第12話 駄肉女神の神格が上がらない理由が判明する。
――エルグランドside――
それから毎日フィフィ達は俺の手伝いをしてくれた。
山のようにあった書類は片付いていき、俺の仕事も早く進める為のやり方をフィフィが教えてくれたりと、お陰で書類の方は随分と片付いて楽になった。
そんな頃――俺の太陽神殿ではあることが囁かれるようになった。
『エルグランド様のフィフィ様に対する想いは相当である』
『毎日仕事場に連れて行くほど離れたくない程の熱愛ぶりである』
『フィフィ様がエルグランド様を支えるようになってから、仕事がしやすい』
等、概ねいい話が多かった。
だが――。
『フィフィ様は少しは自重すべきである』
『下っ端女神が仕事の邪魔をしている』
『そんなに自分を誇示したいのだろうか』
という悪い噂も流れてきた。
人も女神も所詮は同じだ。
自分の都合のいいようにしか物事を見ない。
悪い噂の出どころを現女神長のタイフリアに言うと、タイフリアは「まことに申し訳ありません、徹底させます」と頭を下げていたが、俺は「悪い噂をしている女神を特定しろ」と命令した。
風の女神ならば簡単に噂の出どころを調べることは出来るだろう。
フィフィがあんなに仕事をしているのに、どう考えたら悪い噂がでるのか全く理解できない。
しかし、随分と俺の仕事も手伝い、効率化もやってくれて今では仕事場に無くてはならない存在になったフィフィだが、エルナとタイリスの神格が上がったのに対し、フィフィは神格が上がる様子がない。
一応簡易的な神格を図る物を用意させて調べたが、フィフィには全く反応が無かった。
一度医学神に調べさせた方が良いだろう。
そう思い、知り合いの医学神に連絡を入れると『それは珍しい症状だね、直ぐに向かうよ』と言う事で来てもらう事になった。
「フィフィ」
「はい?」
「今日俺の知り合いの医学神がやってくる。フィフィだけ仕事をこれだけこなしているのに神格が上がらないは可笑しいと思うんだ。一度調べて貰おう」
「え――……」
「大丈夫だ、お前も育てたことのある奴さ」
「誰ですか!?」
「エルヴァランス、覚えているか?」
「まぁ、懐かしいわ! エルヴァランスは医学神の子供だったわね! ふふふ、貴方とよく悪さをしては怒られていたわね」
「悪さはしてないさ」
「していたわ。クレヨンで壁一面に何かを書いてファーリシア様が怒っていたでしょう?」
「あ――……」
確かにそんなこともあった。
ギャン泣きしてフィフィに二人揃って抱き着いてあやされていたのを思い出した。
懐かしい記憶だが恥ずかしい記憶でもある。
「エルヴァランスは今日来るの?」
「ああ、今日来る予定だ。午前中に来るという連絡だったから、早くフィフィに会いたいんだろう」
「ふふふ、フィフィ先生って呼んでくれるかしら?」
「どうだろうな」
そう言ってお互い懐かしい話題で盛り上がりながら本日分の書類を片していると、一刻もしない頃にモリガンが「お客様です」と言い、エルヴァランスが入ってきた。
成長したエルヴァランスは眼鏡を掛けており、まぁ伊達眼鏡だとは直ぐにわかったが、フィフィの顔を見るなり駆け寄って「フィフィ先生!」と顔を綻ばせていた。
「フィフィ先生お久しぶりです! わ――こうして会うのは何世紀ぶりでしょう!」
「貴方も元気そうで安心したわ」
「エルグランドの奥方になったと聞いて、やっぱりアイツやりやがったかって皆で盛り上がっていたんですよ! エルグランドは子供の園でも『フィフィを将来妻にする!』って散々言いまわってましたから、アレ今思えば皆を牽制してたんですね」
「まぁ!」
「こらエルヴァランス。そんな事は良いからフィフィの身体を調べてくれ。神格が上がらないんだ」
「ええ、お聞きしました。そう言う事例は何件か見たことがありますが、皆さん決まってアル事が関係しているんですよ。とはいえ、診察はさせて頂きますね。確認したいので」
「ありがとうエルヴァランス」
そう言うと個室へと移動し、フィフィが診察を受けることになったが問診も多かった。
長い年月全く神格が上がらなかった事もあるが、それは単純にフィフィの向上心が無いからだと思ってのだが、違うんだろうか?
