第50話 魔導王ザハーストラ
「ユーヤ本当にあの人はザハーストラなの!」
「ああ、マンティコアの記憶の中と同じ魔法を使っている。
......間違いない」
オレが驚くルイエに告げる。
「クックックッ、そうですよ。
私がザハーストラです」
笑いを噛み殺したようにザハーストラはいう。
「信じられない......
千年も生きていたなんて......」
ルイエが絶句している。
「あり得ない!
不死だとでもいうのか!」
フェリスはがいうと、ザハーストラはニヤリと笑う。
「私にとってはさほど、難しくはありませんよ」
「三つの魔法アイテムを得て一体あんたは何を望んでいるんだ」
オレがそう問いかけるとザハーストラは笑みを止めた。
「......永遠ですよ」
「永遠......
不死なのにか」
「ええ、更なる高みを目指すには永遠が必要なんですよ。
でももうすぐ手に入る。
......そう千年前は邪魔が入りました」
こちらをまっすぐ見つめている。
(あの女の人か......
聖女アリーシア)
「さあ、もうおしまいにしましょう。
あなたたちは私の知識の糧となってください」
そういうと呪文を詠唱すると空一面を巨大な火球で満たした。
「ヤバいぜダンナ!
あんなもの全部落ちてきたらこの塔ごと吹っ飛ぶ!」
(賭けだが!
ここで使うしかないか!)
オレは走り出すとザハーストラのいる階段の前でソースソウルを使い
するとザハーストラのところまで光の
すさまじい爆風が塔に吹き荒れる。
「やったか!」
爆風がおさまると土煙が晴れるとそこにローブの男が倒れている。
フェリスが近づく。
「!?
違う! これはゴーレムだ!」
ローブを剥ぎ取り叫んだ。
「フッフッフ、ソースソウルをつかい
もうあなたにはほとんど魔力は残っていない」
上からそう勝ち誇った声がした。
空を見上げるとザハーストラが浮いて見下ろしていた。
「姿を隠していたのか!」
「そのソースソウルの魔力を失わせるためですよ......
その宝玉は魔法がかけられていてマンティコアに認められない者を弾くんですよ。
だからもうあなたたちは必要ありません」
そういうとザハーストラは魔法を詠唱する。
オレたちはなんとか意識を保った。
「ほうやはり対策してきましたか......
魔法耐性の
ビオリムさん製作のものですか......
まあそれでも動けませんよね」
そういうとザハーストラは玉座に座りオレに杖を向けた。
「ソートスタッフ!?」
その姿をみながらオレは意識を失った。
暗闇で声がする。
「ほう、まだ意識があるんですね。
さすがですね」
ザハーストラが目の前にいる。
「ここはオレの意識の中か」
「ええ、いまあなたと私は意識を同化しています」
「一体お前の目的はなんだ」
「さっきいったでしょう。
三つの魔法アイテムをつかって永遠をえるのだと」
「だったらなんでこんな回りくどいやり方をする......
さっさとオレを殺して奪えばよかっただろう」
「フッ、それがそうはいかなかったんですよ......
聖女アリーシアが千年前私の野望に気付いたことでね」
「野望......
三つのアイテムのことか」
「そう......
あれはエルフ、
「兵器......」
「ええ、人間のつくった意識同化のソーススタッフ、エルフのつくった魔法を封印できる
それぞれこの世界の支配のため長い年月と実験のすえ作り出されたアイテムなのです。
それらを手に入れるため私は戦争を起こした」
「やはり......お前が魔王だったのか」
「正確には私の作った人造ゴーレムです......
そして人間たちがつくっていた実験体オークや他の種族がつくっていたモンスターたちをソートスタッフで操り、他の六英雄や各種族が戦っているそのすきにそれぞれのアイテムを手に入れようとした......」
「それが六英雄の昔話か」
「人間の王となっていた私はソートスタッフを持っていましたが、次に
そうアリーシアが私の野望に気付き持ち出していたからです」
「私は彼女を探しあの遺跡でみつけた。
そこで彼女と戦った......
そういまの君のように......
ソースソウルで彼女意識と同化し、ある魔法の完成させようとしたとき、その魔法を奪われた......」
その時ザハーストラからはひどく落胆し絶望した感情が伝わってきた。
「魔法を奪われた......」
「ええ......彼女、聖女アリーシアに......
私の夢、時空間魔法をね」
「時空間魔法」
「自らの時を永遠にする魔法です。
時間と空間を操作し、過去も未来も移動できるはずだった......」
ザハーストラは少し沈黙すると言葉を続ける。
「それを奪われたんです。
あなたの母親に」
「!?」
その言葉にオレは驚いて言葉がでなかった。
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