第5話

「――でも確かに水と油と言った感じではあるのよね、ヴァネッサとセオフィラス殿下」


 わたくしは『改良型』の魔力制御チョーカーの設計図を書きながら、書架を真剣に眺めているスザンナにそう言った。


「そうなんですか? 確かに、良い噂は聞きませんけれど……」


 平民であるスザンナは首を傾げる。彼女が親しくしている貴族と言えばわたくしとヴァネッサくらいで、他の貴族たちとは一線を引いている。理不尽なことを言われることも多いし、八大属性を扱うその資質を求めて愛妾になれ――なんていう殿方も少なくないのだ。


 貴族に睨まれたらどんな理不尽な目に合うかわからないというのが平民の一般的な認識で、積極的に貴族に関わろうとする平民は、あまりいない。


「地位に奢る傲慢な貴族が多いのは確かよ? でもどの貴族家にも王家の息がかかった密偵が入り込んでいるの。王国への忠誠心や、平民や使用人に対する振る舞いなども含めて、王室は貴族に対する評価を下しているのよ。ウィリアムズ公爵家なんかは、権力志向は強いけれど、領地では善政を敷いているわ。使用人の待遇もいいしね。エイプリル王妃殿下の生家であるディオール公爵家も、これは同じ。――ああ、ジェフリーからの又聞きだけれど。王族との結婚が認められたというのは、王室からの評価が高い証拠よ。実際、平民のスザンナでもヴァネッサは付き合いやすい相手でしょう?」


「そうですね。良い意味で、貴族のご令嬢らしくない方です」


 わたくしの言葉に、スザンナが小さく頷く。


「現状伝わっている火属性魔法は攻撃魔法が大半だから、女児だと魔力量が強くてもあまり期待されないのよね。でもヴァネッサは素がああでも、教養、芸術、マナー、立ち居振る舞い、すべてに関してトップクラスの令嬢なの。その上アカデミーに入学できるほどの学識と知見があるとなれば、公爵閣下が期待を寄せるのも無理はないわ」


「貴族女性にとっての立身出世と言うと――やはり他の上位貴族や王族との婚姻、というわけですか?」


「そういうことね。ヴァネッサは平民だろうと貴族だろうと、能力さえあれば敬意を持って接する娘だけれど、セオフィラス殿下とエイプリル殿下は真逆で、生粋の血統主義者なのよ。ついでに魔法学に明るくないから遺伝説の信奉者よ。光属性を輩出したことがないウィリアムズ公爵家との婚姻を不本意とすら思ってらっしゃるの」


「え、それって大丈夫なんです? ウィリアムズ公爵一門って……」


 言いながら、目的の本を手にとったスザンナわたくしの向かいに座る。


「セオフィラス殿下の後ろ盾よ。でもかの公爵家がどこまで把握しているかは知らないわ。あるいは、知っていて黙認しているのかも」


 王が愚かなら、それはそれでやりやすくなる。傀儡にしてしまえばいい。言うことを聞かず勝手な振る舞いをするなら、失脚させてヴァネッサとの間に生まれた子を王に据えれば良い。文官を多く輩出しているウィリアムズ公爵一門なら、不可能ではないでしょうね。武官たちは反発するだろうけれど。


 いずれにしても、わたくしが口を挟めるような問題ではない。証拠を残さず暗殺くらいなら、やってやれないこともないけれど。


「ヴァネッサさん、なんだか可哀想ですね」


「貴族だもの、仕方ないわ」


 わたくしはそう言って肩をすくめた。


 貴族に生まれた以上、望まぬ結婚を強いられるのはやむを得ないことだ。わたくしもいずれはどこかに嫁ぐことになる。そうして家を安定させるのが貴族の娘の務めでもある。家が揺れると領地運営も揺らぐし、家臣や使用人たちの生活も揺らぐ。


