第12話 箱庭師たちは店舗開店の為に三日駆け抜けた!
――ライトside――
――翌日。
村長や村の皆と別れの挨拶を済ませてから、家の内ドアから箱庭に向かった。
それから二日間は、店の掃除と箱庭仕事を兄に任せ、私とリディア姉さんは池の鏡で、王都にある道具屋から始まり、付与アイテムの値段、そして宝石類の値段について調べつくした。
鏡は一つしか見れないかと思いきや、各自が思った物を見せてもらえるようで、池の鏡には私が知りたい情報の場所、隣に映るのはリディア姉さんが調べたい店が並んで、お互いに話し合いながらメモ帳に各自書き込んでいく。
二日目は、どのアイテムを売るかという話し合いになり、道具屋で売っているようなアイテムならば大体問題なく、王都より少し安い値段から、他の道具屋よりは少し高い値段と言った割合で出すことにした。
一般的な庶民が使うお薬も置くことになり、そちらも他の道具屋と同じくらいの値段にすることにし、開店オープニングセールなるものをリディア姉さんが提案してきたので、それは取り入れることにする。
問題は、付与アイテムだった。
姉さんが付与できるのは最高5つまで。
5つも付与しているアイテムは、王都の貴族エリアで屋敷がポンと買える値段であった為、一般的な冒険者が買う付与アイテムとして多い、1つから2つの付与が行われたアイテムを主とすることにしたのだ。
特に冒険者に嬉しい付与と言えば――兄さんに聞くのが一番だろう。
「冒険者に嬉しい付与か……。毒無効とか、徐々に体力を回復してくれる付与は有難いと思うぞ。前衛ならば攻撃力が少し上がるくらいでも重宝するし、後衛ならばMPが少しずつ回復するだけでも喉から手が出るほど欲しいだろうな」
「なるほど」
「後衛ですと、詠唱時間短縮と言ったものはどうなんですの?」
「いざという時には欲しいアイテムだと思う」
「なるほど……」
「ただ、ランクの低い冒険者では早々手が出るものではないからな。中堅から手が出る値段にしておくか?」
「それがいいですわね」
「うん、私もそう思います」
こうして、付与アイテムに関しては種類を増やして一つずつの付与と言う形で纏まった。
無論、売り切れても直ぐには入荷させない方向で。
更に、付与アイテムには宝石をよく使うらしく、畑に放置されている宝石類は研磨して付与アイテムに付ける事になった。
彫金スキルのあるリディア姉さんにしてみれば、「女性なら少しはおしゃれしたいわよね!」と微笑んでいたので、女性用はオシャレなものになるんだろうか?
付与アイテムに関しては作り置きが無いらしいけれど、道具屋で売るようなアイテムは大量にスキル上げで作っておいたものがあるらしい。
それらを開店オープニングセールで安く売るらしいので問題はない。
あるとしたら――店舗内の内装だろうか。
各種の値段が分かった為、私達は店舗に移り、前にメモっておいた内装のラフな絵を見せると、リディア姉さんは「素敵だわ!」と喜んでくれた。
「となると……この辺りに付与アイテム用の棚が欲しい訳ね?」
「ええ、出来れば盗まれたりしないようにしたいですが、そこはどこの店も大変な問題でしょうね」
「そうねぇ……ガラスに見えてガラスじゃないアイテムは作れるから、それで対応かしら」
「そう言う物があるのなら助かります!」
「付与アイテム系は値段が高いものが多い。ちょっと高級そうな棚で良いだろう。取り扱いは店員を呼んでと言う感じでな」
「そうね。その為にも付与している内容はシッカリ書き込んでおかないとね」
「値段にアイテムの名前に効果を書いたメモは必須ですね」
そこで、アイテムの陳列は私と兄さんがすることにして、アイテムの名前や値段、説明はリディア姉さんにかいて貰う事にした。
こうして役割分担を作って始まったお店を開けるための作業は、それから三日続いた。
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本日までは、一日三回更新です。
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