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授業中、僕は先生の目を盗み、スマホで『ゴーストドール』についての情報を集めていた。
呪いの日本人形――ゴーストドール。
とある怪談サイトにはこんな風に記載されている。
ゴーストドール(呪いの人形)
危険度――Aランク(命に危険が及ぶレベル)
現象――日本中のどこかに落ちていると噂の人形。見た目は普通の日本人形であり、可愛らしい。人を惹きつける謎の魅力があり、ついつい拾ってしまい、家に持ち帰ってしまいそうになってしまう。
しかしそれが罠。持ち帰ったが最後、とんでもない呪いをその身に受けてまう。
その呪いは凄まじく、拾った者の命に関わる程。そして何より、この呪いの恐ろしい所は、解呪方法がないという事。
過去に呪いを受けた者が有名な除霊師に相談し、お祓いを行なってもらうが、全くもって効果無し、という前例がある。
結果、その者は死亡し、人形はどこかへ消えていったそうだ。
以上のように、ゴーストドールは日本でも上位にくい込む凶悪な怪談の一つである。
今も尚、日本中のどこかで落ちているかもしれない。
この怪談への対処法はただ一つのみ――ゴーストドールには関わらない事。
落ちている日本人形は絶対に、拾わない事だけだ。
…………既に拾っちゃってるんだよなぁ……。
改めて情報を確認すると、とんでもない怪談だなと再認識してしまう。
危険度A……あの『スマホ』や『予言カルテ』、『死神』に匹敵する程の危険度だ。
例に出した怪談全てにおいて、解決までに相当骨を折ったんだよなぁ……。
あの苦労を思い返すと頭が痛くなってくる。
けれど今回は、凛太郎さんの人脈によって三人衆全員の手を借りる事が出来る。
これはかなり大きい。
打てる手の数が無限大に広がる。
凛太郎さんは、これを見越して三人衆に協力を要請したのだろうか? もしそうなら、ファインプレーと称えざるを得ない。
恐らくたまたまだろうけど。ファインプレーである事には変わりない。
あの三人の手を借りつつ、何とか解決方法を見つけないと……。
そして放課後。
僕は龍子さんを言いくるめた後、凛太郎さん達のいる教室へと足を運んだ。
既に他のメンバー達は全員集まっており、僕が最後のようだった。
「よし、全員揃ったな。場所を変えるぞ」
「え? どこ行くんです?」
校内じゃ話が漏れる可能性があるから、外? 喫茶店とか?
「部室だ」
「部室?」
「ああ、そうか。お前にはまだ話してなかったな。ついて来い」
言われるがまま着いて行ったら、絶句した。
開いた口が塞がらない程の衝撃を受けた。
誘導されて連れて来られたのは、部室棟だった。
数々の部活動の部屋が立ち並ぶ部室棟。
その数ある部屋の一つのプレートに、こんな文字が記されていたのだ。
『ゴーストドール除霊研究部』
部活になってる!!
「解決の為にお金も必要かと思ってな。部費も使えるし、この方が良いかな、と」
「いやいやいやっ!! それはそうですけど、動くの早過ぎません!?」
「花鳥が半日でやってくれました」
「か、花鳥さんが?」
「えっへんです。日頃からの奉仕活動の賜物です」
…………。
改めて実感した……
「そんな訳で! ゴーストドール除霊研究部最初の仕事は、ゴーストドールの除霊だ!! やるぞー!!」
「「おおーっ!!」」
「ぐぅー!!」
「お、おおー……」
一人寝てるし……。
てゆーか……ゴーストドール除霊研究部って……龍子さんに隠す気あるのか? 部なんて立ち上げちゃったらすぐバレるんじゃ……名前もまんまだし……。
まぁ……凛太郎さんが良いなら、良いのだけれど。
「では早速、ゴーストドールについて集めた情報を、それぞれ述べていって貰おうか! ふむ……よし、今回は竜生からだ!」
「あ、はいっ!」
僕は先程、スマホで仕入れた情報を話す。
かくして、ゴーストドール除霊研究部、初仕事が始まったのだった。
………………。
除霊……ねぇ……。
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