 もちろん――婚姻相手を誤れば余計に家が揺らぐことになる。ヴァネッサとセオフィラス殿下の不仲については、公爵閣下も頭を悩ませているに違いない。


 夫婦仲が良ければ、これ以上ないほどの良縁なのだけれど。


「ところでこの『改良型』魔力制御チョーカーのデザイン、どうかしら?」


 わたくしは紙に書き上げたデザイン画をスザンナに見せる。


 新しくデザインし直したチョーカーは、前の首輪のようなデザインから、首に巻き付けるリボンのようなデザインに一新されている。こういう小さな布地に魔道具としての効能を難しいので、設計から見直す必要もあるんだけれど、まず見た目からだ。


「かわいいですね。貴族のご令嬢ならお似合いになるんじゃないですか? 前は犬の首輪みたいなデザインでしたし……。でも平民向けかというと、こういうリボンのような華美なデザインはどうでしょう……平民の服には合わないかも。あ、そうだ。可愛らしすぎて男の子は嫌がるんじゃないでしょうか?」


「男の子向けにはチョーカーじゃなくてタイにするのもいいかも知れないわね。それと普及させるなら平民の衣服に合うようなデザインか……」


 スザンナの率直な意見にわたくしはそう言って頷く。魔道具はまだ庶民にとっては高価なものだけれど、平民の中にもスザンナのように魔力量の大きな子供が生まれるのは珍しくない。スザンナは幼い頃からうまく制御ができたらしいけれど、魔力を暴走させた結果、親の手に負えなくなって孤児院や神殿に預けられる子供も少なくはないのだ。


 不幸な子供たちを減らすためにも、どうにかして量産化を図りたいところよね……。王妃みたいな権威があれば事業として捻じ込めるかしら……?


 いや、いやいや、あり得ないわ。わたくしが王妃なんて。そもそもジュリアス殿下とは、直接お会いしたこともないのだし。


「あ、そう言えば今度ジェフリーとドレスを見に行く約束をしていたのよ。その時に仕立屋に相談してみるのもいいかも知れないわね。今後はわたくしも社交の場に出ることが多くなりそうだし、どこかの商会と懇意にしておくのも悪くはないわ」


「確かに。専門化の意見は参考になりますからね」


 スザンナが相槌を打つ。


 ちなみにスザンナの研究課題は『魔道具の基礎理論応用による複合属性魔法の発動と運用について』だと聞いている。具体的に何をやるのかにはわたくしも知らないけれど、同じく複数の属性を持つオズワルド・ワイズマン教授と熱心に話し込んでいることがあるから、魔道具の仕組みの基底部にあたるものなのではないか、と推測をしている。


 スザンナは紛うことなき天才だ。もし研究が完成すれば、魔法の運用そのものが変わるかも知れない。つまり誰もが複合属性魔法を使えるようになる可能性があるということ――国王陛下がアカデミーに来てちょくちょくわたくしたちのグループに絡んでくるのも、スザンナの研究に関心を寄せているからでしょうね。魔道具は魔力のない人——いわゆる『魔力障害』の持ち主であっても使用可能だから。


 まあ――完成しなくても国王陛下は『剣で魔法の炎を切り払った』という逸話を持つ武人だから、困りはしないのでしょうけど。


 そんな話をしていると、研究室の扉がガチャリと静かな音を立てて開かれる。


「ごきげんよう。今日も二人して熱心ですね」


「ごきげんよう、ワイズマン教授」


 穏やかにわたくしたちに声をかけてきたのは先述のオズワルド・ワイズマン教授である。わたくしたちは声を揃えて挨拶を返した。


ワイズマン教授は風属性と水属性の魔力を扱い、魔力量も制御能力も常人とは桁違いの天才である。年齢は二十代後半。元は伯爵家の次男で、王宮魔法師団の次期団長になると目されていた人物なのだが、ディオール公爵家の次男坊、カサンドラ・ディオールに難癖をつけられて王立魔法アカデミーの講師に回されたという経歴を持つ。


