第26話 最高位太陽神、駄肉女神を怒らせる。

――エルグランドside――



蜜月は一年取ることが出来た。

その間は一週間フィフィを抱き、二日休み、また一週間フィフィを抱くという日々を送って幸せいっぱいだ。

長年こうしたかったと言う思いと、ずっとずっと欲しかったフィフィを手に入れられた喜びと、彼女と俺の身体の相性が最高だっただけに病みつきになった。

こんな相手他には居ない。

こんなに欲しい相手は他には居ない。

ずっと繋がって居たいのに二日は離れ離れになるのが刺激的でもあった。


半年頃になると、フィフィも慣れてきたのか嫌がる様子が無くなってきた。

嫌がる様子が無くなればもっと強引な抱き方になった。

堪らなく愛おしい気持ちが溢れて激しく愛し合った。


そして蜜月が終わる一年が経とうとした時、フィフィは「やっと解放されるぅ~」と気が抜けていた。

解放?

するわけないだろう?

単純に蜜月が終わるだけで他の生活は変わらない。


神は場所を選ばず妻を抱く。

それをベッドだけに留まらせているだけなのに何を言っているんだ。

これはフィフィに説明した方が良さそうだ。



「良いかフィフィ。男神とは妻を見れば所かまわず抱くものだ」

「はあ?」

「人目がある場所でも抱くぞ?」

「はあ!?」

「それが嫌なら夫婦専用のベッドでいつでも俺を受け入れる為にいる事だな」



笑顔で告げるとフィフィの顔は絶望に染まっていた。

可笑しなことを言っただろうか?

だが神々の夫婦と言うのはそう言うものだ。

何処でも愛を囁き、何処でも一つになる。

だがフィフィはそう言う事は嫌うタイプらしく、それで絶望した顔をしていたのだろう。

しっかりと俺の愛情はフィフィに身体でも覚えさせた筈だがまだ足りないのか?

そう思うと心に焦りが出てくる。

怒りだって湧いてくる。

こんなにも愛しているのにフィフィは違うのか??



「いや――人目がある場所ではちょっと」

「朝起きて一発、昼仕事休憩で一発、夜は意識を失うまでコースが毎日続くだけだ」

「最悪なんですけど」

「早く子が出来ると良いな」



子が出来れば無理は出来ない。

ただし、子が出来ない間は好きに抱くことが出来るという事だ。

今更恥ずかしがる内容でもない。

それに、一年と言う密月のお陰でフィフィの神格は最高位にまで上がった。

同じ最高位の神同士ならば、子供もできやすいだろう。

故に神々は自分と同じ位の女神や男神になるように、蜜月をとても大事にするのだ。


しかし、フィフィと俺の子供か……。

フィフィに似て愛らしい娘だったならば、相手となる神次第では太陽の炎で殺してしまうかもしれないな。

いやいや、娘なら誰でもだ。

納得できぬ男神を連れてきたら、ウッカリ太陽光線で燃やしかねない。

男ならば、同じ高みにまで頑張って貰おう。

男には厳しく! 女ならば優しく!!


そう思いながらフィフィの腹の肉を揉んでいると、流石に揉み過ぎたのかフィフィから手を払いのけさせらえた。



「私のお腹の肉は、考え事を纏まらせるために揉むものじゃないです!!」

「すまない、余りにも気持ちよくて癖になってしまった。フィフィの腹の肉は最高の触り心地だな!」

「そりゃどうも」

「もしや、胸を揉んだ方が良かったか?」

「揉む癖を辞めてください」

「何を言うんだ! だったらこの寂しい手は何を揉めというんだ!」

「毛布でも何でもあるでしょう!?」

「フィフィ、君は何もわかっていないな! フィフィの身体だからこそ揉みたくなるのだ!」

「マニアック太陽神!!」

「俺の全てはフィフィ専用だ!!」

「そもそも貴方ばかりにかまけていたら、趣味の偶像崇拝もナヌーサ様の本も読めないじゃないですか!! ストレスですよストレス!!!」

「ぐ」

「横暴です! 自分勝手です! 自分本位ばっかり!!」



とうとう恐れていた事が!!

趣味の時間が余りにも作れなくてフィフィの怒りが爆発したのだ!!



「子供なんて人間じゃあるまいし狙い撃ちして出来るモノでもないですし! 出来にくいからと毎日してたら身体が疲弊してできるものもできませんよ!!」

「しかし……」

「心と身体が健康でないと出来ません!! いい加減になさってください!!」

「フィフィ……待ってれく、」

「暫く顔も見たくないわ!!」



そう言うとフィフィは自室へと走り去ってしまった。

余りにもフィフィが愛おしくてついついやり過ぎた感は否めない。

だが此処まで完全なる拒絶が来るほどストレスが溜まっていたとは!!

直ぐに真っ裸だったがフィフィを追いかけ、その場で謝り倒したものの、出てきた言葉は――。



「エルグランド様とは今後三カ月、夫婦の営みはしません。私はそれ位怒っています」

「うぐ……」

「三カ月反省なさってください」



フィフィを怒らせると、自分が当然痛手をこうむるのは当たり前だったのに……。

加減を間違えたようだ……。

それから三カ月、フィフィと一緒には寝るがキスも無し、夫婦の営みも無し。

一人フィフィが寝てから涙を流す日々が続くのであった。




====================

欲張りすぎ、駄目、絶対。('Д')

しかし神々の蜜月が一年。

スケールが大きいなと書いてて思いました('ω')ノ


また、現在新連載で

「シャルル・エーデルワイスは優雅に微笑む~アナタの見た目、仕立て直します~」

も、連載中です。

こちらは、一日三回更新です。宜しければ応援よろしくお願いします(`・ω・´)ゞ

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