第118話 フィリスとデート?
「うふふ、お兄さまとこんな風に王都を歩けるなんて夢みたいです」
「まあ、以前はお互いそんな感じじゃなかったしな……」
ゲームでのフィリスと、転生して初めて会った時の彼女との距離感を思い出して苦笑する。仲間外れにされて拗ねてしまった彼女にお願いされて今日は一緒に王都を歩いているのである。
「それは言わないでください……でも、私もですがお兄さまだって悪いんですからね」
「ああ、そうだな……ちゃんと話し合うべきだったな」
ほほを膨らまして文句を言ってくるフィリスの頭をなでてやると嬉しそうに頬をほころばせる。そうだ。俺の行動でハデス教徒が警戒したというの事実だが、フィリスとの関係の改善などよくなったことの方が圧倒的に多いのだ。
だからさ……今回も絶対なんとかなるよな……? いや、してみせるさ。だって俺はヴァイス=ハミルトンなのだから……
「あの、僕もいるんだけど!! ていうか、フィリスのキャラ違くない? そんなお嬢様キャラじゃな……ひえ!!」
「失礼しました、虫がいたのでつい魔法を使ってしまいました」
くだらないことを言ったクレスの目の前を火の玉が飛んでいった。おそろしく速い詠唱!! 俺でなきゃ見逃しちゃうね!!
俺は兄に見せることのないフィリスの一面を垣間見て、そういえばゲームでは結構アグレッシブなお姉さんキャラだったなと思い出してつい笑ってしまう。
「もう、クレスのせいでお兄様に笑われてしまったじゃないですか……ちゃんと昨日言ったことを思い出してくださいね」
「はい……フィリスさんは裏表のない素敵な人です……フィリスさんは裏表のない素敵な人です……」
昨日俺とわかれたフィリスとクレスはどんな会話をしたのだろう? レイプ目でクレスが同じことを繰り返している。
ちょっとこわくなったので話題を変えることにした。
「それで、一緒に行きたい場所っていうのはどこなんだ」
「うふふ、もう着きますよ。こちらになります!!」
フィリスが足をとめたのは王都から少し外れた場所にある古樹で作られた趣のある建物だった。そして、この建物の存在を俺は知っていた。
「これは……魔法使いカフェ『メディア』じゃないか!! 店員は全員魔法使いで占められており、ミニスカローブやイケメン魔法使い、はたまた老婆やなどと店員さんなどの個性もありつつ、あくまで魔法使いによるコンセプトを絶対崩さないというあの伝説のお店か!!」
そうこの店はゲーム本編ではでミニゲームを遊ぶことができるのだ。すでにほんらいであれば王都にあるこの店はハデス教徒によって滅ぼされているのだが支店では確かフィリスなどの魔法使い系の仲間の好感度が高いとアクセサリーをもらえるのだが……
「お兄さまここを知っていたんですか!! ではプレゼントの意味も……?」
「いや、なんか大切な人を守る……だっけかな?」
「はい……」
俺の言葉に顔を真っ赤にするフィリス。うおおお。なんか無茶苦茶かわいいなおい!! 彼女はどうやら王都にやってきた俺のためにサプライズをしてくれたようだ。
だけど、これって本来ならばクレスに渡すはずのアイテムなんだがいいのだろうか?
「あの……僕がいる意味ってあります?」
「いや、とりあえず入るか……」
ジトーっとした目のクレスにくしょうしながら扉を開くとそこには予想外の光景が広がっていた。魔法使いたちは一人もおらず、豪華な装飾の鎧を身に着けた青年が優雅に座りながらお茶を飲んでいたのだった。
「やあ、クレス君。君を待っていたよ。私の名前はクラトス……ちょっと偉い騎士様さ」
そして、目の前の男はウインクをしてそう名乗った。
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