 髪は緑がかかった金髪で、瞳は深いブルー。怜悧な風貌の美男子だが、物腰は知的で穏やかだ。魔法師団からアカデミーへの異動を失脚と評価する方もいるが、早々に教授職についていることや、本人がかなり楽しそうに過ごしていることを考えると一概にそうとは言えないだろう。権力闘争の絡む宮廷での生活は研究者肌の彼にとって窮屈極まりないものだったことは容易に予想がつく。


 眼鏡が似合いそうだわ……と常々思っているのだけれど、眼鏡はしていない。


「教授、魔道具の量産化についてご意見を伺いたいのですけれど」


 わたくしは、『魔力制御』のチョーカーのデザイン変更とそれに伴って発生する問題、量産体制の確保について教授に意見を求めた。


 『魔力制御』のチョーカーの仕組み自体は単純なものだ。魔力は血管やリンパ腺、骨髄を通して人間の体内を巡っている。生物が興奮すると血圧や心拍数が上がるのと同様に、魔力も膨張する。普通はここで魔力が暴発しないよう圧力弁のようなもので制動がかかるのだけれど、魔力量が多く、かつ魔力制御を学んでいない未熟な子供の場合これがうまく機能せず、魔力が暴発してしまう場合があるのだ。


 で、人体において血管、リンパ腺、骨髄——こうしたものが集中している箇所の一つが、首である。脳に近く、装飾品を付けやすい箇所であるというのも大きい。『魔力制御』のチョーカーは、首を流れる魔力量が設定した閾値——魔力暴走を引き起こす可能性が高い数値に達すると、闇属性特有の魔法——魔力を打ち消す『魔法消失アンティ・マジック』と、昂ぶった感情を落ち着かせる『沈静化トランキリティ』の魔法を発動させる、という機能を有している。


 ただ魔法陣を横列化した図形——魔法式と呼ばれる幾何学模様を組み込む必要があるため、どうしても素材の問題が出て来る。理想は金属——できれば銀かミスリルだが、見栄えがあまりにも悪すぎる。そこで付けた妥協点が『皮』なのであるが、これが『まるで犬の首輪』と不評なのだ。普段使いならともかく貴族がもっとも緊張を強いられる社交の場で身に付けられるようなものではない。


 そこでシルクならどうだろうかと考えていたのだけれど、シルクなどの布地は薄く複雑な魔法式を刻むのには向かない――このため魔法式を単純化するか、あるいは刺繍のような図案に見せかける必要がある。


 以上がデザイン変更についての課題だ。


 それから量産化について。


 量産化されて、庶民にも普及している魔道具はいくつかある。水を出す魔道具、火を起こす魔道具、明かりを点す魔道具、などがそれにあたる。


 ただこれらの生活向け魔道具の量産体制を整えるのには、かなり時間がかかった。それこそ数十年前までは上位貴族の屋敷でないとお目にかかれない品物だったのだ。


 この問題に対する教授の回答はこうだ。


「計算式についてはそうですね——まず元になった数式に無駄があるようですので、そこを整理することが必要でしょう。あとは——多少計算式の構築を工夫する必要がありますが、布地の縁に刻み込めばよいでしょう。それと量産化については——すぐには難しいかもしれません」


「どういうことです?」


 わたしが頷くと、ワイズマン教授はすぐに答えを返してくれた。


「そう難しいことではありません。まず魔道具の性質上、有効性についてある程度の担保がなされなければなりません。これはわかりますね?」


「ええ、確かにそれはそうですわね。魔力の暴走を抑える魔道具と喧伝しておいて、実際に効果がなかったら詐欺のようなものです」


「はい。あなたの妹さんであるシェリー嬢が実際に身に付けていらっしゃるとのことですが、それだけでは他の貴族も信用しないでしょう。身内の言うことですからね」


 教授の言葉にわたくしは頷く。彼の言う通り、制作者の身内から「効果はある!」と言われても信用に値するかは、確かに微妙だ。


「後は継続的な生産と販路の確保です。ヒューストン侯爵家ほどの大きな貴族家なら、懇意にしている商会はあるでしょうし、これは問題ないですね。問題になるのは生産の方です。魔力暴走を引き起こすほど魔力量の強い子供がどのような条件で、どれほどの数生まれてくるのか、はっきりしたことは解っていませんから、どの程度の需要が見込まれるかわからないということですね」


