第3話 彼女との別れ
私が運転する車の中。
彼女はずっと窓の外を見ている。まだ怒っているのか、悲しんでいるのかわからない。
私は彼女との終わりを感じていた。もう無理だと思っていた。
「あなたは頭の中、バンドのことだけでしょ。私はいい年だし結婚のことも考えたい。あなたは頼りない。」
今の私に、彼女に好きでいてもらえる資格はないと思った。あまりにも急激に変わった私に彼女もきっと戸惑いを感じていた。〝違う。俺は病気になってしまったんだ〟そんなことを言って理解してもらえるとも思えない。こんな状態で付き合いを続けてもお互いに辛いだけ。
「別れる。」彼女は言った。私はそれでいいと思った。
彼女のマンションの前。いつもなら笑顔で車を降りていく。今日は違う。バイバイ。俯いたまま小さな声でそう言って彼女は車を降りた。
帰りの車の中。私はなぜこうなってしまったのか悔しかった。
好きになり、付き合うことができた彼女。こんな形で終わりかよ。
狭い部屋に戻り、私は彼女と初めて出会った時のことを思い出していた。
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