第188話 創作論らしきもの?学生の思い出

 私は小説というより、映画やドラマが好きで、その後に原作を読むタイプでした。

 祖父から子供の時「ああ無情」をもらってチンプンカンプンで途中で読むのを辞めしまって、祖父も見ていたようですが、これは想像ですが、戦友に学徒動員の帝大生がいた、と言っていたので、多分、祖父は昔から読んでいたような気がします。

 

 大学で仏文の哲学の専攻だったので、よせばいいのに第一外国語をフランス語を選択しました。第一外国語の選択が高校のクラスのような位置づけでした。その選択は、やっぱりヘンな人の集まりと、バブル期なので帰国子女です。

 ネイティブ日本人は、ほぼ第一外国語フランス語の授業についていけなくて脱落していきます。帰国子女はその枠で入るので語学が出来ても他の哲学、論理学や倫理学で単位を落として脱落していきます。

 私がネイティブ日本人で4年で修了できたのはレアケースでした。単位をギリギリで通ったため、優秀学生にもなれません。

 単位の取りやすい科目をとって優で固めている人が評価されている大学には不満もありましたが、ただ「何とか乗り越えるド根性」だけは身につけたのは成果でした。

 それなりの大学だったので、第一外国語フランス語の教授は、仏文学の文学者で翻訳小説も出しています。偉い人ですが、小説の内容は「エロい人」です(笑)

 ウィキペディアというものが出て、その教授の名前があったので見たら両親もフランス文学者でした。

 小説家ですので、授業はいろいろタメになったのですが、よく覚えていません。もう30年近く前です。

 毎回、マジメに授業に出ていたのは2から3人なので、ある日はマンツーマンの授業もありました。

 世間も何も知らない高校出たての、アホ学生に親切にフランスの文学書と文法を教えてくれたことは感謝してます。

 卒業旅行で、初めての海外旅行はパリ1か月間でしたが、会話にまったく不自由しませんでした。テレビもラジオも一般人の会話を理解できました。たった4年でなんとかなるものです。

 司馬凌海という佐渡の江戸時代の医師は、日本から一歩も出ずにドイツ語をマスターして帝大医学部のドイツ人教授の通訳をし、現在の医学用語をたくさん作った人と聞きましたが、そんなバカな、と思いましたが、なんとかなるものです。


 さて、ビクトル・ユゴーの「ああ、無情」は、おそらく日本人の99.9%は完全に理解していないと思います。宗教、哲学、合理主義、フランス史が散りばめられているからです。

 ただ、ミュージカル映画の「レ・ミゼラブル」はよく出来ている作品で、英国BBCのドラマも非常に良く出来ていると思います。大学仏文科を卒業して、やっと理解できるレ・ミゼラブルを片鱗でも理解できるようになっています。そりゃネイティブの人が作ったりしてるわけですから。


 ですので、映画をみてから原作を読むということは否定どころか、推奨の立場です。

 ロシア映画に、「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」がありますが、なんだか長くてつかれる感じもしますが、映画をみて原作を読むのはオススメ。


 文学というのは、世界的に、歴史的に一定の評価が定まっているものを、読んだり見たりするのが一番いいでしょう。


 今から考えると、私の祖父は「ああ、無情」をよく理解していたように思い、子供時代の自分を、映画を観て反省した思いがあります。

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