第13話 【道具店サルビア】の開店に向けて!
お店の開店日は今日から三日後と決めてから、急ぎ新しいショーウィンドウや付与アイテム用の棚を新たに作ったりと忙しい日々を送った。
また、1階にあった小さな小部屋に関しては、在庫を置けるようにしたのだ。
回復アイテムは何かあった際には沢山必要になる。
多くあっても問題はなかった。
後は、店に出せないレアな薬も少しだけ置かせてもらう事になって、相談があれば、相手の信頼性と秘密を守って貰うという誓約書をかいて貰ってお出しするという形にした。
無論、信用できそうにない相手には売ることはしませんけれど。
アイテムが並んでいく店を見ると、此れからの生活にドキドキするし、レジの裏手奥は、ちょっとした商談スペースを作った。
此処で冒険者ギルドマスターのお使いの方が、アイテムの依頼をしたりするらしい。
カイルもカイルで色々と駆け回っているようでしたわ。
カイルの話では、冒険者ギルドでも薬を卸して欲しいという話があったようですけれど、そちらも商談スペースにて必要個数を用意するという形で収まった様子。
わたくしを守る為とは言え、二人とも徹底していて嬉しいですわ!
仮にもし、実家の公爵家がわたくしが何かしらで必要になって探そうにも、お店の名義はカイルですし、わたくしの名は何処にも見当たらない。
ましてや、どこにでもありそうな道具屋を経営と言う事で、気付かれにくいと思いますもの。
今は従弟を跡取りとして育てている公爵家。
あの家にいて数回しかあった事のない従弟ですけれど、あんまり好きになれそうにないタイプの子でしたわ。
確かに箱庭師と言うスキルは見下されますけれど、あそこまで露骨に見下されると清々しいというべきか、なんというべきか……。
まぁ、わたくしには素敵な弟分であるライトがいますし?
問題全くありませんけど!
そんな事を思いながらも明日開店を前にして、店を見渡し興奮してますけれど!!
「値札も貼って、アイテムの名前と説明書きもバッチリですね!」
「そうね! 作っておいた一般用のお薬も置けたし、奥は冒険者用が多め、入り口は一般向けが多めで分かりやすいですわ!」
「開店オープニングセールだったか? 今回限りで他の店よりは安い値段設定にはしているが……取り敢えず明日は俺もこっちでレジを頑張ろう。商談も来る可能性もあるしな」
「分かりましたわ。わたくしは、」
「「箱庭にお願いします」」
「初日くらいは出たかったですわ……。仕方ありませんわね、池鏡から見させていただきますわ」
「是非そうしてくださいね」
「絶対に出てきちゃ駄目だぞ? 定期的に見に来るからな?」
「はーい」
こうして、開店オープニングセールは二人にお願いすることになりましたわ。
さて、問題は店の名前……どうしましょう?
「イメージがな」
「そうですね……」
「でしたら、わたくしたち三人とも金髪に赤い目ですから、赤い所からとって『サルビア』とかどうですの?」
「なら、【道具店サルビア】とかどうでしょう」
「いいわね!語呂的に合いそうだわ!」
「流石ライトだな、それでいこう」
こうして、お店の名前は【道具店サルビア】に決定しましたわ。
ラストに作ろうと思っていた看板は少し厚めの輪切りにした木に、特殊なインクで名前を。そしてサルビアの絵をつけ足して完成!
後はカイルにこの看板を付けて貰えば明日からのオープンには間に合うわね!
そうだわ!
「ちょっとわたくし、作業してまいりますわ!」
「え? 行ってらっしゃいませ!」
「どうしたんだ?」
「フフフ! ちょっとしたアイテムを作るだけですわ」
そう言うと居住エリアにある作業場に向かい、付与魔法を行う為に彫金を行いますの。
出来ればネックレスが良いかしら。
クリスタルと必要な貴金属、そして宝石を使い二人分の赤いサルビアのような色合いのルビーを使ったネックレス。
実用向きだからルビーは小ぶりですわ。
これに、チェーン部分には疲労回復の付与、宝石をはめる彫金部分に働き過ぎによる体の痛みを取る為の軽い痛み止め用の付与、宝石にはイザという時、自分に防御魔法が発動する付与。
三つの付与を付けて、裏にカイルとライトの名前を彫って……これで完成!
そうですわ。
軽い付与アイテム!
ブレスレットタイプなら直ぐ作れますものね。
そう思い、一般庶民向けの薬売り場に小さな宝石箱を作り、そこに『痛み軽減』の付与をつけたブレスレットを三つ。
チェーンタイプではなく実用一辺倒の少し細めのブレスレットを作り、お値段はライトさんと一緒に付けましょう。
痛み軽減付与をつけたブレスレットを入れた宝石箱と、二人用のネックレスを手にお店に向かうと、二人はわたくしが手にしているアイテムを見て顔を見合わせてますわね。
「こちらのネックレスを二人にお守りでプレゼントしますわ。他の方には見られない様にしておいてくださいませね? 疲労回復の付与と身体の痛みを軽減させる付与と、宝石にはいざという時の防御魔法が発動する付与をつけてますから」
「三つ付与で」
「お屋敷買えますね」
「なので見えないところにお願いしますわ。あと裏に名前を刻んでますから分かりにくい事は無いと思いますの」
そう言うと二人はネックレスの裏側を見て微笑みましたわ。
自分だけのアクセサリーって嬉しいですものね!
「それと、こちらは一般市民用で三つほど付与一つのブレスレットを作ってきましたの。お値段はライトさんがお決めになって」
「なんの付与ですか?」
「銀鉱石で作った痛み軽減の付与ですわ」
「分かりました。銀貨6枚ってところですね」
「三つだけ、まずは一般用で出してみよう。そしたら話のネタとして冒険者から、『他の付与アイテムは入るのか?』 なんて聞かれるかも知れん。話題作りは大事だろう? それに開店が明日だ。俺たちもそろそろ休んでおかないと」
こうして、店のドアに『明日開店!オープニングセール開催!』と大きく書いて貼っておき、次の日に備えるべく夕飯は体力がつく料理にして、全員ゆっくりと一人ずつ温泉に入って寝ましたわ。
さてさて、【道具店サルビア】初日――どうなりますでしょうか!
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本日までは、一日3回更新でしたが
明日以降はボチボチ魔位置に更新出来たらいいなと思いつつ
多くて一日2回までの更新にしていきます。
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