第8話

 俺はとりあえず、声をかけてみる事にした。しかし、起きる気配がなかったので、身体をゆすってみたりした。しかし、寝返りをうつだけでまるで起きなかった。

 

「サイキック目覚まし試してみる?」

 

「やめろ」

 

 ナミがとんでもないことを言い出したので止める。

 

「う、う~ん?」

 

 お、どうやら目を覚ました。

 

「あるぇ?君たち誰?」

 

 どうやら言葉は通じる。

 

「あー、その俺はレンツ、こっちはナミ。ちょっとここがどこだかわからないんだが、教えてくれると助かる」

 

「レンツくんにナミさんね、よろしく。ここは魔界の鬼人族が多い地域にある外れの大樹海だよ」

 

「ねぇ、レンツ・・・魔界って何?」

 

「俺に聞くなよ」

 

「魔界って知らない?あれぇ・・・君たち、どこから来たの?」

 

「アジアJP区の城北地下都市」

 

「同じく」

 

「うん、なるほど」

 

「えっと、あなたは?」

 

 ナミがこの角が生えた青年が何者なのか、という視点に切り替える事にした。もしかしたら、新型の生物兵器かもしれないし、場合によってはここは巨大研究施設の空間かもしれない。

 

「パープリープ、長ったらしい名前があるけれど、パープリープっていうんだ。よろしく」

 

「パープリープさんはここで何を?」

 

 ナミが積極的に情報を得ようとしてるので、俺は隣で周りの警戒とこのパープリープについて観察することにした。

 

「悩み事を解決したくて考えていたら寝ていたんだ」

 

「そ、そうだったのね」

 

「ねぇねぇ!それよりその頭につけてるのって何?」

 

 パープリープはナミが頭につけているサイキックブーストギアに興味津々だった。

 

「え、え~っとこれは・・・」

 

 誰かわからない相手に機密事項に抵触する可能性があるし、そもそもこのパープリープって何者なんだ?

 

「ね、ね!ちょっとだけ被ってみてもいい?」

 

 ナミは困った顔をしたが、登録者以外が着用しても認証されないただのヘッドギアになるため、被っていたものをパープリープに渡した。いいのか?と目でナミに確認したが、肩をすくめて気に留めていない感じだった。

 受け取ったパープリープが頭に被ると、出ていた角がだんだん小さくなって、普通に被れるようになっていた。すると、あたりの森の雰囲気が変わった。どう変わったのか、具体的にわからないが何か変わった感じがした。

 ナミも感じたようできょろきょろと周りを見ていた。失明している目で何が見えているのか、サイキッカー特有の感覚で何か感じたのだろうと思った。

 

「へぇ、これはすごいな!」

 

 パープリープはヘッドギアを外すと、角がにょきっと元の大きさに戻りさっきまで感じた違和感が元に戻った。

 

「ありがとう!・・・でさ、よかったらこれくれない?」


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