃痛を訴えていましたけれど、一通り纏まりましたわ。
まずは明日からは王太子領とダンノージュ侯爵領の店で、食器用洗剤と洗濯用洗剤の販売、そして、道具店サルビアでは水筒の【展示】から始まるようですわ。
まぁ、目新しいものですからまずは展示と言うのは理解できますわね。
「さて、リディアの話が纏まったところで、ここからはライトへの要望だがいいか?」
「私ですか、私にお手伝い出来る事でしたらなんなりと」
「実は――」
こうして、カイルによるライトさんとの交渉が始まりましたわ。
一体どんなお話が出るのかしら?
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ガラガラはね、ティッシュしか当たったことないです。
我がクジ運の無さよ(/・ω・)/
水筒は大事ですよね。魔法瓶タイプは特に。
我が家でも息子が園に持っていくのに買ってますが
夏場になると、夜喉が渇いたとき用に、ベッドの横に水筒を用意してあげてたりします。
無論、保冷のいい奴ですが。
子供が小さいと、いつ何時熱を出すか分からないので
一つ予備にあるとかなり役立つ水筒さん。
何時も☆に♡等有難う御座います!
励みになっております!
今後もボチボチ執筆していくので、応援して頂けたら幸いです。
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