 なるほど。需要がはっきりしないとなれば、商人や職人からすれば明確な生産計画を立てられないということ……。


「最後に、法律の問題ですね」


「法律、ですか?」


 教授の言葉に、わたくしとスザンナは顔を見合わせる。


「そう難しい話ではありません。せっかく有用な魔道具を頑張って開発したのに、お金が懐に入ってこないのでは研究者たちもやる気をなくします。魔法に限らず、学問の研究には何かとお金がかかるものですし、やりがいだけで続けていけるようなものではありませんからね。ですから魔道具に限らず、新たな発明には特許が設定され、販売や生産に際しては一定期間開発者にお金を払わなくてはならないのです。だからこそ自分の研究を他人に漏らさないようにと、アカデミーでは厳しく教えています。他国では放棄することができるようですが、我が国では特許を放棄することはできません。――貴族が子飼いの魔法師を脅して権利を放棄させることも想定されますからね。セドリック国王陛下の代になって特許制度の管理はより厳しくなっています。他人の研究や発明を盗んだら、厳罰に処されます。判事の心証にもよりますが、最悪、縛り首ですね。ですから安価で流通させるのであれば、ヒューストン侯爵家と深いつながりのある商会でなければ難しいでしょう。そして、貴族の家の多くは、懇意にしている商会以外とはあまり取引をしません」


「なるほど、だから普及には時間がかかると……」


 わたくしが理解した旨を伝えると、ワイズマン教授は穏やかな笑みを浮かべて頷いた。


「とはいえ、『魔力制御』の魔道具自体は訓練課程にある魔法師にとって有用なものです。とりわけ、攻撃魔法の訓練には危険が伴いますしね。——他には、そうですね。神聖な場所——例えば陛下の御前で魔法の使用を封じるなどと言った用途にも使えるでしょう。ブリジットは着眼点が良い。あとはそれをどう生かすかですよ」


 ワイズマン教授は、わたくしだけでなく、スザンナにも言い聞かせるように言葉を続ける。


「我々は学究の徒であり、その志は尊いものではありますが――実利がなければその価値は門外漢には理解されぬものです。研究を続けるためには資金が必要なもの。では、資金のあるところから金を引き出すにはどうすれば良いか――例えば、政治、経済、軍事、そう言った分野においても理解を深めておく必要があるでしょう。例えば今回、ブリジットがしたように、ご令嬢がたが身に付けやすいように魔道具のデザインに工夫を凝らす、というのはとても良い発想です。販売の目途も付けやすくなりますし、流行が変われば買い替えも発生するでしょう」


 これはどちらかというとスザンナに言い聞かせている感じね。ヒューストン侯爵家は割と裕福な家だし、魔法師を優遇している家柄だからわたくしが研究費用に困ることはまずない。


でもスザンナが研究しているのは基礎理論に近いものだったはず。学生の間はいいけれど、卒業してからも研究を続けるにはパトロンが必要。ではそのパトロンからどのようにお金を引き出すか、アプローチの方法を考えておけということでしょう。


 あとはまあ、色仕掛けという方法もあるけれど、スザンナには無理よねえ。


「あ。そう言えば、お昼に国王陛下がいらっしゃいましたよ」


「ああ、私のところにも来ましたよ」


 わたくしが紙面に書かれた数式を見直しながら話題を切り替えると、ワイズマン教授は途端に苦い顔になる。


「私としてはもう王宮に戻るつもりはないんですけどね。権謀術数渦巻く宮廷より、アカデミーでこつこつ研究をしている方が性に合っています」


 王宮でワイズマン教授を追い落としたカサンドラ・ディオールは、ディオール公爵家の威光——擁するに王妃と王子の親族であることをかさに着て大分やりたい放題やっている——というのがジェフリーから聞いている話。


