ユニークなクラス
─
称号 / 魔王
学年 / 高等部 - 二年
【人和黎明学園】の高中部は、週5日制・31時間授業だ。
魅力を磨きつつも、ゆとりを持ちながら基礎学力の充実を図ることを目指していて、基本は全学年1クラス30名、おおよそ15クラス制である。
しかし、四半期に一度、マザーから通知が届き、才なしとされ、退学になる事も少なくない。また、中には尖りすぎた問題児ばかり集められた変わり種クラスもある。
その他、基本科目以外に週2時間の選択授業があり、履修できるのはかなりユニークな講座ばかり。
四半期毎に変更できる、そのユニークな授業を【ユニ】と呼んでいる。例外的に【マザー】が認めれば、移動もできる。
格闘などの鍛錬から思想や哲学、その他、舞踊やダンス、政治、経済など様々なユニがあり、生徒は自分が関心あるものを選択し、次の四半期までに、さらに魅力を高め努力している。
◆
「ね、青春くんは四半期のユニ、どれにしたの?」
普通授業の合間、右隣に座るアイルがそう話かけてきた。
「…これ普通、変更できるよね?」
「そりゃ、いろんな種類受けたい子もいるし…何? 変えれないの? どれ〜?」
昨日のビンタが割と効いていたのか、自分を高めるというよりも、何か人のお役に立ちたい、なんて考えていた僕は、【ユニ】、ユニーク講座をボランティアにしようと思っていたのだ。
【咎人】とは違うと聞くし、過疎とも聞いているし、なんというか、振られたてにはちょうど良い。
そう思って探し見つけたのだけど、選択出来ない。
ん? となった僕はモノリスのスケジュールを呼び出し、確認した。そしたら、
「…魔王、城? …ぷっ、くくく、あーっはっはっはーくーくくっやだ、何それ!魔王城なんて、何するの〜!くくっ、はーっ、ダメだ、おもしろ〜」
「…アイル、さん…やめよう。そういうのやめよう。ていうか声おっきい! やめてっ!」
隣の席だからそんなに大きな声出さなくても聞こえるでしょ! これが変なのは僕もわかってるよ! そう、これイジメでしょ? 誰だ、この学校にイジメなんてない、とかほざいた奴は!
誰か変わってください。
現場はここです。
あ、ほらめっちゃ見てるじゃん! めっちゃ見られてるじゃん! あ、愛衣子が笑ってるけど笑ってない。月奈もだ。何?なんなの?
「だって、ぷっ、だってさ、青春くん以外だれが入れるの〜それ、くくっ、もう青春くんのばかっ!」
「…これ、僕だけの授業? 嘘でしょ? 贅沢過ぎない?」
モノリスには魔王城+1となっている。この+に続く数字は生徒数を表す。タップして詳細を調べてみる。
「担当…未定? 内容も未定……何するかもわからない上に誰がくるかもわからない…もう何もわからないよ……アイルは?」
「わたし? わたしはねぇ〜 内緒!ぇぃ」
小悪魔な態度でモノリスを後ろに隠したアイル。ほーん? 怪しいですね。ん? また…
「……それはいくない。いくないよ、アイル。さあ、そっと開いて、見せてご覧? 恥ずかしがらなくても良いから、ね?」
「ん〜でもぉ…やっぱり恥ずかしぃよぉ。でもでも、青春くんにならぁ……」
ん! ふと我に帰った。
そういえば、なぜ僕が口説いてる風になっている? 周りを見渡すとこちらを睨んでいる男子生徒とカズマに気づく。そして愛衣子と月奈。月奈にいたっては、手のひらをこちらにかざしている。
教室はシーンとしていた。
なになに? また何かやっちゃいました?
おおーい。とカズマに手を振る。あれ? 舌打ちされたんだけど。
なんで?
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