第32話 蒲焼き
オークを操ってた男たちはリザードマンの所からオレの国の方へ送ってもらい、親父には起こったこととオレのことを知ってたことをメールしていた。
帰ってから学園の帰り寮にいる。
「送った親父のメールが帰ってきてるな」
『状況はわかった。
男たちを受けとるため人をやった。
もうその事にはお前は関わるな。
国が関わるとろくなことはないからな』
役人のくせに......
だけど、まあそうだろうな。
『そしてお前の疑問、この国ではお前以外にそっちにいった子供はいない』
ということはやはりあれはオレのことか......
『お前のことを男たちが知ってたってことだがこれは今調べさせてる。
わかれば一応連絡するがお前はなにもするなよ』
オレのことをこっちで監視してる奴がいるのか?
『オークの国との貿易は、こちらにも利点があるから検討する』
リザードマンとの取引があっても無駄にはならないはずだ。
それにこっちのモンスターイメージより、オレたちの方が受け入れられやすいかもしれないしな。
『最後に頼まれてたおいしいお米とおしょうゆ、みりん送りました。
パパも鰻の蒲焼きを食べたくなったので銀座で食べまーす。
バーイ』
......なんでこいつは余計な一文をいれてくるんだ。
腹立つからこの《ソートスタッフ》のことは伝えないでおくか。
オレは机にスマホを置いた。
取りあえず用件はすませた。
米もくるっていうし、まあ蒲焼きを食わせるってザインと約束してから、蒲焼き蒲焼きうるさいからな。
こっちの世界じゃ米はそのまま炊くんじゃなくてスープとかと煮るから、リゾットとかおかゆみたいな感じに調理する。
確かに欧米人より日本人のが腸が長いって聞いたことがあるし、消化に悪いからかな。
「なあ、ユーヤ蒲焼きは?」
すぐザインが聞いてきた。
「ああ、米を送ってくれるそうだ。
あまり期待するなよ。
オレも作ったことがないし、あとスワンプサーペントはどうする」
「親父が送ってくれるそうだ。
氷魔法で凍らせてな」
「便利だな。
さすがになま物を向こうから送るのは難しいからな。
魔法があって助かった」
(そういやあいつら魔法使ってた。
向こうでもやはりもう使える奴らがいるのか......
オレのことを知ってた奴みたいに、他の国の人間もこっちにきてると思った方がいいな......
面倒なことだ......)
オレはそう思ってベッドに寝ころんだ。
数日後、米とスワンプサーペントが届いたのでみんなを呼び公園で調理をする。
炊飯器がないから飯ごうで米を炊き、スワンプサーペントをさばく。
「意外に皮がやわらかいな。
もっと固いかと思ってた。
泥臭くもない。
こいつの毒焼けば消えるんだろザイン」
「ああ、熱で無毒化する。
生はダメだけどな」
まちながらザインはわくわくしてるようだが、フェルスとリビィは不安そうだ。
オレはさばいたスワンプサーペントに鉄の串を刺し炭火であぶる。
その間にタレをつくる。
みりんと酒と砂糖としょう油でつくるが、酒はフェルスに買ってきてもらった。
(この世界でも意外にも未成年は酒を飲めない。
まあ成年は十八才だが、フェルスがちょうど十八でよかった。
......まあ武器や魔法を扱えるんだし、ケンカなんかで死人がでかねないから当然か)
肉にタレをぬる。
それを焼けるまで繰り返した。
香ばしくあまい匂いがしてくる。
「なんかいい匂いしてきた」
リビィがいった。
「よし焼けたな! ご飯も炊けた!」
飯ごうのご飯も皿に移しその上にタレをかけ、その上に焼いたサーペントとタレをかけた。
山椒はないので薬味はつけない。
(まあ、箸をつかわないからな。
肉も小さめに切ったしフォークとナイフでいいだろ)
「ほい、できたぞ!」
ザインはいうまえから食べてた。
「うむ、うまい! うまい! うまい!」
ガツガツくうザインを見てリビィもゆっくりと口に運ぶ。
「うん! おいしい! これおいしいよ! ユーヤ!」
それを見てフェルスは恐る恐る食べた。
「......なるほど、確かにうまいな!
この甘いソースがこの肉にあう!
米はあまり食べたことなかったが意外にうまい!」
オレも食べた。
「まあまあだな。
やはり少し鰻とは違うが、スーパーでいつも買うものぐらいにはうまい」
「なあユーヤ!
これのつくり方おしえてくれ!
向こうに伝えたい!」
ザインが二枚目を食べながらいう。
「わかったよ。
そういやザグさんにも作ってやるっていったんだった」
「いまリザードマンとオーク少し交流ができたんだ。
作り方を知れば食える」
ザインはそういった。
(でもみりんは酒と砂糖で代用できるがしょう油はどうするか?
米麹とかいるけど菌はまずいよな。
生態系に影響与えるし、まあ親父に連絡するか......」
「わかった。
向こうにこっちでもつくれるように考えてもらうから」
「やった!
これでこれこっちの世界でも食えるぜ!」
「そうなればおいしいものも増えるね!
ポムポム亭のパンみたいに」
「リビィお前がよくいってる。
その何とか亭のパンってそんなにうまいのか」
リビィにオレは気になっていたので聞いてみた。
「うん! そりゃあもう!
そうだ! もうすぐ学園休校じゃない!
みんなで食べに行こうよ!」
「そうだな!
おまえの国に行ってみたかったし、行くか!」
ザインは乗り気でいるようだ。
「そのパン屋ってお前の国なのか」
「うん! 久々に家族にもあいたいしね!」
「すまん! オレも食べてみたいんだが長い期間の
「オレがお前の分も買ってくるよフェルス」
「そうか! 頼んだぞユーヤ」
こうしてオレたちは、学園の休校時にリビィの故郷、ミーグ国に行く事になった
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