第17話 宝探し
四時間目は水泳でした。
子供たちの甲高い、笑いと叫びが入り混じったような声が快晴の空に響き渡ります。耳がキンキンします。
ピッ!
芳来先生がホイッスルを鳴らしました。
プールの縁に立ってこちらにお尻を向けていた千真さんと恵美寿さんと空穂さんが一斉に水中へと飛び込みました。
「速いねー」
「ねー」
みんなと一緒に膝を抱えて順番待ちしている私です。周囲からは彼女たちに対する賛辞の声が聞こえてきます。あの三人は運動神経抜群です。私から見れば、ですけど。
……疎外感。
中でも、運動神経の良い男子でさえ凌駕するような空穂さんがトップでしょうか。千真さんと恵美寿さんは、お二方とも、このくらいの女子平均より上、くらいの感じがしますね。
「次、姫、早希、千佳」
「はい!」
名前を呼ばれて立ち上がりました。
あの三人に遅れを取らないように。いざ、参るとしましょう。
「がんばれー」
「もうちょっと!」
「姫ちゃんあと少し!」
あぷあっぷしながら泳ぐ私の元へも届く熱い声援の数々。水の中にいて本当に良かった。だって、涙を流していることをみんなに知られないで済むから。
いつものことです。負けません。
あ……、そういえば、聞いていた通りでした。見た目に似合わず玉藻先生の身体能力はとんでもなかったです。水泳選手かっていうくらいの見事な泳ぎっぷりでした。
あの芳来先生が感心半分ドン引き半分です。
あやかりたいものです。
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