ユニークなクラス

指星ゆびほし 青春あおはる

称号 / 魔王

学年 / 高等部 - 二年



【人和黎明学園】の高中部は、週5日制・31時間授業だ。


魅力を磨きつつも、ゆとりを持ちながら基礎学力の充実を図ることを目指していて、基本は全学年1クラス30名、おおよそ15クラス制である。


しかし、四半期に一度、マザーから通知が届き、才なしとされ、退学になる事も少なくない。また、中には尖りすぎた問題児ばかり集められた変わり種クラスもある。


その他、基本科目以外に週2時間の選択授業があり、履修できるのはかなりユニークな講座ばかり。


四半期毎に変更できる、そのユニークな授業を【ユニ】と呼んでいる。例外的に【マザー】が認めれば、移動もできる。


格闘などの鍛錬から思想や哲学、その他、舞踊やダンス、政治、経済など様々なユニがあり、生徒は自分が関心あるものを選択し、次の四半期までに、さらに魅力を高め努力している。





「ね、青春くんは四半期のユニ、どれにしたの?」


普通授業の合間、右隣に座るアイルがそう話かけてきた。



「…これ普通、変更できるよね?」


「そりゃ、いろんな種類受けたい子もいるし…何? 変えれないの? どれ〜?」



昨日のビンタが割と効いていたのか、自分を高めるというよりも、何か人のお役に立ちたい、なんて考えていた僕は、【ユニ】、ユニーク講座をボランティアにしようと思っていたのだ。


【咎人】とは違うと聞くし、過疎とも聞いているし、なんというか、振られたてにはちょうど良い。


そう思って探し見つけたのだけど、選択出来ない。


ん? となった僕はモノリスのスケジュールを呼び出し、確認した。そしたら、



「…魔王、城? …ぷっ、くくく、あーっはっはっはーくーくくっやだ、何それ!魔王城なんて、何するの〜!くくっ、はーっ、ダメだ、おもしろ〜」


「…アイル、さん…やめよう。そういうのやめよう。ていうか声おっきい! やめてっ!」



隣の席だからそんなに大きな声出さなくても聞こえるでしょ! これが変なのは僕もわかってるよ! そう、これイジメでしょ? 誰だ、この学校にイジメなんてない、とかほざいた奴は! 


誰か変わってください。


現場はここです。


あ、ほらめっちゃ見てるじゃん! めっちゃ見られてるじゃん! あ、愛衣子が笑ってるけど笑ってない。月奈もだ。何?なんなの?



「だって、ぷっ、だってさ、青春くん以外だれが入れるの〜それ、くくっ、もう青春くんのばかっ!」


「…これ、僕だけの授業? 嘘でしょ? 贅沢過ぎない?」


モノリスには魔王城+1となっている。この+に続く数字は生徒数を表す。タップして詳細を調べてみる。


「担当…未定? 内容も未定……何するかもわからない上に誰がくるかもわからない…もう何もわからないよ……アイルは?」


「わたし? わたしはねぇ〜 内緒!ぇぃ」



小悪魔な態度でモノリスを後ろに隠したアイル。ほーん? 怪しいですね。ん? また…



「……それはいくない。いくないよ、アイル。さあ、そっと開いて、見せてご覧? 恥ずかしがらなくても良いから、ね?」


「ん〜でもぉ…やっぱり恥ずかしぃよぉ。でもでも、青春くんにならぁ……」



ん! ふと我に帰った。

そういえば、なぜ僕が口説いてる風になっている? 周りを見渡すとこちらを睨んでいる男子生徒とカズマに気づく。そして愛衣子と月奈。月奈にいたっては、手のひらをこちらにかざしている。


教室はシーンとしていた。


なになに? また何かやっちゃいました? 


おおーい。とカズマに手を振る。あれ? 舌打ちされたんだけど。


なんで?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る