第8話 告白は何回目のデート?
「学校って、、、こんなにデカいのか、、、」
「いってらっしゃい、幸来さん!」
「うん、行ってくるね、ポールさん」
沙耶さんの言ってた通り、とてつもない大きさと広さをもつ学校だった。
授業は、日本人学校ではあるけれど、全て英語で行われた。
教師も半分近くがフィリピン人だ。
1日はあっという間に過ぎ去り、席の両隣になった宮坂優太と福田まりなと友達になった。
「今度一緒に遊びに行こうぜ!」
「うん!行こう!」
「まりなもな!」
「行きましょう〜」
優太は、とっても明るくて元気なやつ。
まりなは、タイプじゃないけど可愛らしい小柄な女子だ。性格は、しっかり系笑
「まーた、俺だけ迎えが遅れてるよ〜。同じアラバンの民なのにどういうことやね〜ん」
「まあ、気長に待つのね、それか、お父さんに言ってドライバー変えてもらいなさい」
「でた、まりなのマジレス笑」
「二人とも、今日は、何かと助けてくれてありがとう。また明日ね」
「うん、明日ね」
まりながセミショートの髪をかき上げながら言った挨拶に少しキュンとした。
「じゃあな!」
「おう!」
優太もまりなも本当にいいやつだ。
優太は見た目も振る舞いもいかにも体育会系って感じで、身長は、180cm近くある。バスケ部所属でとにかく明るい。友達も多いけど、昼食はこれまでまりなと二人で食べてばかりみたい。ひょっとして二人は、付き合ってるの?ってまりなにこっそり尋ねたら、全力で否定された笑
まりなは、身長155cm程で本当に小柄だ。茶道部女子だ。父親は、某財閥系商社マンで、迎えに来る車種がみんなと一線を引く。
優太とまりなは偶然すぎるけど、転向してきた日が一緒で、もうすぐで3ヶ月経つみたいだ。
「まりなの家は、この辺か?」
ポールの鼻歌が舞う車で独り言を呟く。
まりなの家は、僕の家の近くらしい。道の説明に弱く、あまりわからなかった。
「着きました!明日もよろしくお願いします!」
「はい、よろしくです」
アラバンの住宅街は、門番もいて、治安はいいが、流石にクローバーモールの様な娯楽施設はない。でもしばらく歩けば、ちょっとしたカフェとかがある。
「ちょっと家近のカフェに行ってくるね」
「いいけど、気をつけるのよ〜」
母さんに一言言ってからいざ出発。
沙耶さんに集合場所のロケーションをLINEで送ってもらっていたので、案外直ぐつけた。
遠くからでも直ぐにわかる。沙耶さんの美しく凛としたシルエット。
「お待たせ、待たせちゃった?」
「んーん、大丈夫だよ。僕もついさっき着いたばかり」
「よかった!じゃあ入ろっか」
沙耶さんがよく休みの日や学校帰りに立ち寄るというおすすめのカフェは、本当にセンスがいい。店内は広すぎず狭すぎず、ヨーロピアンなオシャレ感が漂う。
「ブルーマウンテンコーヒー、アイスでお願いします」
「私はね〜、エスプレッソにする。エスプレッソでお願いします」
「はい、お待ちくださいね」
店員さんは、超優しそうなフィリピン女性だ。
「沙耶のお父さんて、銀行マンなんだね」
「そう、銀行マン。でも、世間でイメージされるクールさとは、かけ離れてるよ笑」
「聞いてると、そんな感じする笑、でもいいと思うよ」
「そうかな、もう少しカッコ良いお父さんでもよかったかも、なんちゃって」
「今日は、宮坂優太と福田まりなとお友達になりました」
「あっ!二人とも知ってるよ!」
「おお、それは驚き。知り合い?」
「そうね、クラス違うから、見かけて挨拶したくらいの顔見知り?でも友達からいろいろ聞いてる」
「いろいろ?」
「優太君は、スポーツ万能のイケメン、大学もスポ選で攻めれる程みたい」
「わお、話してる時とのギャップすごいな笑」
「まりなちゃんは、学年1位の学業成績で有名」
「あー、やっぱそんなかんじか笑 そんな雰囲気あった」
「で、二人とも付き合ってるとかないとか」
「あっ、それはないみたいよ」
「えっ、そうなの?」
「うん、まりながそう言ってた」
「怪しいけどね」
「そういうパターンね、確かに本当は付き合ってるかもね笑」
「全然あるある」
「そそ、これお土産、沙耶さんに似合うかなと思って」
「わー、綺麗じゃん、ありがとう」
そう言って直ぐに腕につけてくれた。
「とっても似合っております」
「ふふ」
その後たあいもない話をだらだらとした後、お店を出た。そしてお互いの家まで、しばらく方向が同じだったから、一緒に帰ることに。
そしてもうすぐ分かれ道。沙耶がいきなり言った。
「私ね、彼氏と別れようと思うんだ」
「ん!?」
「勝久とは、こっちに来て学校生活が始まって直ぐに告白されて、断る要素がなかったから付き合い始めたんだけど、今回の件、幸来と遊びに出かけること、ダメって言われるし、ついにはLINEのやりとり見せてって言われるし。なんか、正直幻滅したっていうか、そういう自分に自信ない人、ちょっとね、、」
「人生の選択は、沙耶が自由に決めていいと思う。どんな決断をしても、とにかくあとで悔いの残らない道を選んでいくことが大切だと思うよ。僕は、そう思う」
「そうだよね、うん、今度勝久にこの気持ちをぶつけてみる。それで、決める」
「うん。いつでも相談にのるよ。ことの最中でも、終止符がついた後でも、どんな時でも」
「ふふ、ありがとう」
「沙耶は僕にとって特別だからさ」
「あっ、あれまりなさんじゃない?」
「えっ、どこ?」
頬に暖かく優しい感触。
「うっそ、じゃあまたね」
そう言って足早に沙耶さんは、反対側の道に渡って行った。
人生で初めて頬にキスをもらった。
その一瞬が、今もまだ感じられる。
頬の暖かさの余韻と喉元を過ぎる紅茶の暖かさの余韻を感じながら、
一人呟いた。
「告白って、何回目のデートでするべきなんだろう」
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