第13話 駄肉女神、男神のアレヤコレを知り、太陽神はやっぱりチョロい。
――エルグランドside――
「それに、男神って気に入った女神がいると場所も選ばずなんですよ。人目があろうとお構いなし! エルグランドはかなり我慢してるんじゃない?」
「当たり前だろう。フィフィと会う前には必ず5回は抜いてこないと不味い」
「だよね」
「5回!?」
驚くことでもないとは思うんだが……。
事実朝フィフィを迎えに行くまでは必ず抜いて来ている。
昼休憩でも抜いて来ている。
夜会いに行くときは多めに抜いて来ているというのに……。
フィフィは男神の精力を本当に知らないんだな。
「フィフィ先生は男神の精力をしらないんだね」
「う……知らないわ。だって子供神の相手しかしたことなかったんだもの」
「そう、だからこそ知らなかっただろうけれど、器の出来上がった男神の精力って凄いんだよ」
「初めて知ったわ。だからエルグランド様は必死だったのね」
「そう言う事。まぁ互いに愛し合わないとどうにもならない問題でもあるから、まずは一緒のベッドで寝るのと触れるだけのキスからスタートかな。後はフィフィ先生が心から楽しいって思える事をすれば大丈夫だよ」
「フィフィ、君が楽しいと思ってやっていた事はなんなんだ?」
「………偶像崇拝」
「丁度いいじゃないか。今もやってるんだし」
「でも違うのよ……自分の貯めた給料で必死に集めた推し……ンンッ 偶像を沢山部屋に飾って、そこで好きな小説を読んで過ごすっていうのが好きなのよ」
「つまり、フィフィ先生の場合、給料を貰って偶像を集めて、本を読んで……まぁ、趣味に没頭してたってことかな?」
「そうなるわね」
つまり、フィフィ専用の部屋をフィフィの趣味部屋に作り替えればいいのか?
それでフィフィの神格があがるなら直ぐにでも色々買い与えたいが――。
「後は、やっぱりエルグランド様とフィフィ先生が恋愛をシッカリ出来るようになることだね。愛し愛され大恋愛! これが秘策かな?」
「恋愛が難しいのよ……」
「フィフィ?」
「私はずっと子供達の世話をしてきたもの。子供達の将来を想えば色々説明も出来たんだけれど、いざ自分の為にってなると……難しいのよね」
「そこはエルグランドが頑張らないとだね。ちゃんとエスコート出来てる? 大人の男としての余裕は?」
「う……」
「君もまだまだだなぁ……」
そう言って苦笑いするエルヴァランスに多少ムッとはしたが、確かにお互いを想い合った恋愛はとても大事だ。
その一歩の為にも、もっとお互いを思いやりながら一緒のベッドで眠り、愛を深めていくしかなさそうだ。
そもそも、誰ともお付き合いしたことが無い恋愛初心者のフィフィを俺がエスコートしなくてどうする?
「分かった、色々助かったぞエルヴァランス」
「どういたしまして」
「よしフィフィ! まずは一緒のベッドで寝る処からスタートしよう!」
「えええええ!?」
「もっと愛を深める為にも必要な事だし、それを続けて行けばフィフィを燃やすことが少なくなるかもしれない」
「手も足も出さないでくださいよ?」
「善処しよう」
「じゃあそういう事で。久しぶりに会えて嬉しかったですフィフィ先生」
「ええ、貴方も立派になっていて嬉しいわ。色々ありがとう」
「どういたしまして!」
こうしてエルヴァランスは帰っていったが、彼が言う事を大まかに言えば、お互いが恋愛感情を生み出せという事なんだ。
その為には俺もかなりの我慢を強いられるが、そこは仕方がない。
フィフィの為、そしてフィフィと将来の子供の為にも俺は気合を入れて頑張る!!
