伯爵令嬢は今日もがっつりと堪能する
プロローグ
カイエン兄上が、ノクタール侯爵家のアディエル嬢と婚約するから、側妃候補になりそうな令嬢以外から、自分の婚約者を選べって、母である三妃イザベラから候補の令嬢の一覧を渡されたのは九歳の時だ。
第三王子で、王位継承権第三位の僕、エイデン・リードビッヒは、途方に暮れていた。
言い方は悪いけど、残りものから選べって事だろ?
しかも王じゃないから妻は一人だけ。
三葉のクローバーの中から、四葉を一つだけ探すようもんじゃないか?
正式に申し込むことになるのが、十二歳になってからだから、遅くとも三年の間に決めなきゃなんない。
一覧を見てみれば、誰も彼もずば抜けて秀でたところがある訳じゃない。
いっその事、くじ引きで選んでもいいかもしれない……。
そんな事を考えながら、ダラダラと日々を過ごし、そろそろ決定をしなければならない頃、彼女は僕の前に現れた。
医術に長けたカラディル伯爵家の令嬢、リネット・カラディル。
兄上の二妃候補になっていた僕と同じ年の令嬢だった。
「エイデン殿下!お願いがございますっ!!」
兄上の十一歳の誕生パーティーで、彼女は人混みからこっそり抜け出した僕を追いかけて来て、そう言ってきた。
「お願い?」
アディエル嬢と変わりたいとかじゃないよね?そんな事、兄上にバレたらどうなるか知らないよ?
不安になりながら次を促すと、彼女は胸の前で両手を握りしめると、僕の前に跪いた。
「は?え?え??」
突然の事態に驚く僕。
「わたくしを殿下の婚約者にお選びくださいませっ!!」
さらに飛んでもない発言の追い討ちに、僕は言葉が出なかったーーーー。
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