「やはり……」
「どうだったの、エルヴァランス」
「フィフィ様は、豊穣の女神では珍しい、神脈詰まりですね」
「神脈詰まり?」
「神脈詰まりは総じて神格が上がらないんです。上がる方法はありますが」
「まて、エルヴァランス。フィフィが神脈詰まりとはどういう事だ?」
「過去の事例からも分かっている事なんですが。神とはそれぞれに応じた力を脈として生きています。ですが神脈が詰まると、機能が低下してちゃんと体に神としての力が回らなくなるんです。大体の子供の園にいた豊穣の女神は向上心が高いので長くその場にとどまることが無いのですが、フィフィ様は長い間留まっていたので詰まったのでしょう」
「なるほど?」
「この神脈詰まりを治すには神格の高い者と身体を重ね合わせる……つまり、セックスしていたら神格は解放されますよ」
フィフィが神脈詰まりであることには驚きを隠せないが、誰が何と言おうとフィフィはフィフィ故に気にしない。命に別条がないのであれば問題はない。
だが――。
「そのセックスがしたくてもフィフィを燃やしてしまうんだが?」
「その場合、エルグランドが最善の注意を払ってフィフィ先生を抱くしかないだろう? 燃やさない様に注意に注意を重ねて何度かセックスをすれば解放されるよ。あと、しっかりと中に排出する事。子種ほど神格が上がる素材はないからね。問題としては、エルグランドがフィフィ先生を燃やさずにいられるかどうか、あとは、フィフィ先生がどれくらいエルグランドと身体を合わせて神格が上がるかだね」
「つまり、私の神格を上げる為には、やっぱりエルグランド様と寝ないといけないのね……命の危険しかないのだけれど」
「徐々に上げるだけなら、エルグランドと一緒のベッドで寝る。触れるだけのキスや深いキスをするでも神格は溜まっていきますよ?」
「それは遠慮したいけど……身体を合わせるよりはマシかな? 燃やされても何とかなりそうだし」
「ですよね、エルグランド絶対燃やしてきますよ」
「酷い言い方だな。だが俺もどうやったらフィフィを燃やさずにいられるのか分からないんだ。俺への対策も教えてくれ」
「そもそも最上位太陽神と下っ端豊穣の女神様だから、エルグランドがかなり精神的にも成長しないと難しいよ。ガキみたいな恋愛じゃなくて、心の底から求めるような大人の恋愛というか、子供を求めるようなヤリ方なら違うんじゃない? 自分の子供を産ませたいのに燃やしてたら元も子もないでしょう」
「なるほど。子供か……」
「それはそれで困りますけど」
「互いに子供が欲しいと思いながらやるならエルグランドから燃やされませんよ。元々神々なんて子供が出来にくいんですから。回数こそが命的なところもありますしね」
確かに、最上位太陽神になってからというもの、性欲はとんでもなく強い。
愛するフィフィを前にして良く理性が持っていると思う。
普通の神々なら目の前に愛する者がいれば、そのままどこででも結合するからな。
もしやフィフィは、その事すら知らないのではないだろうか――。
そう思うと、湧き上がる不安が出てきた。
すると俺の表情を見てか、エルヴァランスがフィフィに男神の事に関して説明を始めた。
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フィフィの神格が上がらなかった理由が判明!!
そしてフィフィ自信にも、男神のアレヤコレを知らないと言う事もあり
次回はちょっと激しい下ネタ?が展開されるかも知れません。
少しでも楽しいよ?と思って下さったら
♡等あると嬉しいです!
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