ビキニアーマー2
しばらくして、ビキニアーマーを身につけたシルヴィアが戻ってきた。
「おおおお……」
シルヴィアのビキニアーマーは、水上戦闘用ということで、重い金属は使われず、代わりに魔物素材らしきもので一部のパーツが作られていた。重要な関節だけを守って、他は肌を露出させている。多少の違いはあるけど、大まかには前世で見てきたビキニアーマーと同じものだった。
「すごい、こんな風になるんだ」
水着の色は白で、腰回りだけスカートがついて少し露出を抑えている。付与魔法が入っている装甲はエメラルドグリーンの光沢のある素材だ。付与魔法で防御力を出しているんだろう。装甲も体に合わせた流線形で、水中に潜っても動きやすいようにしているらしい。
関節を守る装甲とかウエストのポシェットとか、機能性を考えてちゃんと設計してあるのが見ていて面白かった。
それを、実際に戦えるシルヴィアが着ているっていうのがまた良い。
「ちょ……ちょっとアレン、そこまで真剣に観察されると、恥ずかしくなってくるでしょ……」
「ああ、ごめんっ」
見事なデザインについジロジロ見過ぎてしまった。
「それじゃあ、海上走行も見せてあげるね」
「お願いします」
シルヴィアは砂浜からパシャパシャと海に入っていったかと思うと、そのまま海上をダダダッと走ってみせた。
前世にテレビで水の上に板を置いて走るアクティビティをやっていたけど、そんな感じだ。
ゆっくり海上に立つこともできるらしいけど、その方が魔力を食うそうだ。
「興味があるなら、今度、私の領地にも遊びに来て。領地の警備兵の訓練、見せてあげる」
「警備兵? ……つまり、男のビキニアーマー?」
「うん。私よりずっと水魔法の得意な歴戦の戦士を紹介するよ」
「いや、それは……やめとくよ」
恐いもの見たさで見るのもなぁ。
「そう? なんだったら、アレン用のビキニアーマーも作ってあげるよ?」
「それはやめとく!」
俺は一度転生したくらいじゃ、女の子とお揃いのビキニアーマーを着て浜辺ではしゃぐような勇者にはなりきれないのだ。
……でも、シルヴィアのビキニアーマーはとても美しかった。
その日の夜から、俺はキャンバスに向かってシルヴィアの絵を描きだした。
《ビキニアーマー
レヴィントン公爵領で制作されたビキニアーマー。魔力を通すと防御力が向上する。男性用のビキニアーマーは、地球で言う海水パンツと、胸部を保護する防具を身につけるもので、名称は同じだが女性用とはデザインが異なる》
〈神眼〉によると、男が女性と同じビキニアーマーを着るわけではないらしい。良かったぁ。
後日。
海辺のビキニアーマー姿のシルヴィアの肖像画を王都に持ち帰ると、かなりの話題作となった。
それは、レヴィントン領のビキニアーマーの売り上げにも少し貢献したようで、俺はシルヴィアにお礼を言われたのだった。
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