空模様

 薄くもやがかかったような空が、僕達を包んでいた。

 君は曖昧な表情を浮かべながら、僕をみている。僕をみているの? それとも、僕の遠くにある何かをみているの。

 それは君にしかわからないものだけれど。


 揺らいでいくものがあった。人の気持ち。今日の空模様。何もかも。

 僕には止めることなんて出来ないのに、勝手に変わってしまうんだから、世話もない。僕の手からは離れてしまうもの。

 

 さようなら、と君はいつも言うけれど、それきり二度と会えないような錯覚を、幻をみる。声も届かない。君が遠くに行ってしまうような幻想に。


 景色がゆらめく。僕はつまずいて、転んでしまう。


 君の顔は──

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

灰色の世界に寄せて 月乃 @tsuki__

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