 当然そんな人物にエリート集団である王宮魔法師たちが唯々諾々と従うはずもなく、士気の低下が問題視されているんだそう。だから能力の高い——実際この世代ではずば抜けた天才である——ワイズマン教授に戻ってきてほしい、というのが国王陛下の本音なのだろう。



 水と風を操る魔法師、オズワルド・ワイズマンは、その魔力を以って天候をも操ったという逸話がある。


 数年前だったかしら、平和なこの国にも他国からの侵攻があった。その時敵の艦隊を打ち払ったのが、当時王宮魔法師団の副長だったワイズマン教授の天候操作魔法。魔法陣によって魔力を増幅した大魔法によって敵艦隊は壊滅状態に陥り、撤退を余儀なくされたという。


 その功績によってワイズマン教授は王宮魔法師団長に格上げされたわけだけど、それをよく思わない者たちもいた。


 それは当然かも知れない。王宮にそんな大魔法師がいて、自分の領地にその魔法を使われたら——と思うと、貴族たちは震撼したはずだ。


 結局、ワイズマン教授が王宮魔法師団長であったのは2年と少し。宮廷貴族たちに適当な理由をでっち上げられて、教授は魔法師団を追いやられた——かと言ってどこかの貴族家に雇われるのも困るということで、たらい回しになった挙句、政治的な理由によりアカデミーに移籍することになったのよね。


 教授を嵌めた貴族たちは復讐されるとか思わなかったのかしら? まあ思わなかったんでしょうね……。


 ま、ともかく。教授の代わりに担ぎ上げられたのがカサンドラ・ディオールというわけね。光属性で魔力量は豊富、個人としての技量だけ見れば問題ないのだけれど、実際の軍務経験も指揮官としての経験も皆無だから、王国魔法師団は今揺れているみたい。


 当然、国王陛下としては単独で戦況を覆すほどの力量と実績、そして指導能力と実戦での指揮経験を持っているワイズマン教授に戻ってきてもらいたいんでしょうけど、国王陛下の与り知らぬこととは言え王宮から追い出してしまった訳だから、本気で戻せるとは思っていないはず。


 つまるところ国王陛下のアカデミー視察は、将来の魔法師団長候補を探しにきているのでしょうね。王太子が決まれば、国王陛下の代わりに立太子した方の王子が来るようになるのかも知れないわ。



「王宮の魔法師と言えば、ジュリアス殿下の御活躍は目覚ましいらしいですね」


 ワイズマン教授がそんなことを口にする。王族についての評価を教授が口にするとは、なかなか珍しいことだ。


「なんでも魔法陣による増幅なしの『落雷ライトニング』でワイバーンを撃ち落としたとか——。雷属性の魔法は対空攻撃に長けているとは聞きますが、魔力量と操作技術の両面に長けてなければ、できることではないでしょう。武芸についても、馬術と槍術の腕前は騎士顔負けと聞きますし、将来が楽しみな方ですね」


 ワイズマン教授が手放しに誉めるのに対して、わたくしは少し眉をひそめる。


「その方法はスマートではありませんわ。雷属性なら脳を焼き切ってしまえばよろしいではないですか。生き物に微弱な電流が流れていること自体は解明されているのでしょう?」


 わたくしの言葉に、他二人の表情が固まる。


「あ、あら? わたくし何か変なこと言いまして?」


 スザンナが困り顔で口を開く。


「ええと、ブリジット? 雷属性でそう言った魔法はまだ開発されてなかったはずです」


 あ、あらそうなの? もしかしてわたくしが使える『暗殺魔法』もやべぇヤツだったりする?


「開発されたら国の役には立つかも知れませんけどねえ……なんというか発想が。それにそこまで繊細な魔法を放てる魔法師は、我が国にも数えるほどしかいませんよ」


 呆れ顔でそう言った教授は、「とりあえずお茶にしませんか」と休憩を提案した。

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