第9話 既読×返信無=?
「おい、何ボーッとしてんだ笑?」
「もしもーし」
「ん?なんかいった?ごめん聞いてなかった」
ランチを学校のカフェテリアでとっているが、優太とまりなの声がぼんやりとしか聞こえなかった。気付くと沙耶へいつどこで気持ちを伝えようか、そんなことしか考えられていない。
「昨日なんかあったのか?」
「間違いないわね」
「いや、特にそんな」
「恋してるわね」
ブフッ
思わず飲みかけていた水を吹いてしまった。
「うおお、汚ねっ笑」
「わかりやす笑」
正直に相談してみようかな。
誰に告白しようとしているか言わなかったけど、名前を匿名にしてこれまでのこととこれからのことを二人に伝えて相談した。
「それ、もうその子お前のこと好きじゃんね」
「そうかな、やっぱり」
「おうよ、だって帰り際に頬にキスとかどんだけロマンチックなのさ。俺もそんな体験してみたいわ。まりな、はい、頬にキッス笑」
「フォークでぶっさすよ」
「こっわ笑」
「まあ確かに、その子とは、両思いの可能性が極めて高いわね。」
「まりなも、そう思う?」
胸が高鳴る。
「でも1つ、心配事が」
「なになに?」
「からかわれてるかも。」
「えっ!」
「彼女の言ってることに偽りはなくて、時期にその二人は別れるかもしれない。でも、彼女が本当に男としてあなたを見ているのかな?ってこと」
「なんやて!」
優太が身を乗り出す。
「僕が、彼女に弄ばれてるかもって言いたいの?」
「あくまで、可能性の話。でもまあ、そうね、多分両思いかな笑」
「一番最後ですごい心配の種を植えてくじゃん」
「これが、私の意見だからね〜」
「さすが、まりな先輩。いつもマジレス。安定してる〜」
「さ、午後の授業の支度するわよ」
「じゃ、頑張って」
「頑張れよ〜幸来」
「いや今日告白しないよ笑」
「タイミングを間違い得ないようにね笑」
今日は珍しく、僕の車が一番遅かった。
「幸来さん、悩み事?」
「えっ、んー、まあそんなとこです笑」
「私で良ければ聞きますよ」
「んと、好きな人がいましてね。今。両思いのなのかどうなのか、思い倦ねてるところで」
「おー、青春を謳歌してますな笑」
相変わらず溌剌してるな、ポールさんは笑
「もう、心の奥底では、告白することは決めてるんでしょ」
「いや、まあその、はい、そうですね、ははは」
「であれば、さっさとしてしまうのがいいですよ」
余計なお世話です笑
「そうですよね、ありがとうございます汗」
「それでは、また明日」
「また明日〜」
沙耶とのLINE、今朝に一往復やりとりしただけで、1.5往復で止まったままだ。
まだ、帰ってないのかな。
沙耶さんは帰宅部だから、もう帰宅してるか帰宅途中とかだろうに。
沙耶さんからその日、返信はなかった。
意気消沈したまま、廊下での父さんの電話での英語のやりとりをBGMに眠りについた。
良くも悪くもない目覚め。
スマホのアラームを消して、確認するLINEのアイコンバッジは、無表示だった。既読にはなっている。
「行ってきまーす」
「はーい、行ってらっしゃい」
「今日もいい天気ですね、参りましょう!」
ポールの安定の元気溌剌、ほんと、羨ましい笑
「なんだって!」
「声でかいってば笑」
「いやだって、LINEに既読ついて返信ないまま日付跨いじゃってるじゃん。最後にあんな別れ方してさ」
「うん。。」
「えー、まりな教授、いかが思われますか」
「。。。」
「まりな?」
「彼氏と想像以上にこじれちゃったんじゃないかな」
「おー、なるほど、その可能性か」
「時期に返信来るだろうから、ひとまずそのままにしておいた方が賢明ね」
「いやー、恋とはなんと複雑なものか。」
「わかった、まりなのアドバイスに乗っかるよ」
「ええ、そうした方がいいわ笑」
「黒瀬幸来」
「ん、はい?」
急に後ろで名前を呼ばれてびっくりして、振り向いた。
「勝久、君」
「ちょっといいかな」
「あ、ああ」
「時間かかりそうだから、食器戻しておくからねー」
「う、うん、ありがとう、まりな」
まりなの察知能力に感謝!
カフェテリアから歩いて3,4分のところに、屋外水泳コースがある。
そこの一番高い位置の観客席に着くと、勝久は腰を下ろした。
「幸来も座ってよ」
「うん」
ここへ来る道中も今までの人生で感じたことのない緊張感だったが、今この瞬間が最高点だ。そして記録更新中だ。
「もう、なんの話かは、わかるよね?」
「沙耶さんのこと、だよね?」
「そ、沙耶のこと。」
昼間の水泳エリアは、校内で一番暑い場所なはずなのに、全くそう感じない。
というか、寒いくらいだ。
「好きなんだろ。沙耶のことが」
「うん。」
「朗報だ、昨晩で俺と彼女との関係は、ただの友人かそれ以下になった」
「。。。」
なんて言えばいいんだ、こういう時、わからない!
「もうお前を阻むものは何もない」
「うん。。」
「いい友達になれたかもしれない俺たちだが、もう難しいな。だけど心配するな。何か嫌がらせをするなんてこれっぽちも考えちゃいない」
「そ、そうか」
「お幸せに、な」
「ありがとう」
本気で緊張した。誰もいない昼間の水泳エリアの観客席で暗殺されるのかと思った。それがなんだ、男としてのけじめじゃないけど、わざわざ一対一で呼びつけて、正式にこんな会話をしてくるなんて、尊敬に値する。勝手にそんなことを考えていたら、チャイムがなった。
「やばい!、世界史遅れる!」
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