第51話 出自
「オレの母親......
聖女アリーシアが......」
「驚くのはむりもありませんね。
私ですら驚いたのですから......」
「どういうことだ?
千年前のはずだろ!
いや時空間魔法......
まさか!?」
オレは自分でもわからず声をあらげた。
「ええ、千年前、アリーシアとの戦いでソートスタッフを使い、アリーシアの意識に同化し操作することに成功した。
そして三つの魔法アイテムである魔法を創りあげたが、最後の瞬間魔法耐性の高い彼女は私の操作に抗い、固有魔法を使った。
生け
そして私が自らにかけようとした時空間魔法を奪った」
「生け
「そうそれは使用された魔法の対象を自らに強制変更する身代わりの魔法。
私がかかるはずの魔法を彼女がうけたのですよ。
そして私が目を覚ましたとき彼女はそこに姿はなく、魔法を創るために潜在した
「姿を消した......
まさか?」
「そう彼女は私の不完全な形の時空間魔法で時空の狭間に飛ばされていたんでしょう。
そしていまから二十年前にゲートが開いたことであなたの世界に降り立ったのです」
「あの異世界へのゲートもお前が作ったのか」
「ええ、私が古代の魔法を発動させてそちらの世界と結んだのです。
元々文献などから存在は知っていましたからね。
なぜなら千年かかってもこちらの世界では元の
「そしてオレの世界にきた」
「それから二十年前、なかなか面白い世界でしたが、やはり私の望みを叶える魔法はなかった。
だがそこで彼女がまだ存在するのことを知ったのです。
うまく隠していましたが、ソートスタッフを使えば国の中枢に入り込むことなど容易い、そこで見つけた極秘資料の中に二十年前に現れた異世界の女性のことがかかれていた。
彼女は死んでいましたがその子どもがいることを見つけた」
「それがオレ......」
「ええ、
そう考えた私は、国を操り君をこちらの世界にこさせることに成功した。
もちろん君のお父さんは反対しましたがね」
「それを操ってか......」
「ふふ」
ザハーストラは何故か不安な感情を抱いているようだった。
そんな気持ちが伝わってくる。
「ただ君の
それでさまざまな仕掛けをして鍛えることにした」
「鍛える......
まさか今までのことは!?」
「ええ、私が仕込んだものですよ。
ジャイアントード、バジリスクなどはね。
そして君は次々と事件をこなし
「じゃあエルフやオークの事件も......」
「そうです。
君たちは私の手のひらで踊っていただけですよ。
後は私が君を操り時空間魔法を創るだけ。
君も馬鹿なことをしたね。
お父さんを信じて何もせずにいれば何も知らずに手のひらの上で死ねたのに」
嬉しそうな哀しそうな気持ちが伝わる。
「そうでもないさ......
知ってよかったよ......」
オレがそういうザハーストラは少し沈黙した
「これは喜びの感情......
......君の体はもう私が支配している。
君には何もできないはず......
ほらそして仲間たちも動けない」
そういってオレの体からみえる景色を見せた。
玉座にすわるザハーストラ。
そして階段下には膝をつけるビオリムさん、ルイエ、フェリスがいた。
そして傍らにはビオリムさんのゴーレムが二体いた。
「ゴーレム二体?
......リビィくんとザインくんがいない......
まさか!?」
その瞬間、ザハーストラの胸に槍が刺さる。
「なっ! バカな!?」
その瞬間、
玉座にすわるザハーストラは胸に刺さった槍を持ちもがいている。
「な、なぜだ......
これは
だがどこから......
いや魔法は封印しているのに何故だ......」
「あそこだ......」
オレがいうと曇った雲の中からマンティコアに乗ったザインとリビィが塔に近づいてきた。
「よし!当たったぜ!
オレの投げた槍を撃ち抜くなんてさすがリビィだ!」
「余裕さ!」
「クッ......
そうか
そういうザーハストラの顔は溶け始め骸骨になっていった。
「やられましたよ......」
ザハーストラは骸骨のまま話した。
「なんだ!?
まだ生きているのか!」
「きっと、自らの魔法でアンデッドのリッチとなって不死化したのね......」
驚くオレにルイエが教えてくれた。
「それで千年も生きられたって訳か......」
ビオリムさんがあわれそうに見た。
「まさか親子に揃って計画を邪魔されるとはね......
しかし、前の失敗から、他の仲間を排除かしてから、あなたを呼んでゆっくり慎重に計画を映そうとしたのですが、まさかあなたが父親を信じていないとは......
意外に仲間ほど家族としての信頼感はないのですね......」
最後だからなのか負け惜しみなのかザハーストラは皮肉めいたことをいう。
「そんなことは......」
「そんなことはない」
オレが言おうとしたとき、そう後の階段から声がした。
昇ってきたのは見慣れた男だった。
「親父!?」
そうそれはオレの父親だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます