エピローグ


「…という訳で、議会で無事に私達に側妃は必要ないと言うことを認めてもらえるように出来たよ♪」


 承認印の押された書類を手渡され、アディエルはそれに目を通した。


「…あら?あちらからの条件は付かなかったのですか?」


 見れば自分達が提案したまま変更のないことに、アディエルは少し驚いた。


「いや、これ以上付けようがないと思うよ?それに、アディ以上に王妃に相応しい令嬢なんて、今の我が国にはいないからね?そりゃ、譲歩するだろう…」


 認められないなら修道院に入るという、飛んでもない発言脅しをしたアディエルの提案である。

 議会としては、アディエル以上の適任者も考えられなかったし、癖の強いカイエンや王妃達を御せるのもアディエルしかいないと分かっているのだから、反対なんてしようはずもないのだ。

 彼らは寧ろ、出された条件はなくてもいいとまで提案したのだが、とそのまま可決した。


 そもそも『断罪令嬢』に断罪されたくない。

 断罪されるようなことはないと思いつつ、それぞれ妻の味方になられてはヤバいと思っているのだ。


『断罪令嬢』が『断罪王妃』になる可能性を誰も気がついていないけど……。


「そんな訳だから、ご褒美にキスをしてもいいだろうか?」


 隣りに座ったカイエンが、アディエルの頬に手を当てた。


「まあ、お断りします!」


 にこやかに微笑んだアディエルが拒絶する。


「アディ……」


 ガックリと肩を落とすカイエン。


「私。婚約者にご褒美でなければキスをさせない程、狭量ではございませんのよ?」


 左側に首を傾げて、クスクス笑うアディエルに、カイエンは真っ赤になりながら抱き寄せた。


「本当に君には敵わない…」


 そうして、互いの唇を重ね合う。


 侯爵令嬢は今日もにこやかに第一王子を拒絶するけど、受け入れているのであったーーーー。





[完]



 ※※※※※※※※※


 トラブルにより予定より遅れましたが、お待たせしました番外編です!


 他には誰の話が良いのか、分かりませんのでご希望ありましたら、ご意見お聞かせ願います!


 全部に答えられる自信はありませんが、出来る範囲でお答えしたいと思います。


 ついでに本編も色々と書き足して、完全版としようと思ってます。


 それでは、今回もお読みいただきありがとうございました。

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