「フィフィ、今日からは夫婦専用の部屋で一緒に寝よう」
「えええええええ!?」
「大丈夫だ、ベッドも広いし問題はない」
「問題大ありですけど!?」
「正直に言うと、このままフィフィの神格が上がらないのは色々不味いんだ」
「と言うと?」
「最上位の太陽神は子を沢山儲ける事も仕事の一つなんだ。だがそれが果たされないでいると周りが第二の妃や第三の妃を持つように言ってくる。今は新婚だから許されているが、それも時間の問題なんだ」
「もらえばいいじゃな、」
「俺はフィフィ以外を妻には貰わないと決めている」
「頑なな」
「俺の想いを受け止めて考えて欲しい」
「………」
流石に必死に言ったからだろうか、フィフィは少し考えた素振りを見せると、大きく溜息を吐いて「分かりました」と言ってくれた。
そして一緒に寝る事は了承して貰えたので、一先ずは前進したと言っても良いだろう。
エルヴァランスに感謝だな。
とは言っても――神々の新婚は数百年単位でもらえる。
その事については、フィフィに話さないほうが良さそうだ。
きっと『まだ時間はあるのね!』と先送りされる事だろう。
そうなると同じベッドで寝るのさえしてくれない気がする、寧ろ喜んでしなさそうだ。
俺に対しては苦痛が伴うが、男に関することが全て初心者のフィフィを相手にするのだからやはり、もっと頼りがいのある男にならねばならないだろう。
俺は出来る男神だ。
それくらいして見せる!!!
「仕方ありません。燃えた場合を考えてエルナさんは近くの部屋に待機して貰いますよ?」
「それは無論だ」
「三回燃やしたらペナルティを与えますからね!」
「どのようなペナルティなんだ?」
「欲しい偶像を買ってもらいます!」
なんだそれは。
その程度でいいのか?
命に係わるほど燃えるというのに、本当にその程度でいいのか???
もしや、それ程までに早く神格をあげて俺の傍にいてあげたいという気持ちになったということなのか!?
そうなんだな!?
「良いだろう。好きなだけ偶像を買うといい。ついでに欲しい本も買ってやろう」
「マジですか?」
「男神に二言は無い」
「絶対ですよ? 覚えておいてくださいね!!」
おお……おお……っ そこまで俺の事を思って偶像や本を買って神格を上げたいなど、なんと健気なのだろうか。
フィフィは元々健気に俺の世話をしてくれていたが、本当に健気で優しい豊穣の女神だ!
これで好きにならないほうが可笑しいだろう!?
愛してやまないのは仕方がないだろう!?
「俺はフィフィを妻に出来て幸せ者だ」
「そうですか?」
こんなに健気な妻を持って幸せでないのならなんというのだ。
口では嫌だと言いつつ、こんなにも行動で俺の為に動いてくれているではないか!
俺はフィフィに愛されている!
これが現実だ!!
「モリガン、女神たちに夫婦用の部屋の整えを」
「畏まりました」
「フィフィの大事な偶像はフィフィとエルナとタイリアとで運んだ方が良いだろう。フィフィもそっちの方が安心するだろう?」
「そうですね、行ってきます」
こうしてフィフィが二人を連れて部屋に戻った頃――女神長のタイフリアが訪れた。
どうやら調べて貰っていた事の報告のようだ。
「それで、フィフィの事を悪く言う女神たちは見つかったか?」
「はい、太陽神の女神5人です」
「やはりな……全く、嘆かわしい事だ」
「どう処罰致しましょうか?」
「5人には即この神殿を去るように伝えろ。俺が激怒していると伝えてな。理由は言わなくとも分るだろうと言えば文句も言いまい」
「畏まりました」
「次の斡旋は無いと思えと伝えてくれ」
「はい。では失礼致します」
そう言うとタイフリアは風のように去って行ったが、やはり太陽神の女神たちだったか。
プライドの高い彼女たちには、フィフィの良い所など見えていないのだろう。
自分たちの都合のいい事にしか目を向けず、全く嘆かわしい事だな。
それならば、こちらも自分の都合のいいように動いても問題はないだろう。
そう思いながらフィフィの様子でも見に行こうとしたその時――。
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